第11回(2014年) 入賞者

ねじめ正一氏選評
 たくさんの応募ありがとう。今年はぴりっとした個性的な作品が多くて選考に苦労しました。
 ポエム大賞の「無糖ジンジャーエールのほほえみ」は、言葉が一見支離滅裂のようでわかりにくいが、読み通すと、ひとつの世界観を作り出している。花と馬はソファの絵柄かもしれないのだが、その花と馬と私が、空の雲や星に飛んでいったりする。その浮遊感が伝わってきて、応募作品の中では一番詩的で、しかも、パステルカラーの中にいる心地よさがある。
 富山銀行賞の吉田啓人さんの作品は、「すいまって だあれ?」という言葉が表れてから詩が動き始める。吉田さんは着実に詩の腕前を上げている。誰でもありそうなことを誰にもなさそうに不思議に作り上げている。繰り返しの詩であるが、繰り返しに負けていないところがいい。
 小学生の最優秀賞「動物タワー」は動物園をタワーにする発想がよかった。1階にくまさんがいて、2階がグッズ売り場などと各階の特徴を出している。階によっては学校や保育園があったりして、意外な展開になっている。自由に書いていて、作者もどこへいくかわからないところが魅力。
 中学生の最優秀賞「晴れのち雨のち…」は、語り口が面白くて元気がある。一行一行軽々と書いているように見えるが、「シャーペンの先からけむりがでる。」「かみなりも台風に参加。」「ん?…あれ…」「…あっ」「はぁ。」と、それぞれの言葉をきちっと正確に選んでいる。
 高校生の最優秀賞「千本格子の思い出」は、映画の一場面のように素直に言葉が流れていく。流れに乗って読んでいくと、ゆっくり、ひっぱり込まれ、作者の世界が見えてくる。「もしかしたら/小さい頃の母に会えるかもしれない」の、終わり方がよかった。
ポエム大賞
無糖ジンジャーエールのほほえみ

富山県立高岡高等学校 2年 柿埜 百合子
背中がソファーになった
馬と花がわたしを見つめる
一緒にまどろみの中で踊らないか
手をつないだ背もたれは三拍子を刻む
風が強く吹く 遠い丘の上で
だいだいが包む なつかしい丘の上で

ワン・ツー・スリー
ソファーは散るが 花は散らず馬は駆ける
つぎのあたたかなひかりの世界へ
左足はタンゴのリズムを聴き取る
すべて空になったよう
雲がどんどん下になる
とうめいなソファーは星を流す
小さな花と馬は星のプールで踊りつづけ
たまにそれを食べた
むらさきに光るそれは
いつかのだいだいの夜に出かける

花も馬も 世界の色たちも
わたしのまぶたをやわくおさえ
葉脈と尾の耳せんは 少しむずがゆい

わたしはどこか遠い川で
いつかの三拍子でも刻もうか

おいていかないで

私は手を持ち足を持ち
つかみ 走り
そしてときどき ワルツを踊る
どこかのなつかしい 遠い丘の上で

富山銀行賞
しゅくだい

高岡市立東五位小学校 2年 吉田 啓人
しゅくだいをしていたら ねむたくなったよ
それで 目をつぶったよ
そしたら お母さんが
「ひろとが すいまに おそわれとる!」
って 大きな声で 言ったよ
ぼくは びっくりして 目がさめたよ
すいまって だあれ?
なんで ぼくを おそいに来たの?
ドキドキドキ ゴシゴシゴシ
でも すいまなんて どこにも いないよ

しゅくだいのつづきをしたら また ねむたくなったよ
目をつぶりそうになって こらえたけど やっぱり 目をつぶったよ
そしたら お父さんが
「ひろとが すいまと たたかっとる!」
って 大きな声で 言ったよ
ぼくは びっくりして 目がさめたよ
すいまって だあれ?
ぼくは だれとも たたかってないよ?
ドキドキドキ ゴシゴシゴシ
やっぱり すいまなんて どこにも いないよ

しゅくだいのつづきをしたら またまた ねむたくなったよ
目をつぶりそうになって こらえたけど やっぱり 目をつぶったよ
そしたら お兄ちゃんが
「だからー しゅくだい さっさと やっつければ?」
って 大きな声で 言ったよ
ぼくは びっくりして 目がさめたよ
しゅくだいって べん強だよ?
やっつけるなんて へんだよ?
ドキドキドキ ゴシゴシゴシ
しゅくだい ちっとも すすんでないよ
ちゃんと しゅくだいするから みんな おどかさないで

最優秀賞
動物タワー

南砺市立福光中部小学校 5年 紙澤 道輝
 ぼくの家の近くに動物園タワーがあって、1階にはくまさんがいて
いつも人をおそってくる。いつもにげて
2階には、動物のグッズがあって
3階には、ペンギンがいていつもこっちをじろじろみてきてちょっとこわい。
4階から19階には、学校や、ほいくえんがあってほいくえんの人が帰りに動物を見に行って「わー」と大声をあげてちょっとうるさい。
20階にはキリンがいていつもごんごんうるさい。
21階から30階にはうさぎやおおかみや、レッサーパンダがいていつもしずかでその階には「動物いないんですか?」といつも、そういってくる。
31階には、ほかの動物がいっぱいいて「パオーン」「ドンドン」「ガオー」とうるさくていつもお客さんから苦じょうがいっぱいくる。
そして動物がいっせいにジャンプするとゆかがぬけて、いつも工事でお金がへってく。
でもぼくはいつもいっているけど「楽しくなかった。」と言ったことはなかったんだ。

晴れのち雨のち…

高岡市立高陵中学校 1年 荒井 翠
おっはよう サンサン
おっはよう サン
今日から夏休みがキター!!
今日も明日もあさっても
プールにゲームに海水浴
予定ギッシリ 夏休み
今日の私は快晴です。
せみがミンミン大合唱
これから遊びに出かけます。ガチャン

フゥー 昨日も楽しかった
ん?…あれ…課題 なんだっけ
急にくもりはじめた
あれ…夏休みは いつまでだ!?
頭の中は真っ白。いや、真っ黒?
もう朝か夜かも分からない イヤー…
ここに台風72号が接近。
課題ってこんなにあるのー!?
あせる私。どんどん台風近づいて…
だんだん雨も強くなった
もうやだー!!
あそんでばかりいた自分のせいだけど…
急ピッチで課題をすすめていく。
シャーペンの先からけむりがでる。
でも時間も負けじとすすんでゆく。
まにあわないじゃん!!
かみなりも台風に参加。
もう泣きたい やりたくない
私にもツノがはえてきそう
泣いてばっかの子どもオニだー

それからギリギリまで
課題とゆう名の台風72号が荒れ狂う
もういつのまにやらあと1日!?
明日にまにあうのか!?
てつやしかないー!!

ジリリリリリリリーン!!!
めざまし時計がうるさくなく。
う゛―ん…。
早く起きなさーい。 母の声。
うーん…。 はっ!! 課題!!
…あっ昨日というか今日のてつやで
おわったんだった…。
はぁ。やってよかった。
私のココロに にじがかかる
なんだかいろんな意味で充実したなぁ。
そう、夏休み限定のフシギな天気。
今年の夏休みも ようやく まくを
とじそうです。
いってきまーす!! ガチャン。

千本格子の思い出

富山県立高岡西高等学校 1年 林岸 眞以
「お母さんはね
金屋町から続く通りの長屋で育ったのよ」
と、話してくれた

千本格子のその家は
今も母の子供の頃と姿を変えていないらしい

母が小学生の時に引っ越して
他の人のものになっても
時間を忘れたかのように存在する。

親に頼んでやっと手に入れた一人部屋は
通りに面した千本格子の部屋で
その隙間からのぞく世界は
古い映画のように
コマ切れに見えたそうだ

外からは暗い部屋の中は見えにくいけど
中からは通りを走る友達も
近所の人たちもよく見えて
ひとりなのに、ひとりじゃないような
変な感覚だったと母は笑った

古い街で隣近所に親戚がいて、
知り合いも多くて
通り沿いの八百屋のおばちゃんは
街中の人のことを知っていて
いつもおばさん達が立ち話をしてた
おっきいお豆腐を切り分けてくれる
お豆腐やさんや
暗い通路にびっしり瓶が並んでいる
お醤油やさんへのおつかいも
全部この通りで用が足りた
魚屋さんのおじちゃんは
怖かったからあまり行きたくなかった
肉屋さんの前を通るたびに
コロッケの揚げたての匂いがして
一瞬、足が止まった…

なんか聞いていると
昭和の映画みたい…おもしろそう…

「住んでいる時にはわからなかったけど
その頃もあの家も…
楽しかったかもしれないね
それとも子供の頃が懐かしいだけかな…」
母は笑いながら目をふせる

今度
母と一緒にその通りを歩いてみたくなった

千本格子のその通りで
もしかしたら
小さい頃の母に会えるかもしれない

優秀賞
たまご

高岡市立成美小学校 1年 木戸 美優
たまごをゆでたまご
やけどをしたまご
そのあともう1個だしたまご
やいたまご
たまごをたべたまご
まごはたまごをたべたまご
おじいちゃんもたべたまご
おばあちゃんもたべたまご
みんな たべたまご
みんな おいしかったまご
みんな しあわせだったまご

たった一人の小学校

小矢部市立石動小学校 6年 村上 翔人
ぼくの小学校は
ピカピカできれいだけど
ぼく一人しかいない

玄関は
げた箱がいっぱいあるのに
ぼくの一つしか使わない

階段は
1階と2階しかないのに
すごく長い

ろう下は
ワックスで
とてもすべる

教室は
ぼく一人しかいないのに
机が40もある

一人しかいないから
なにを してもおこられない
教室の窓を割っても
おこられない

でもぼく一人はさみしい
いつか、友達がこないかな
ぼくはその友達が来るのを
いつまでも、まっている

私が知っていること

高岡市立高陵中学校 3年 荒木 春音
お父さんと車で外出すると、色んな車とすれ違います。
トヨタならシエンタ(家の車)、アルファード、ヴェルファイア、ウィッシュ、ノア、ヴォクシー、ニッサンならキューブ、ノート、セレナ、エルグランド、プレサージュ、ラフェスタ、ホンダはインサイト、フリード、ステップワゴン、フィット、ライフ、スバルはトレジア、エクシーガ、レガシィ、インプレッサ、スズキはスイフト、ワゴンR、パレット。
だいたい見たら分かります。なぜか。

お父さんは巨人が大嫌い。
私は巨人が大好き。
巨人の選手はかっこいい。
7番長野、6番坂本、24番高橋、10番阿部、26番内海、47番山口、12番鈴木。もういないけど2番小笠原。
好きなチームは覚えちゃう。

お父さんとお母さんと3人でTDRに行ったことがある。
夜行寝台で高岡駅を出て、富山、魚津、糸魚川、直江津、高崎、大宮、上野で乗り換え、上野、御徒町、秋葉原、神田、東京で乗り換え、東京、八丁堀、新木場、舞浜到着でーす。アハ。
楽しかったことは、良く覚えている。
もう寝台は通ってないし、
来年は北陸新幹線。

私は中学3年生、来年は高校受験です。
夏休みずっと勉強しています。
でも、なかなか覚えられません。
英単語や数学、理科の公式、歴史や地理のいろいろ。
どうしてかなぁ。
困ったなぁ。

春になったら、またTDRに行きたいなぁ。
行けるかなぁ。
北陸新幹線で。

仲直り

高岡市立高陵中学校 2年 藤川 顕太郎
この間はごめん
無視してごめん
「バカ」なんて言ってごめん
影で悪口言ってごめん
シャーペン隠してごめん
顔を殴ってごめん
泣いて謝りに行ったけれど
許されるとは思わないけれど
あのときまた話してくれて
あのとき冗談っぽく笑ってくれて
あのとき知らないふりしてくれて
あのとき自力で見つけてくれて
あのとき先生の前でごまかしてくれて
あのとき「仲直りしよう」と言ってくれて
本当にありがとう
あのあと話してて
とても楽しかったよ

TKG

富山県立高岡高等学校 2年 松本 優太
無精卵
ニワトリから誕生した白いたま
冷蔵庫の片側にひっそりと佇んでいる
僕は手を差しのべる
手にくっつくようなフィット感
何か懐かしいようなこの感じ
そっと取り出し扉を閉める
体内から感じる歓声
いや、まだ、これからだ
棚からお茶碗を誘い出す
これが君のステージだ
卵を持つ手はソフトに
大切な人の手を握るときよりももっと
でも割るときはハードに
片手でも両手でもいい
角にたたきつけてつくった小さな亀裂に
魂を込めたダイレクトアタック
ああ、やってしまった
殻が入ってしまった
割りばしで取るしかない
おっと 逃げるんじゃあない
やっと取ってここで登場
ご先祖のたまもの しょうゆだ
ちょいとたらし一気に混ぜる
絡み合う黄色と茶色
まるでこの世の中を表しているようだ
あ、忘れていた
お茶碗にほかほかの粒を乗せてゆく
のどの奥でゴクリと音がした
まて、もう少しだ
ついに卵を右手に持ち
左手にはお茶碗
一気にふっかける
一箇所ではない、全体にだ
ほどよく最後にかき混ぜる
かきまぜ過ぎたら終了だ
ここまでたったの一分だ
長く感じたのは人間の証
     T  K G
これで完成たまごかけごはん
いいから一気にかき込もう
味は言わずもがなであろう

カラス

富山県立富山中部高等学校 3年 大坪 由莉香
おい、カラス
なぜ飛ばぬ
危険(わたし) が近づいているぞ
おい、
そうやって、横にぴょんと跳ねるのじゃなく
どうして飛んでみせぬ
おい、カラス

カラスよ、
さてはお前、私をなめているな
私が、お前をよけると思っているな

ほら、もうすぐだぞ、轢いてしまうぞ、
飛べ カラス
歩くのじゃなく、飛べ!
 … … ああ、
結局、私がよけてしまった
カラスは、ちょっと跳ねただけ
カラスよ、なぜ、歩いてばかり

なあ、もしかして、飛ぶのが面倒なのか?

佳作
ポイ捨てごみ

高岡市立下関小学校 5年 岩松 健太
夏休み、俺はポイ捨てゴミの新聞を作った
下関の俺のアパートから下関小学校までポイ捨てゴミをかたっぱしから拾いまくった
何だよ!ブッチ切りでタバコが多いじゃんか
おいおい大人何やってんだよ
小さいからっていいのかよ
ばれないとでも思ってんのかよ

俺は、何もする事がない日曜日父ちゃんとクリーン大作戦をしている
中には、おもしろい物も落ちてるゼイ
道路にくつや水道のじゃ口、グレープフルーツやズボン
おいおいこんな所でズボンをぬぐなんて、風呂と間ちがえた酔っぱらいかい
拾うこっちの身にもなってくれ
何かいろいろ想像しちゃうだろ、だんだん楽しくなってきた

ばあちゃんは、どんな物にも魂がある、と教えてくれた
だから昔は物を大切にしてゴミが少なかったんだと
おいみんな、自分がゴミならどう思う
俺は、ゴミでも道路放置はごめんだゼイ
みんなでしようぜ、チョイ拾い

心のたね

高岡市立下関小学校 3年 横山 巧
ぼくには一つのたねがある。
大きくてキラキラしている。
たねの中には、だれかをおもう気持ちと、
そうぞうする世界が、
みっちりとつまっている。
やさしさがあふれると、たねからつるがでる。
つるがのびたり、葉やくきが生えてくると、
思いやりの大きな花がさく。
思いやりのみつを、ハチがあつめにきて、
「気持ち玉。」を作ってくれる。
それを僕の心の中にたくさんちりばめると
色とりどりの花畑が広がる。
ぼくはみんなにやさしくなれるし
よろこぶことをたくさんするよ。
みんなのありがとうとえ顔がたくさんあつまって、
ありがとうの花畑が生まれるよ。
ハチがのこったみつから「かんしゃ玉。」を作ったよ。
世界じゅうにもってでかけて行くよ。
みんなが、かんしゃ玉を食べて
けんかをする人がいなくなり、平和になるよ。
せんそうがきえて、みんながなかよくなったらいいな。
たくさんの人がまじりあって、話し合って
またすてきなたねが生まれたらいい。
ぼくのたねからは、やさしさの花がさき、
平和の実がなる。

へんな電車

小矢部市立石動小学校 6年 村田 天輝
ぼくの家の前の線路に最近、へんな音ではしる電車が、はしっているといううわさを聞いた。
その電車のはしる音は、へんな音だ。
たとえば…
ブリッポン パンパカパーン ビビーイ と言う音だ。へんな音だろ。
ぼくは、この電車にのりたいと思って、駅へ行った。
キップ売場でキップを買おうとしたその時
バァ ―ウンバビィ― ビンボーン 
という音が、どこかしら、きこえてくる。
キップを買って電車がくる所に行くと、
そこには、へんな音を出す電車が止まってた。
「うわー」
早くのろうと思ってのってしまった。
中にはだれもいなかった。
ピューピ
発車の合図のふえがなった。
発車の合図がなると
走り出した
中の音もへんだった
プップッスー パーカン ソソニュー
それから5分がたつと
放送がかかった
「次は~地国~地国~」
「えっ」
次の日…
ここは、僕の部屋だ
この話は、全部夢だったと今、気づいた。

やさい

小矢部市立石動小学校 6年 吉江 太志
芽が出てきて葉ができて
花ができたって
芽が出てきて葉ができて
花ができたって
そこにハチがやってきて
いろいろ手伝いしてくれた
そこにできたのは
イチゴ

種から芽が出てきて葉ができて
花ができたって
種から芽が出てきて葉ができて
花ができたって
そこに虫がやってきて
みんなで手伝いをしてくれた
フワワ ブーン フワワ
そこにできたのは
ナスビ

みんなみんなやってきて
いろんなやさいのパーティーだ
みんなとってもよろこんだのさ
みんなしらないとおいむかしに

ネコの個性

高岡市立平米小学校 6年 筏井 沙知
家の横、細い細い道のおく
フシギなフシギなネコの世界

スラスラ字をかく
八われネコ
ポコポコお手玉
三毛猫
フワフワわたアメ大好き
ペルシャネコ
ピョンピョンなわとび
トラネコ

みんなかわっている

スラスラ八われネコ
ポコポコ三毛猫
フワフワペルシャネコ
ピョンピョントラネコ
ネコの世界

「お」のマーチ

高岡市立五位中学校 1年 福島 佑太
おっと
おなかがすいてきた もう
おひるのようだ
おさらの上に
おいてあった
おにぎりを
おおきな
おくちでパクンッ!
おなかの中へほうりこんだ
おおきくふくれた
おなかをたたいたら もう
おひるの2じ
おひるねの
おじかんだ
 ・・・
おやすみなさい

兄妹ゲンカ

高岡市立高陵中学校 1年 村中 穂乃香
私と兄はいつもケンカしている
くだらないことでばかりだ
その原因は私ばかりだ
いつも兄にちょっかいを出してしまう
だけどそこへ母がやってくる
母は兄にばかり怒る
私が悪いんだけどな
そう思いながら聞いていた
そんなある日
私のきげんが悪いとき
兄がちょっかいをかけてきた
私が怒ると兄はやめた
何だったんだろうと不思議に思う
それから私はきげんが良くなった
その後どうしてだろうと考えた
すると兄がちょっかいを出した後きげんが良くなったのを思い出した
私は兄がちょっかいを出したのは
私のきげんが悪かったのに気づいてくれた
私の兄がこの人でよかったと思った
これからまたケンカすることもあるだろう
だけど今度からは
兄のことを思いながらしたいと思う
私の兄は世界で一番優しくて
世界で一番ちょっかい出すのがうまいとおもう

短冊

高岡市立高陵中学校 1年 越野 レオ
七夕の夜
短冊がなびく
パラッパラッと
短冊は
願いを
かなえるために
風と
戦っている

七夕の夜
短冊が落ちる
パサッパサッと
短冊は
願いを
かなえられなかった
風に
勝てなかった

七夕の夜
短冊は踏まれる
パスッパスッと
短冊は
願いといっしょに
忘れられていく
そして
風と
戦うために

また来年やってくる

はずかしい!

小矢部市立石動中学校 1年 堀 美由希
お母さんは
毎日ごはんをつくってくれる
「ありがとう!!」って伝えたい…
でもはずかしい

お父さんは
夜おそくまで仕事をしている
「おつかれさま!!」って伝えたい…
でもはずかしい

お姉ちゃんと
いつも小さなことでけんかをしてしまう
「ゴメン!!」って伝えたい…
でもはずかしい

たった一言

「なんて、伝えにくい言葉なんだろう」
って思う時がある
言えなくてくやしい
すなおに言葉を伝えたい

なんだか頭の中が
ムシャクシャ ムシャクシャー
もう 勇気を出して言おう!
「がんばれー!!自分!」

せーの

「ありがとう!!」
「おつかれさま!!」
「ゴメン!!」
やっと言えた!!

伝えられたからなんだか うれしい
頭の中がスッキリして
なんだかおどりだしそうなほどだ…
でも今度は すなおに
伝えたい時に 伝えられる
そんな 私に
なりたいな…

ひいばあの魔法

高岡市立五位中学校 1年 前田 野乃葉
ひいばあが言う
「なあん。どうもないちゃ。」

水ぼうそうになった時
看病しながらいってくれたね
「なあん。どうもないちゃ。」

友達とケンカした時
お母さんに怒られた時
何もかも嫌になった時
いつも笑顔で言ってくれたね
「なあん。どうもないちゃ。」
不思議と心が軽くなる
あれ、なんで泣いてたんだっけ?
あれ、なんで嫌になったんだっけ?
きっとそうだね
「なあん。どうもないちゃ。」

これから先も
人生いろいろあるんだろうね
でも、私よりずっとずっと人生の先輩の
ひいばあが言うんだもん
「なあん。どうもないちゃ。」

きっとそうだね。
前を向けばどうにかなるね
前に進めばどうにかなるね
きっとそうだね。
「なあん。どうもないちゃ。」


富山県立高岡高等学校 2年 奥村 梨聖
三日前の夢。
真っ黒な猫が追いかけていた
ひらひらと舞う
真っ白なチョウを。
「追いつかないわ。私みたいね。」
私は笑う。

二日前の夢。
真っ黒な猫は手をのばしてみた
ひらひらと舞う
真っ白なチョウに。
「届かないわ。私みたいね。」
私は笑う。

昨晩の夢。
私は少し長い夢を見た。
真っ黒な猫は待ってみた
ひらひらと舞う
真っ白なチョウを。
「来てくれないわ。私みたいね。」
私は笑う。
それでも猫は待っている。
自由に舞う
あのチョウを見つめて。

今夜、
猫は他のチョウを追いかけてみる。

明日、
猫は真っ白なチョウの元へ戻ってくる。

いつまで待っても
いくら手をのばしても
真っ白なチョウには届かないのに。

真っ黒な猫は私だもの。

夏休み

富山県立高岡高等学校 2年 萩野 好哉
帰りの電車の中
僕の右ななめ前に座っている
話したことのない隣のクラスの彼
彼は何かを聞きながら
単語帳に目を通す
僕がやっているページより
少し進んでいる気がした

中学校の恩師に
「最近どうだ」と聞かれた
僕は少しとまどった
けれどこう答えた
「楽しいですよ」
先生はおっしゃった
「君が楽しければそれでいい」
僕はなるほどと思った

大学を見学した
自分がいるかもしれないと
キャンパスの中を
くまなく歩く
たくさん説明を聞いた
本当に全てが魅力的だ
それゆえ僕を悩ませた

仲の良い先輩が
今日もなんだか少しつかれてる
そこ以外はいつも通り
明るく振まってくれる
仲の良い後輩が
「ねえ先輩」と僕を呼ぶ
彼は僕のことをどう思っているのか

一つの区切りが終わる
時間はまだあるけど
はたして待っていてくれるかな
決断の時は

ことば箱

富山県立高岡西高等学校 2年 能町 祈
誰もが持ってる、ことば箱
箱の中から取り出すことば
目を閉じながら手を入れる

どんなことばを選ぼうか

「が・ん・ば・れ」
勇気を生み出すことば箱
「ご・め・ん・ね」
涙が出てくることば箱
「あ・り・が・と・う」
笑顔がこぼれることば箱

あなたも持ってる、ことば箱

どんな言葉を選ぼうか


富山県立高岡西高等学校 1年 熊木 里美
弟の汗はベタベタでネチョネチョする。
友達と走りまわったのかな。
でもにおいはない。

兄の汗はくさい。
部活帰りは、通っただけでツーンとくる。
何かがくさったような刺激臭。
でもこれは頑張った汗。
泥まみれになりながらも走り、
ボールをおいかけていたんだと思う。

母の汗は混ざったにおい。
洗剤のにおいにどろのにおい。
それに肉の焼いたにおいもする。
家事をしてくれたんだよね。

父の汗は強烈にくさい。
家族で一番だ。
一日じゅう作業着で、休まずに
ずっとずっと働いてくれている。
工場のにおい、会社のにおい…。

汗ってすごいなあ。
みんなの努力をあらわしてくれる。
その人の頑張りを認めてくれる。
必死になって汗を流す。
自分のため、
家族のため、
人ぞれぞれ違うけど
原点にかえり、
本当に大切なことを教えてくれる。

汗というもの、
それは自分自身だ。

ピエロ

岐阜県立飛騨神岡高等学校 1年 森 夢加
僕はピエロ
顔をつくり 自分を偽り
自分に嘘をついた
弱く醜い 自分を隠して
嫌われるのを恐れて
優しい綺麗な自分をつくり続けた

本当の自分は 何処にいるの
何が本当か分からない
自分がどんどん離れてゆく
いつのまにか 自分をつくることが
あたりまえになってた
もう 戻れないのかな
戻りたいよ あの日に

大好きだったあの子
無邪気に笑ってた僕
毎日が神様の下にいるかの様に
綺麗で 透明で
目の前はいつも輝いてた
あの子と手を繋いで
あの子の創った話を聴いて
あの子の笑顔を見て
あの子と一緒に笑った

黒闇の中の僕の前に 僕が立ってた
ずっと笑顔で 悩みなんてない
綺麗な僕 偽りだらけの僕
「怖いなら僕の中にいればいい」
甘い誘惑 逃げ出したい気持ち
閉じこもった僕

誰かが言ってる
「いつも笑顔で優しそうだわ」
皆知らない 本当の僕を
「楽しくなんかない」 叫びたい
叫べない 「壊したくない」

本当の気持ちは 心の奥深くに
馬鹿みたいに 震えてる
誰かが見つけてくれるのを
抱きしめてくれるのを
膝を抱えて 待ってる

「おもしろいね」
嘘が隠してさ
「そんなこと思ってない」
壊したくなくて

埋もれてゆく心
本当が消える前に
「誰か気付いて…」

奨励賞
私の1日

高岡市立平米小学校 5年 荒井 瑞生
私ミズキ
あっ!!
妹にアイスとられた
もうおこっちゃうぞー
ガオー
あ!!あれ!?
ライオンになっている
あーあ
ケンカしてつかれたから
もうねよう
大きく背のびしたら
キリンになっちゃった
グー…おなかすいちゃった
そこらへんの草でも食べてから
ねよう
うーん…おはようご…
あれ!!
馬になっちゃった
あ…もしかして
馬の草だったのかも
まっ…まわりでも見てこよう
パッカパッカ
あれ…足が緑にそまって…キャー
カッパになっている
あ!!そうだカッパならうまくおよげるはず
スーイスーイうっはーきもちいい
ん…んんんん?
あらまっ…お次はペンギンですか
もうヘトヘトだ家に帰ろう
ヨチヨチヨチ…
とり…ですねってことは!とべる
飛んで雲の上まで行きたいなぁーバサバサ
あれ…とべない…もう地面
いつのまにかうさぎになっている
うーんもっと飛びたいエーイ…
カンガルーになっちゃった
おかしいなー
ヘヘヘ…お中に入ってみよう♪
んん…なんかピンクのドアが…
見たことがあるような…
ボク…ドラえもんニコッ
あ…もう夜だ走って帰ろう
ズッテーン…ころんじゃった…
ってここ坂道じゃんイーカー
とまってー
コロコロコロ…
ドッシーン。
いてて…ようやくとまった…
あれ?
自分の家の前にいるし
もとの自分にもどっている
いっけんらくちゃく

ハークション

高岡市立平米小学校 5年 渡部 桃子
ハークション
ぼくね かぜひいちゃったんだ
鼻が ムズムズするよ
ハークション
あれれ
おふとんが熱いよ
おふとんも
ハークション
あれれ
おうちがグダーと
とけたみたいになってるよ
おうちも
ハークション
あれれ
ぼくの大好きな公園も
ゴホゴホ言ってるよ
公園も
ハークション
あれれ
日本中の生き物が
おうちでグーグー
ねているよ
日本中の生き物も
ハークション
あれれ
世界中の人たちが
マスクを付けてるよ
地球が真っ白に
世界中の人たちが
ハークション
あれれ
何にもならないよ
あっ分かった
地球が雲の大きいマスクを
付けているからだ
あれれ
ぼくはいつのまにか
元気になってたよ

ペンたちは

小矢部市立石動小学校 6年 小神 鈴華
ぼくは鉛筆
いつも人間たちに
頭をけずられて
だんだん小さくなる
友達はマジック君

ぼくはマジック
いつも人間たちに
鉛筆君の線の上を
通ったりして
だんだん頭が
うすくなっていって
使われなくなる
友達はシャーペン君

ぼくはシャーペン
いつも人間たちに
頭に開いた穴から
しん君を通されて
しん君とすぐに
お別れしないといけない
友達はボールペン君

ぼくはボールペン
いつも人間たちに
頭のボールを
まわされちゃって
頭がくらくらする
友達はいーっぱいいる

いろんなペンが
あるけれど
ペンたちは何を
思っているかは
わからない
いつもなにげに
使っているペンが
どんなペンかはわからない

ペンたちは
「楽しいようで大変
 なようでいつも
おもしろいんだ。」

歌う動物たち

南砺市立福光中部小学校 5年 斉藤 葉南
わたしのね 動物えんの どうぶつは
いつもきままに ステップふんで 1・2・3 いっしょに 歌もうたってる
つかれたときには みんなすわって どすん どすん 動物えんが ゆれていて
まい日 とっても楽しいげな わたしの 楽しい 動物えん
わたしが かなしいといったらね 大きなこえで やさしく 歌ったんだ ピヨ ピヨ ガァ ガァ パオーン チュン チュン
みんな それぞれ 自分の声を 聞いてくれと ジャンプしながら 歌ってた そしたら どんどん 高くなり 歌う夜空の ほしになっちゃった 今日の 夜空は どうでしょう 歌う 動物園は ありますか

夏休み

富山市立桜谷小学校 2年 山本 いお
夏休み
太ようぎらぎら 
あつい海でスイカわり
なかなかわれない ぼんぼんぼん
夏休み
かぞくでおんせんどこに行く?
草津 ゆばたけ いおうのにおい
さっぱり のんびり いいゆだな
夏休み
ながしそうめん ながれが早い
そうめんぼとぼと出てくるよ
さっとつかんでつーるつる
夏休み
たのしかったよ 何あった?
あっというまに二学きだ
たくさん百点とりたいな

ピエロ

高岡市立高陵中学校 1年 阿部 文音
泣いている
けれど笑う

悲しさと楽しさ
二つが一つになった

大粒の涙を流し
にっこりと笑う

泣いて笑う
それがピエロ

ひびきわたる音楽
さあ夢の世界へ

ステージに立ち
華やかなパフォーマンスで

みんなが笑う
笑い声であふれている

わくわくする
うれしくなる

そう…
みんなを楽しませて
笑顔にする
それがピエロ

明日

高岡市立志貴野中学校 1年 本江 光
明日、明日と
みんなは
言うけれど
いつから
いつまでが
明日なんだろう
朝日が
昇ってから
沈むまで
いいや
違う
明日は
誰かと
出会ってから
別れるまでが
明日
それじゃあ
またあした

明日の準備

富山市立奥田中学校 2年 土田 晴香 様
毎日、景色は私たちの横を通り抜けていく。
光になって。
今日起きて一番に目に映ったもの。
昨日より明るい朝の光。

毎日、景色は私たちの横を通り抜けていく。
風になって。
今日外に出て一番に体を駆けたもの。
昨日より爽やかな風。

毎日、景色は私たちの横を通り抜けていく。
私たちが気づかないうちに。
みんなが寝静まった夜、今日をがんばった人にだけ、
明日の光を風を、そして色を与えてくれる。

毎日、景色は私たちの横を通りすぎていく。
色になって。
一日がゆっくり終わろうとするときの大きな動き。
赤い太陽が沈みゆく、美しい夕焼けと
そのまわりをとりまく色とりどりの雲。
今見えるこの瞬間を大事にしまう。
心の中に。大きな引き出しに。
たくさんの新しいものをしまって
明日の準備をしよう。

素振り

高岡市立五位中学校 1年 大菅 稜馬
家でゴロゴロしていると、お母さんに、「ダラダラしとらんと、素振りでもしてこられよ。」と言われた。
しかたなく素振りした。
 やっぱりダラダラ10回振っていやになった。家に入るとお母さんに、
「もうおわったが。」とまたいやみを言われた。
 満月の夜のすぶり。
月がバットをもちかまえたぼくの体を大きくうつす。
なんだか強そうに見えた。
バットがブンブン音をたてる。
月までのホームランを夢見ながら何度もバットを振った。
 先輩のいいバッティングを見た時。
バットを無情に振りたくなる。
先輩みたいになりたいという気持ちがバットを何度も振らせる。
お父さんが様子を見にきた。
真剣にアドバイスしてくれる。
 試合の日
今日こそは打ってやる。
という気持ちでバットを振る。
お母さんが窓からぼくのことを見てニッコリ笑ってまた洗い物をしはじめた。

一人残って

高岡市立高陵中学校 3年 生地 真乃
気が付くと 何も無かった
誰も いなかった

家族も
あいつらも
…あの子も

奪い去られたことが悔しくて
護りきれなかったことが悔しくて
天を仰いだ 涙が零れ落ちないように

どうして天空(そら)は 美しく 綺麗に笑うのか
「私には関係無いもの」とでも言いたいのか

こんな酷(むご)く 美しく 綺麗な世界の中
馬鹿で 無力で ちっぽけな人間は
どうして こうも醜く 争うのか

自然

富山県立高岡高等学校 2年 吉田 颯人
夜、空を見上げてみる。
ど真ん中に大きな大きな、まんまるの黄金色。
目を、凝らしてみる。
その周りにばらまかれた、きらきら輝く無数のビーズ。
手を、伸ばしてみる。
あぁ、どうしてこんなに僕はちっぽけなんだろう。

朝、海を見つめてみる。
遠く、どこまでも広がる青空。
耳を、澄ましてみる。
ザバーンという強い音。そのリズムは鼓動のよう。
もう一度自分を思い返してみる。
あぁ、どうしてこんなに僕の悩みはちっぽけなんだろう。
昼、森を眺めてみる。
色とりどりの緑色。
足下を、見下ろしてみる。
小さな世界で、一生懸命はたらいている、小さな命たち。
鼻でにおいを感じてみる。
あぁ、どうしてこんなに森は美しいんだろう。

僕は人間だ。
僕の母親も、父親も、先生も、友達も、隣の家の人も、
八百屋のおじさんも、人間だ。
僕の周りには人間がいっぱい。
でも、それだけじゃない。
僕の周りには自然がある。大自然がある。
僕等は自然が無いと生きられない。
自然は僕等と同じ生き物だ。

でも、僕等は自然を壊してる。
台風、竜巻、洪水、土砂崩れ、地震、噴火、雷、凍結。
災害は、自然の怒りの表れだ。
災害は、僕等人間の行為への戒めだ。

自然は生きている。
僕等はそのことを忘れてはならない。
自然に生かされていることを。

野球の音

富山県立高岡高等学校 2年 野尻 桃香
朝日が昇って、私は目を覚ました
真っ白な制服に腕を通して、私は自転車に乗った
汗を流しながら、私は坂道を自転車でのぼった
大きな木々が見えた
校門に着いた
時々静かに吹き抜ける風が、涼しくて気持ち良かった
自転車を止めて、学校に入ろうとした
「カーン」
きれいな音がした
乾いた音だった
青い空に、一つのボールが上がっていた
とても、きれいだった

その日から、私は野球が好きになった

月に恋した

富山県立高岡西高等学校 2年 荻野 晴
君は大きなお月様で
誰にも心を許さず
一人きりの世界にうかぶ
君は遠くて
僕の手には到底届かない
ある日君は
小さな水たまりに溶け込んだ
君は小さくて
今なら僕の手に届く
僕はドキドキしながら君に触れる
君は儚く消えて揺れ動いた
僕は見守ることしか出来ない
強い君も
弱い君も

高校生

富山県立高岡西高等学校 1年 緑川 大雅
僕にはやりたいことが無い。
何かに夢中になったこと。
何かに本気で挑んだこと。
そんな勇気、僕には持ってない。

失敗したら、自分が傷つくだけ。
カッコ悪いじゃないか。

それでもやっぱり本気の何かを持つ人を羨ましく思った。

僕はいくつ、後悔をくり返しただろう。
どれだけ、自分を情けないと思っただろう。

勇気さえあればと言い訳する。
自分の弱さが悲しくて、腹立たしくて。

どこかで弱い自分を認める自分がいるんだ。
その自分が一番嫌いなんだ。

僕にはやりたいことが無い。
だから、時々思うんだ。
何かに夢中になることや、何かに本気で挑むことは、
どれだけ楽しいことなのかと。

だから今は強く、自分の意志を持つ。
僕は手を固く握りしめていた。

河川敷グラウンドで

富山県立富山中部高等学校 2年 辻井 優里奈
ぽっかりと
何かが欠けたような喪失感に
たえきれなくなって
外へ駆け出す

これが体育大会の後というものか
昼間 応援の声が響いたグラウンドに
ことさらに響く 虫の声
朧ろげに光る三ヶ月が
はかないこの上弦の月が
神通川の水面で揺れる
この川のとめどない流れのように
時は過ぎ
明日は巡ってくるのだろう
三ヶ月が半月となり
やがて満月となるように
時の流れよ
私の心を 早く満ちさせてくれ