第7回(2010年) 入賞者

佳作
越野レオ (平米小 3年)
長森隼汰 (川原小 5年)
越田歩花 (成美小 3年)
渡辺裕紀 (成美小 3年)
平川将司 (平米小 6年)
片山菜々絵 (五位中 2年)
沼田裕香 (青森県三沢市第一中 2年)
宮下自由 (群馬県藤岡市北中 2年)
高橋侑花 (早月中 2年)
伊藤大輔 (高陵中 2年)
塩崎萌華 (志貴野 2年)
天筒文子 (高岡一 1年)
岡田里胡 (山口県下関中等教育学校 6年)
山﨑芽佑里 (富山国際大付 2年)
大家涼 (神奈川県平塚養護学校高等部 1年)
奨励賞
室河桜 (平米小 2年)
林里美 (富山大附小 6年)
広野真夕 (平米小 5年)
関龍星 (湖南小 6年)
松浦有祐 (大庄小 4年)
山本真由香 (五位中 1年)
山本彩来 (五位中 2年)
吉田奈央 (早月中 2年)
谷佳薫 (高陵中 2年)
吉田愛莉 (五位中 2年)
堀井章生 (高岡高 3年)
原田華穂 (愛知県豊川高 3年)
西村栞那 (南砺平高 3年)
杉山友香 (高岡商高 2年)
小島茜草 (高岡一高 1年)
ねじめ正一氏選評
レベルが年々向上
 今年もすばらしい作品を応募してくれてありがとう。年々作品のレベルが上がってきて、私も大いに選び甲斐がありました。
 ポエム大賞は梅津奏子さんの「青春期」です。この作品のいいところは、思春期の不機嫌さ、生意気さが思いっきり表現できているところです。大人に対する不満、親への批判、誉(ほ)められても貶(けな)されても気にいらない思春期の感情がいっぱい詰まっていて、そのどれもが正確です。ふだんはいい子の顔をしていても、詩を書くときぐらいは生意気になって欲しいものです。
 富山銀行賞の吉田光輝(こうき)くんの「おとうと」は、するどくて、あったかい詩です。いろんな呼び名がある弟のひろとくんを、ちゃんと観察している。テレビを見ていると返事をしないことまで観察している。いろんな顔があることも観察している。そして、吉田君が弟をこんなにちゃんと観察できるのは、弟が大好きだからなんですね。この詩は、対象が大好きだからこそ書ける詩です。
 小学生の部の最優秀賞の広瀬友香さんの「ヘンシンいぶちゃん」は最初の行から自由奔放に書いています。出だしが自由奔放な詩は、よく後半に腰砕けになってくるものですが、この詩は最後の行までぐんぐん引っぱることができていました。
 中学生の部の最優秀賞の山本望那さんの「あな」は発見のある詩です。山本さんは目と声と鼻と直感を総動員して、あなの本質を発見したのです。これほどスケールの大きなあなの詩を書くのはたいへんなことです。
 高校生の部の最優秀賞の鎌田夏実さんの「僕の自転車」はシュールな、特異な感覚の詩です。最後の2行を読むと、自転車のパーツが失(う)せたり、壊れたりしていくのにつれて、作者自身も壊れたり、失せたりしているのではないかと思わせられます。これもまた、高校生という年頃ならではの感覚の表現なのです。
富山銀行賞
おとうと

高岡市東五位小学校4年 吉田 光輝
おとうとは いろんな呼び名を持っている
お父さんは「ひろと」とよぶ
お母さんは「ひろとくん」とよぶ
ぼくは「ひっちゃん」とよぶ
ほかにも「ひーくん」や「ひろのしん」ともよばれてる
ぜんぶ 自分のことだってわかってるくせに
テレビをみてると 呼んでも 返事もしないよ

おとうとは いろんな顔を持っている
お父さんには「ちびかいじゅう」に見えるらしい
お母さんには「かわいい赤ちゃん」に見えるらしい
ぼくには「こわしやひろと」に見えるよ
ほかにも「こわがり」になったり「せいぎのみかた」になったりする
けっこう あばれんぼうなのに
しょっちゅう いもうとに まちがわれて いろんな人に だっこされてるよ

おとうとは 一人何役もして いそがしい

最優秀賞
ヘンシンいぶちゃん

高岡市平米小学校3年 広瀬 友香
 わたしのいとこは、百九十センチの学生ふくをきて、キリンみたいに大きい。
 いぶちゃんは、わたしと弟をのせて、馬にヘンシンする。子馬のわたしたちをのせて、茶の間の草原をすごいいきおいで走ってくれる。
 食事は一日四食。大人のぞうみたいに、次から次へと、口の中に食べ物をほうりこんでいく。
 ごはんを食べたらプールに行ってしまう。背およぎが一番とくいだから、ラッコかなぁ、ペンギンかなぁ、それともジンベイザメ、もしかしてク…ジ…ラ!!
 プールがない日はピアノの練習。
 ひいてるときは、やさしい顔のいぶちゃん。手長ザルのばんそうで、わたしは歌う。
 いぶちゃんしょう来はピアニスト?背およぎでオリンピックにでるのかな。
 でも、まだまだいっぱいあそんでほしい。
 めがねザルになって、中学のべん強たいへんだけどおじいちゃんのダジャレにツッコミをぜったいわすれない。
 いつもわたしと弟をわらわせてくれる。ぎょうぎのわるいことをしたら、お母さんみたいにしかってくれる。わたしたちのお兄ちゃんのくまだ。
 今日のいぶちゃんは、どんなどうぶつになるのかな。

あな

高岡市五位中学校1年 山本 望那
ある日、あの場所で、
見つけたあな

やっほぉ
と呼びかけると
私にも呼びかけてくれるあな

鼻を働かせると
洗たく前の野球の
ユニホームのあな

両方の目でじいっと見ると
まわりで小鳥が鳴いているけど
悲しい夜空のあな

地球のうらがわまで
つづいているだろう、あな

僕の自転車

高岡第一高校1年 鎌田 夏実
一つ山を越えると自転車から補助輪がなくなった。少し不安定になった。
 二つ山を越えると自転車から荷台がなくなった。また不安定になった。
 三つ山を越えると自転車からベルがなくなった。さらに不安定になった。
 そうやっていくうちに僕の自転車はハンドルもブレーキもペダルもなくなっていた。十五の山を越えた時には自転車のパーツは数えるほどしかなく、自分で歩いて山を越えた。
 自分で歩いてやっと気づいた。自転車のありがたみに。自分が支えられていたことに。
 二十の山を越えるころには誰か大切な人の自転車のパーツになっていたい

優秀賞
自分は自分で

高岡市平米小学校3年 吉田 七彩
 空が、黄色に見える人は、
「黄色の空。」と思ってもいい。
そう、言ってもいい。
 わすれたけど、だれかが小さいころ言った。
「自分は自分で生きていけ。」
って、だれかが言った。
だから、金色のクマと言ってもいい。ようち園のころのことを、後悔した、なんであのとき、
自分は自分でいなかったのか。
 だから、今がんばることにした。
これからは人のまねもせず、
自分は自分で生きていく。
本当にこれをまもれるかな。
 犬は見えない物が本当に見える
 本を見ると、「犬には、見えない物が見える。」とかいてあった。
 本当かな。もしかして、
犬の言葉が分かる人なら犬とこうおしゃべりするかな。
「犬って見えない物が見えるって言うよね。すごいねっ。」
「あ、でも犬つれてないからダメ。」
「あら、自覚していらっしゃらないのね。」とかしゃべるかな。
 だけどもしそれが本当なら、
犬におこられるかな。
でも、すごいねえらいねみなおしたよ。とか言ったらゆるしてくれるよね。だいじょうぶだよね。


青森県三沢市第一中3年  岡部 怜
うーん あっ見えた
秋田名物
青空がひろがる
8チャンネルの画面に

運動会のピストル
ぼくの体が
打ち抜かれてしまいそうだ
音を拒絶する
イヤーマフ
ぼくは両手で耳をふさぐ
ふしぎな静かな音が
はるか遠くから
聞こえてくる
きっと宇宙の彼方から
届いてくる音

サルからヒトへ
長い時間を流れてきた
ふしぎな音
ぼくは今
生命の星
地球の上に立って
ふしぎな音を
聞いている


富山市堀川中学校3年 広島 里紗子
「ずっと愛でて…」
涙しながら そっと紡がれる音
口から幾つ 落とされよう
拾うことすら 叶わない
繰り返される背徳行為

信ずる程 次々に堕ちて逃げてゆく
誇れぬ欺き
怯えて伏せる その心情

古い写真に己を埋めた
誰かの靴を拾い 戻る為に 進む為に
履き変えて 地を踏みならす

一つ呼ぶ声に
一つの呼応

「目を逸らさないで…」
痛むほどに差し込む色
幾つの明(さち)を 見つけるだろう
手に入れる為の覚悟
空振りする 己の指先

燈せば 燈すほど
光に隠れていた 影浮かぶ
濃く 濃く 大きく膨らむ
呑み込まれ 被害拡大

ファイリングしていた 醜き過去
眺めてはなぞる 秘密の会話
何時頃に思いを馳せよう?
愉しきティータイム

一つの快楽
一つの雫

「お願いだからその手を…」
繊細な糸を 垂らし絡む
逃がさないと 囁いたでしょう
もう忘れられたのですか
何度でも囁きましょう

ひらり ひらり 散る命
ゆらり 揺らる 小さき炎
一歩 一歩 逃げ隠れ
朱く 美しく 舌舐めずり

口端つり 退く獲物
心踊らす 小さき狩人
呼び覚ます 暴走する本能
狂気に満ちた 選ばれし才能人(じんぶつ)

一つ呼ぶ声に
一つの呼応

一つの快楽
一つの雫

一つの嗤い

くそったれパラダイス!!

伏木高校1年 畑 まりな 
昨日のおいらは 吠えたい気分
パンパカパカーン パカパカパンパン
パンパカパカーン パカパカパンパン
雲見て 風見て おへそを見れば
目ン玉クルクル 吠えたい心
クルクル グルグル 回り出す
そーれ それそれ 吠えまくれ!
あれやれ これやれ くそったれ!!
パンパカパカーン パカパカパンパン
パンパカパカーン パカパカパンパン

今日のおいらは 泣きたい気分
どんどこどこーん どこどこどんどん
どんどこどこーん どこどこどんどん
花見て 蝶見て 足元見れば
頭のおへそに  泣きたい心
モクモク フワフワ 湯気だらけ
そーれ それそれ 泣きまくれ!
あれやれ これやれ くそったれ!!
どんどこどこーん どこどこどんどん
どんどこどこーん どこどこどんどん

明日のおいらは ワクワク気分
えんやかやっしゃい えんやらやらや
えんやかやっしゃい えんやらやらや
上見て 右見て 祭りを見れば
七色虹色 はじける心
ギラギラ メラメラ 高岡銅器
そーれ それそれ 舞い上がれ!
あれやれ これやれ パラダイス!!
えんやかやっしゃい えんやらやらや
えんやかやっしゃい えんやらやらや

※(パンパカどこどん えんやかやっしゃい)
※くり返し
おいらの心は くそったれ!!
なぜだか心は くそったれ!!
おいらの心は パラダイス!!
いつでも心は パラダイス!!

原材料1点(遺伝子組換えでない)

富山高校3年 五十嵐 彩那
窓の網目からセカイが分解されて見える
一瞬一瞬がちぎれて 景色が小さくなる

人だって もとは一つの点でしかない
自分を伝えるためには 小さい一つ一つの
“もと”を伝えていくしかない

ブラウン管の集合体

“点の集合体”は
今日もセカイにはびこって
……ほんと何やってんの?
自分達が作り出した物質に汚染され
自分達が生んだ環境悪化に戸惑い
自分達の国家をぐらつかせ
自己満足と自己嫌悪の狭間で
今もまだ 未来を描いている

“未来”なんかまだ見えなくて
点の集まりもいいところ
不安定な“いま”の仮定延長線上
いわゆる点線の上に転がっている
突然終わるかもしれないし
まだ続くかもしれない
線分になればそこで終わりです
ピリオドがつけば終点です

振り返れば
過去の自分は点になって見えない
未来は……視力100・0くらいなら見えますか?

一面の青の中 飛ばした紙ヒコーキ
遠くなって 遠くなって
明日に吸い込まれていった

赤ちゃん

高岡市石堤小学校4年 江川 涼音
ぽんっ 赤ちゃんが出てきた。
うんでくれたママ
おまたせ。私は女の子。

はやくママのこと知りたいな。
あまえたいな。
大きくなって、
いいことして
ほめられたいな。これが目あて。

時はすぎ、ママのおかげで
りっぱなママになりました。

ぽんっ 赤ちゃんがでてきた。
うんでくれたママ
おまたせ。

女の子が生まれたら
このくり返し。

ぽんっ 赤ちゃんがでてきた。
うんでくれたママ
おまたせっ。