第15回(2018年) 入賞者

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ポエム大賞(北日本新聞社賞)
僕のホンチャラフォイな人

富山県立高岡高等学校3年生 上山 エイジ
ひとつ好きだといってみたところで
それはたぶん嘘っぱちなんだ
僕はたぶん君のことが好きなんだけど
出来合いの語彙じゃやっぱり味気ないから
いいかえよう
僕は君のことがホンチャラフォイだ

人を好きになったのははじめてじゃないん
だけど君のことを好きになったのははじめて
なんだ いつだって芽生えるきもちは新しい
君への初恋を祝して声高らかにいおう
僕は君のことがホンチャラフォイだ

何をいっているのかわかんないって?
安心して
僕もわかんないから
たぶん、そこに君を好きになった理由が
隠れているんだろうな
ああ、やっぱり
僕は君のことがホンチャラフォイだ

ふざけてなんかいないよ!
まじめなわけでもないけれど
僕はただしあわせなんだ
おあいにくさま僕の持っている辞書に
君への思いを表現する言葉はのっていないんだ
ただそれだけ
しあわせというのもへんかな?
僕は君にあえて本当にポコタラテンだ

君が僕をどうおもっているかなんて
目をみればわかるよ
僕の目は君への思いをちゃんと
届けられているかな
ああ、そんな申し訳なさそうな顔なんか
しないでよ…

せめてきみの前では笑っていたいんだ
泣き出しちゃいそうだからひとつつよがりを
いわせてくれないかな
いつか君みたいなすてきな人に出会って
お互い同じ気持ちになれたなら
卒業アルバムを僕のコケポリンな人に
見せてこういうんだ
「昔、僕のホンチャラフォイだったひと
だよ」ってね

富山銀行賞
「とーたんにそっくり」

高岡市立東五位小学校6年生 吉田 啓人
ゲームばっかりしていたら
お兄ちゃんに
「ちゃんと時間決めてしよ!」
と言われたよ
前はお兄ちゃんもたくさんゲームしてたのに
今はとーたんにそっくり

ゴシゴシゴシゴシ大急ぎで歯みがきしてたら
お母さんに
「ちゃんとていねいにみがこ!」
と言われたよ
前はお母さんが早くしられーと言ってたのに
今はとーたんにそっくり

ぼくの顔を見たとーたんの知り合いはみんな
「とーたんにそっくり!」
とおどろくよ

とーたんはいつも写真の中で笑ってるけど
時々お兄ちゃんやお母さんやぼくになって
今も家族の中にいるよ
とーたんはぼくのお父さんだよ

最優秀賞
坂道の先

栃木県立宇都宮女子高等学校2年生 岩佐 雅
坂道を
転がるように逃げた先に
ゴジラのような
大きな恐竜が
立ちはだかっていた
くるりと引き返し
坂道を
吐きそうになりながら登った先に
長蛇の列のコロッケ屋があった
なぜか私は
一時間も並んで
熱々のコロッケをほおばる
坂道の下には
まだあの恐竜
目の前には
熱々のコロッケ
ああ、おいしい
そう思ったのは一瞬
坂道を
私は転がり
恐竜の足元に
吸い寄せられた
恐竜と思っていたものは
ああ、私だったのか
では、あのコロッケは
誰だったのか。
ああ、あれも私だったのだ。

color

高岡市立芳野中学校2年生 石田 恵里奈
 ピュアホワイトのキャンバスに、お気に入りのウインザー&ニュートンのウォーターカラーで大きな円を描く。

 ふんわり柔らかで暖かなカドミウムオレンジは、家族を愛する母の色。
私にとって世界そのものの存在だから、海より深いコバルトブルーをaddしよう。

 ワーキングカラーのビリジアンは、父の色。爽やかなグリーンに強さのブラックをミックスし、冷静さと大きさと偉大さをexpressionしよう。

 パーマネントローズとペアレントイエローは、姉たちの色。
 今日のカコ姉は少しイジワルだから、フタロブルーをプラスしてちょっと仕返しをしてみる。

 ナーバスなマチ姉には、ペールピンクを加えオマケに桜をsprinkle。
合格祈願と元気をgiveしよう。

 けれど、どんなに色を混ぜてもカコ姉は元気色になり、マチ姉は穏やかになる。
気分次第でアイボリーになったり、セピア色になったりする私は二人には絶対かなわない。

 ピュアホワイトのキャンバスは、家族の個性が集まった虹の色。

 私のキャンバスは、いつも不思議大好き色。
 激しい色を注いで飾り立てても、似合うはずもない。
 だから、色彩ルールなんて絶対信じない。
 でも、鳥たちが交響詩を演奏するようなテンポよく言葉のように語りかける色を見つけたり、毎日のcolorを自由自在にチェンジできたら、悩みもなく迷いもなくステキな毎日が過ごせそうな気がする。

 ムダなテクニックは必要ない。
 私だけのスペースで、freedomなcolorを作り出そう。
 世の中の悲しみを色に隠して、無限大の色をグルリと混ぜて私だけのcolorを見つけよう。

 私のオリジナル・カラーは、心を開放し明るくなる不思議色。

 明日は、何色の自分に出会えるだろう。
 わからないから毎日が面白い。

南砺のじいちゃん

射水市立歌の森小学校5年生 近藤杏珠
いつも 長いTシャツをワンピースにして着ている
いつも ガムをかんでいて
かみ終わったらペットボトルのふたに
ガムをつけている
いつも
「ジャジャジャジャーン」
「ポンポコリーン」
と大きな声で変な人みたいに言っている
いつも おならをしてるのに
「なーん おじいちゃんせんもん」
と言う
いつも 夕飯のときお酒を飲んだら
声が大きくなって おこり出す

じいちゃんは働き者だ
せっせせっせとひとつも休まず
農業と家の仕事をする
コンバインでいね刈りをしているとき
白さぎのマシロくんと
カラスのクロすけが
応えんしてくれた
働きすぎて足が痛くなり
病院へ行ったこともある
家族のために毎日働いている

変なことばかりする 南砺のじいちゃん
働き者の 南砺のじいちゃん
不思議なじいちゃんです

優秀賞
老い

東洋大学附属姫路高等学校1年生 藤原 瑛人
枯れて折れそうな
細くて枝のようなその手の奥に
強い力と光があった
枯れて消えそな
細くて風のような声に
強い思いと心があった
白い病室僕の手を
握ってあなたは何度もつぶやいた
おばあを‥たのむ
おばあのところにいってやってくれ
あなたの光が消えそうなのに
病室に痴呆で行けず
少女のような祖母
時間が戻り、進み消え
時折 祖父と重なる時間
あなたは自分の事より
相手を想うのですか?
消えそうななくなりそうな記憶の中
握った手は力強く温かかった
ただ 頼む…。と繰り返すあなた
枯れて折れそうな
細くて枝のようなその手の奥の
時間と思いと優しさが
ぼくにフッと入った気がした。
うなずくしかなかった僕
うなずくしかなかった母
細くて風のような声は
いつしか吐息に変わったけれど
思う相手に届いているはず
僕が見た老い
教科書や本にはなかった
僕が見た老い
そして本当の心と言葉
消えそうでなくなりそうな声
真実で確かな言葉と思い
思う事の幸せ
思われることの幸せ
見えない幸せは僕の中に入った
たのむ…
僕に何ができるだろうか
あなたの代わりに

夏の真っ最中

高岡第一高等学校1年生 角 美来
鉛筆の文字は消していいけれど
宿題を諦めることは決してできない

恋に焦がれてもいいけれど
今夜の主菜の鰯は焦がしてはいけない

かき氷が溶けるのはいいけれど
墓を「肝試しだ」とけるのは恐ろしい

花火大会に行きたいけれど
その間放送される番組への期待が止まらない

海で遊ぶため水と塩飴持ってきたけれど
海水飲むのが最も賢い

スイカ割りするのはいいけれど
後片付けにはわりと困りやすい

風呂上がりに夕涼みしようと来たけれど
シマシマな服着た蚊のせいで足がかゆい

友達と星を見るのは好きだけど
昨日切った前髪はすきすぎて恥ずかしい

夏休みは楽しいことだらけだけれど
自分ばかりじゃなく他の学生の予定も聞いてみたい

おかあさんの手

大津市立瀬田北中学校1年生 佐藤 爽音
お母さんの手
大好き
やわらかくて
いいにおいがして
なでられると
あったかくなるの
おかあさんになでられてると
いやなこともみんなわすれてしまう
ふわふわして
とてもいい気持ちになるのよ

チク
チク
あれお母さんの手チクチクするよ

チク
チク

あれ
お母さんの手から
小さな小さなトゲがでてる
でもだいじょうぶ
ちょっとチクチクするだけだから
だからお母さんもっとなでてね

あれ
トゲが少し大きくなった
ちょっといたいよ
おかあさんには見えないのかな?
銀色の小さな小さなトゲが

 コレハアナタノタメダカラ

おかあさん ありがとう

わたしがんばるね
もっともっとがんばるね
だけどね
お母さん
そのトゲは 私をさすの

 コレハアナタノタメダカラ

おかあさん
銀色の小さなとげは
鉛色のナイフに変わったよ
ナイフは私の体と心を突き刺すの
私は血だらけなのに
おかあさん 見えないの?

 コレハアナタノタメダカラ

でもがまんするね
おかあさんが好きだから
だからおかあさんわたしをなでてね
ずっとずっとなでててね

私がこわれてしまうまで

雨に歌う

和歌山県立日高高等学校附属中学校3年生 藤田 恵理子
大きくもない窓の
クレセント錠を回す
落下防止のポールに雨が吸いついている
伸ばした手を滑らせれば
厭になめらかに雫がかたむいた
落ちていくイメージが音を立てる
 学校の三階で
 願う二人は
 いつかの歌を歌う
 全く同じ歌を
 全くハモることもなく
 全く聞こえない声で
窓から伸ばした右手と右手は
冷たくなっていくばかりで
それでも雨に穿たれるままにしている
 あたたかさ
を感じられるように
そんな人になりたいと
心にもない歌を雨に

ふ・ふ・ふ

高岡市立横田小学校4年生 上坂 粋生
転んでひざ6針ぬってママにギャーギャーおこられた
ふふふ
でもぼく知ってるもん
ばあちゃん、こっそり教えてくれた
ママ子供の時、オウムにも犬にもかまれたって
それに比べりゃへっちゃらさ
宿題やらなくてママにガミガミしかられた
ふふふ
でもぼく知ってるもん
ばあちゃん、こっそり教えてくれた
ママ夏休み最後の日、宿題山ほどのこってて毎年ピーピー泣いてたって
それに比べりゃへっちゃらさ
ぜーんぜん勉強しなくてママにグチグチおこられた
ふふふ
でもぼく知ってるもん
ばあちゃん、こっそり教えてくれた
ママは8時にサッサと寝てなぁんにも勉強せんだから、ママがなりたがってた忍者にも探偵にもなれんだよって
それに比べりゃへっちゃらさ
ばあちゃんいわく
こりゃあ遺伝だよ
すいは、ママそっくりだ
ふふふ
でもぼく知ってるよ
ぼくがひざをぬってもらってる時、ママは痛くないのにポロポロ泣いてくれたこと
宿題やらなかったら先生におこられてかわいそうだってことをよーく知ってるママだってこと
一生けん命勉強しないとせっかくの夢がかなわないって教えてくれてること
ふふふ
ぼくママそっくりだけど
やればできる子だって
知ってた?

電気けしてから…

奈良市立青和小学校3年生 山本 嶺央
なおちゃん、なおちゃん、かわいいね。
けれど電気けしてから
「お茶のみたい。お兄ちゃんお茶いれて」
と言わないでね。

あんなちゃん、あんなちゃん、かわいいね。
けれど電気けしてから
遊んだり、はしゃいだりしないでね。

れいなちゃん、れいなちゃん、かわいいね。
けれど電気けしてから
大きな声で数をかぞえないでね。

3人とも、ぼくのかわいい兄弟。
でも、3人はうるさい。
それでも、僕が一番にねる。
弟と妹は、ねるのがおそいから、
朝もおそい。
ぼくが登校している時も、
まだねていると思う。
弟と妹の体内時計はどうなっているんだろう。
ぼくの体内時計よりおそいと思う。
ぼくはふしぎに思った。
なぜ弟と妹は、夜、電気を消すと、
あんなに元気なのだろう。

弟と妹が学校生活が始まったら、
あんなに朝ゆっくりしていられない。
学校は登校時間が早い。
保育園には行く時間がおそい。
だからのんびりできるんだなと思う。

最近はおばけがでるといっても、ねない。
どろぼうがくるよ、といっても、ねない。
電気は一回消したけど、
お茶いれてあげるから、ねようね。
めんどくさいけど。
つかれているけど。

電気消したら、
ねることだけを考えよう。
3人とも楽しいゆめを見てね。
お兄ちゃんは、みんなで、遊園地にいっているゆめを見るね。

明日の朝は、みんなで一緒に起きて「おはよう」と言おう。
じゃ、電気けすね。
明日もいい日でありますように。
「おやすみなさい。」

佳作
ニキビ

高岡第一高等学校1年生 谷内 愛莉
私の肌にはニキビがある
それはそれは数えきれないほど、ある
ほっぺのニキビが治ったっと思えば次はおでこにできるし
見えるか見えないかレベルの小さい者やら
1人だけ裕福だなって者もいる
思春期だからしかたない?
確かにそれも原因だろう
しかし、私と同じ年の子でもキレイな人はキレイだ
まるでもぎたてトマトのようにつるんだ
悔しくて豆乳飲んだり、パックをしたり…
皮膚科にまで通っているよ
ハッハッハ…こりゃたまげた
この者たちのしぶとさよ
正直認めたくないが、この者らの生命力には驚き、桃の木、山椒の木だ
まあ、一生は無いと思うが(そうであれ)
当分付き合うことにはなるだろう…
そんなニキビ達のしぶとさだけは私も見習って、
今でさえ着いていけてない勉強や
正直苦手な人間関係(逆に得意な人なんているのだろうか)
いつも優選順位を間違えてしまう、自分の弱い心にも
必死にしがみついて、克服してやる
これからお互い仲よくしよう
小さな住民たち

数と日常

高岡第一高等学校1年生 南 楓馬
僕の日常は数に縛られているらしい。
まず1日の始まりは6という数字によって始まる。
次に7という数とともに登校が始まる。
そして9という数とともに学校のチャイムがなり、それと同時に授業が始まる。
12という数になると弁当を持って友達のもとへ行き昼食を食べ始める。
16という数とともに最後の授業の終わりのチャイムがなる。そして部活を始める。
19という数になると下校する。
20という数になると風呂に入り始める。
そして22という数とともに1日を終える。
僕はやっぱり数に縛られた日常を過ごしている。
でも数というものがなかったら僕はどう過ごしていただろう。
僕は思う。数という物に感謝すべきだと。

帰り道

富山県立雄峰高等学校4年生 高村 咲菜
冬の帰り道
まっ白な地面を踏みしめて 歩いていく
寒さにたえながら
はやくあたたかい家に帰りたい。
そう思いながら 歩いていく

春の帰り道
鳥たちの鳴き声を聞きながら 歩いていく
いろいろな植物が咲いているのを見ると
もう春なんだなぁ。
そう思いながら 歩いていく

夏の帰り道
田んぼやまわりの風景を見ながら 歩いていく
暑さにたえながら
はやく涼しいところへ行きたい。
そう思いながら 歩いていく

秋の帰り道
虫の鳴き声を聞きながら 歩いていく
落ち葉を見ると
もうすぐ冬がくるんだなぁ。
そう思いながら 歩いていく

毎日同じ帰り道
だけどやっぱりちがう道

沼に眠る蓮

山下 ゆい
泥にまみれても蓮は真白
雨の日は葉に雫を弾き
露に静寂の世界を閉じ込める

十六夜の眩い月光は
森にどさりと落ちた僕の死体を
青く冷たく照らし
巨木の根が抱える岩のように
簡単には動かせぬ誓いのように
氷の光にすい込まれ
月光とともに僕はまた生れかわる

いにしえの井戸から
耳をすませば
精霊の囁く歌が響くとき
僕の魂は水銀となり沈んでいく
水底の闇へとのまれ
落ちていく聞こえない音は
永遠を彷徨う

今日の僕に別れを告げ
魂は月の舟に乗り
砕け散った星の河を
金銀鈴の音と流れて
いつか優しい悲しみの森に辿り着く

白い月から起きあがり
手をのばすと
指先にあるものさえ何か分らない
濃い霧に包み込まれる
僕は森の息吹の記憶を紡ぎ霧を織る
その時銀の光に生まれる朝露には
千年の森の生命(いのち)たちが眠る
そっと落ちてはじけ
朝が息をはじめる

誰もが僕を忘れ去ったあと
また生れかわる
お釈迦様が佇む池の
極楽に咲くという美しい蓮のように

はな

富山県立砺波高等学校2年生 坂下 ひとみ
咲いた 咲いた 何が咲いたの
恋の花が咲いたよ
全てが 魅力的に思えたよ
二人の時間 大切にしたい
一時的な ときめきで
結ばれる人も いるかもね
だけど そのうち 気がつくの
周りが 見えない 自分に
運命の出逢いはあるのかしら
咲いた 咲いた 何が咲いたの
愛の花が咲いたよ
私の幸せ 二倍になったよ
好きと 愛は 違うんだ
形が変わっても 飽きない
信頼と 尊敬で 築き上げる
一生の約束だよ
家族 友達 恋人 先生 …
みんな みんな 大切なんだ
失って 気付くのは なぜかしら
咲いた 咲いた 何が咲いたの
火の花が咲いたよ
夜空 いっぱいに 広がったのは
大きな 大きな 三尺玉
鎮魂花火が由来のお盆花火
若者も 年寄りも ご先祖様も
みんなで 見上げる 夏の夜空
あの人も 見上げて いるのかしら
うまくいかなかった 恋だって
失って気付いた 愛だって
後悔するのは 間違ってる
ずっと ずっと
あなたは あなたで
私は 私
上を向いて 歩こうね
ひまわりのように
太陽に 向かい
ガーベラのように
真っ直ぐと

四季

佐世保市立清水中学校3年生 松田 ゆずは
春  紫色のライラックがひとひら揺らいでとけた その瞬間
あたしは透明に染まったのだ
まるで シトリンの火花に触れてしまったみたいに
そのしろくまぶしい火の粉で 胸はどきんと灼けて
にわかにぱっと差し込んだ光さえも痛いようだ

夏  リナリアも雨に濡れて すっかりしおれてしまった頃
水平線の彼方でごぼごぼと沸き立つ雲を見ては
ふいに胸が詰まってどうしようもなくなる
花火があなたの頬をきいんと照らしたり
真昼のがらんとしたバス停に 微かに死の匂いが漂っていたりしたことは
未だ憶えているのに

秋  シュウカイドウの蕾が遅れてひっそり開く時
ちらちらと舞う緋色も ゆれる黄色の電燈も しずかに微睡んでいた
空があんまり透きとおっているものだから
なんだか泣きたいような 笑い出したいような気になって
あたしは急いで支度をした

冬  アングレカムが月明かりを吸い込み 仄明るくいた数秒間
それはしんとつめたく光る朝のようだった
鮮やかに色褪せていく花のようだった
しずかに爆発するマグネシウムのようだった
あなたの瞳の奥には 青じろく燃える鉱石が宿っていて
瞬きをする度に火花が散るのを あたしはたしかに見ていたのだった

あたしはあなたに きいろく光るスターチスを 渡さなければならないのだ

足の速いドラえもん

氷見市立西條中学校1年生 湊 楓真
あたしドラえもんなの
あたし走るのとくいなの
あたし50m走3.2秒なの
あたしもっと走りたいの
あたしのはなをおすとおしりからジェットが出るの
あたしオリンピックに出てみたの
あたしのいきおいで選手たちはみんな飛んでいっちゃったの
あたしは1番だったの
あたしはキラキラの金メダルがうれしかったの
あたしどんどん走るの
あたし世界を午前中に走り終わったの
あたしどんどん速くなるの
あたし速くなりすぎてまさつで地球を黒こげにしちゃった

花とあなた

美濃加茂市立西中学校1年生 傍島 香穂
お花畑がありました
一つ二つ三つ四つ五つ
かぞえきれないほどの花がありました

映画館がありました
一人二人三人四人五人
かぞえきれないほどの人がいました

空がありました
一つ二つ三つ四つ五つ
全部形のちがう雲がかぞえられないほど
ありました

夜空がありました
一つ二つ三つ四つ五つ
かぞえられないほどの星がありました

戦争をしていました
一かしょ二かしょ三かしょ四かしょ五かしょ
どうして同じ人間なのに
あらそうの? うばいあうの?

もし、地土がほしいのなら
もし、食べ物がほしいのなら

それは今、あなたたちが
「うばっているもの」
「こわしているもの」
「けしているもの」
なんだよ

だってあなたたちがうばいあっているのは
かぎりのあるものなんだから

だからね、
きづいてほしいんだ、

この世で一つしかないのは、
「地球」
そして
「あなたの命」
大切にしなきゃ
だって
「あなた」
が生きるために食べていたものは
すべて
「だれか」
の大切なものなんだから

すべて
一輪の花のように

神さまのお告げ。

小矢部市立石動中学校3年生 居林 大星
あなたが
 ああ じぶんが じぶんで
     よかった。

と そう思える 人に なりなさい。



  そう神さまが 言ってたから


     遊んでくるわ。

「一日五百四十歩」

小矢部市立石動中学校3年生 山田 莉子
六歩歩いて ドア開け
九歩歩いて 朝食食べる
十五歩歩いて 玄関を出る
百二歩歩いて 学校に着き
六十四歩歩いて 教室入る
十五歩歩いて 理科室へ行き
睡魔と戦い 授業を終える
二十歩歩いて 体育館へ
二百四十二歩走って 倒れこむ
十八歩歩いて また教室へ
二十二歩歩いて 給食準備
さっぱりわからぬ 数学の時間
古文が読めぬ 国語の時間
学校終了 Go my home
百五歩歩いて 家に着き
ゴロゴロゴロゴロ 時間は過ぎる
十二歩歩いて ベッドで寝るが
宿題忘れた 明日にしよう

わたしの家の毎日

高岡市立平米小学校4年生 深澤 日向
私の家の日常はいっつもダラダラ

いつもお母さんがせかせか

だからおとうさんもムカムカ

お兄ちゃんはギターをジャカジャカ

お姉ちゃんは二階でギャーギャー

そして私はおかしをパクパク

愛犬くるりはいつもキャンキャン

いいところもいっぱいあるんだ

お母さんはいっつもシャキシャキ

お父さんはいつもゲラゲラ

お兄ちゃんはいつもシャカシャカ

お姉ちゃんはいつもララララー

私はいつもくるりをよしよし

愛犬くるりはみんなをぺろぺろ

いっつもニコニコ大ばく笑

これが私の日常だ

えん

高岡市立下関小学校4年生 髙志 歩
一円
十円
ウエーンウエーン
ないちゃった


千円
一万円
こうしえん
チケットとるには
お金がいるぞ
さっき言ったお金
空からふってこないかなぁ

ぼくのゆめ

高岡市立平米小学校4年生 篠原 鴻介
ブィーン。こわかった。
ちりょうをしているとき、きんちょうしていた。
むし歯のためにちりょうをしてもらった。
ゆうごはんのあと、
いたいと感じた。
お母さんに言おうかな。
「なんか歯がいたいんだけど。」
「えっ、うそー。」
お母さんは、びっくりしていた。
ぼくは、いやだった。
子どもの歯がむし歯になっていた。
あまいものをたくさん食べているからかなと思った。
お母さんは言った。
「歯と歯の間にむし歯ができているよ。」
「えー。」
ぼくは、ちりょうをすぐにしなかった。
「ドキドキドキ。」
お母さんは、言った。
「虫歯のままでいいの?」
ぼくは、言った。
「いやだ。」
お母さんは、ため息をついた。
「歯医者さんになるのにねえ。歯のいたみが分からないとだめだよ。これもいいけい験だよ。」
と言った。
ぼくは半分泣きながら口を開けた。
「ブィーン。」
音がしてジェットのような水が出てきた。
あれ?いたくないなあ。
ぼくは、ほっとした。
あんなにドキドキしていたのに。
ちりょうはおわった。
ありがとう。
いたくなかったよ。
お母さんは、
「大変なかんじゃさんだな。」
と言っていた。
だってこわいんだもん。
でもぜんぜんいたくなかったよ。
ぼくのゆめは、はいしゃさんになること。
かん者さんの気持ちがわかったような気がした。
何年か後には、なっているかな?
歯医者さんに。

そうおもったら

高岡市立下関小学校4年生 市田 美知瑠
先生が、
うんと頭がいい
そうおもったらおおちがい


パンやさんは、
いつもパンを食べている
そう思ったらおおちがい


かんごしさんは、
びょうきにかからない
そう思ったらおおちがい


このほかにも、
そうおもったらおおちがいが
うんとある。


そしてすこしは
ほんともある。
それをあなたが、
さがしてみよう!

立山登山

高岡市立横田小学校6年生 岡田 悠煌
雲海がゆらぐ
そこに きらめく光
万年雪がかたる
それら てらす夜空
植物はもえる
そして かくす雷鳥

血の池がにごる
そこに ひそむ地獄
浄土山がうかぶ
それら みせる極楽
川は荒ぶる
そして はばむ水

十二さいが登る
そこに ためされる勇気
言葉が支える
それら 登頂への一歩
つらい 苦しい かえりたい
そして なぜ登るのか

うれしい 楽しい おもしろい
それは 今だから

大人と子供のはざま
みんなと私と立山連峰

奨励賞
幸せ

岐阜県立飛騨神岡高等学校3年生 小木曽 都
息をしているだけで
ご飯を食べているだけで
今日を生きていられる

起きていても
眠っていても
今日は過ぎてゆく

それなのに

子供でも
大人でも

どうして

人生に意味を見出そうとするんでしょう
いつだって幸せになろうとするんでしょう

そのために

着飾って
人と争って
格差をつくって

人と比べないと
人生の意味は
幸せは

得られないんでしょうか

四季を愛でるだけで
ご飯を食べているだけで
手を握るだけで

幸せなのに


富山県立雄峰高等学校3年生 上田 匠
それは小さなおじいさんでした
それは働き者の青年でした
それは背の高いおじいさんでした
それは仲の良い兄弟でした
それは臆病な少年でした
それは壊れかけのメトロノームでした
それは古い懐中電灯でした
それは薄くなったスポンジでした
それはしなやかな枝でした
それは小さな吸盤でした
それは大きな鏡でした
それは共に戦ってきた友でした

それに私は助けられたし
何か一つでも欠ければ
私が前に進むことはできなかったでしょう
それがいつまでも健やかであることを
私は願います

気持ち

富山県立雄峰高等学校4年生 干場 捺音
街角ひとり歩きながら
すれ違う人の多さ
みんなはどこへ向かってるのだろう

私だけが向かう 反対へと
自分の感情に
素直でいたいだけなのに

時には傷つくことあっても
この愛を信じて 心閉ざしてること
あなたにわかってほしい

きっと 変われる
もうひとりの自分

小さな勇気で 私は強くなれる いつか
この世には すべてわかり合える
何人の味方がいるのかな

私がいつも不器用なせいで
気づくたびに そばに誰もいない

言葉が足りなくて
誰かに触れるのが怖かった
悲しみに慣れれば 涙流さなくてもいい
私は孤独が好きだ

だけど 変われる

知らなかった自分に

日常

富山国際大学附属高等学校1年生 長谷川 千弥
「いってきます」
笑顔で家を出ていく 大好きな人
とたんにさみしくなって 孤独になる

外は晴れ晴れ
アブラゼミの鳴き声 つい反応してしまう
盛りつけられたお昼ご飯 口いっぱい頬張る

気がつけば夕暮れ
dorekurai ohirune
sitanokana?
夕暮れのおひさま まぶしいな
     ガチャッ

「ただいまぁ。おまたせ!」
帰ってきた 大好きな人
嬉しくて 思わず飛びついてしまう

「ワン!」

あしあと

富山県立雄峰高等学校2年生 松崎 七穂
私は歩いています
いつでもゆっくりゆっくり 歩いています
川の音が好きです
鳥の声が好きです
木々の間から差し込む光が好きです

私は歩いています
ここがどこかも分からずに
私は歩いています
気ままに流れる雲が好きです
青く澄んだ空が好きです
それを見つめる私のとなりを
人は忙しそうに駆けていきます

私は歩いています
いつでもまったりまったり 歩いています
本を読みながら
歌を歌いながら
季節を感じながら 歩いています

これからも私は歩いていきます
ゆっくりゆっくりと
誰かと競うこともなく
自分の歩幅で
歩いていきます

たくさんの好きを探しながら

タイムマシン

氷見市立西條中学校1年生 能登 千寛
僕はタイムマシンに乗って
今、ひょうが時代にいる。
なぜかって?
それはかき氷を
たくさん食べたかったから。
食べすぎて頭がキーンと痛くなった。

僕はタイムマシンに乗って
今、きょうりゅう時代にいる。
なぜかって?
それはあいつが
きょうりゅうの子孫とかいうやつを
じまんしてきたから。
なんなら僕はきょうりゅうと友達になって
おどかしてやる。

僕はタイムマシンに乗って
今、「僕が生まれる直前」にいる。
なぜかって?
それは…
お母さんが僕のことをどう思っているか
知りたかったから。
ただそれだけ。

ドラえもんがいつか言ってた。
「君のお母さんは、
君が大切だから
君をしかるんだ。」
そうだ。そうだったんだ。
僕は走った。
なぜかって?
それはこの先も
必死に生きようと思ったから。
お母さんの泣く顔が見たくなかったから。
お母さんの喜ぶ顔が見たいからだ。

僕はもう
お母さんにめいわくかけない。
なぜかって?
それは「タイムマシン」で
過去を
見てきたからだよ。

雨の歌

美濃加茂市立西中学校1年生 今次 七海
 そうぞうしい教室の中
窓の奥では大雨
外を想像する

 一人雨の中
ここちよいリズムの中
そっと指揮をふってみる
ほら 大演奏だよ
一番の盛り上がりのころ
「全員帰宅」
先生の声だ
これで私の演奏会
閉演


小矢部市立石動中学校3年生 川邉 慶
僕の好きな音は「ダムダム」
 ボールが手からはなれ、床ではねる音
僕の好きな音は「キュッキュッ」
 バッシュが床と擦れる音
僕の好きな音は「ドンッ」 
バッシュが力強く跳び上がる音
僕の好きな音は「シュッ」
 ボールが手からはなたれる音
僕の好きな音は「スパッ」
 ボールがリングに吸い込まれる音
僕の好きな音は「ピー」
 得点が決まる音
僕の好きな音は「わぁー!」
       「ナイシュー!」
 家族、チームの喜びの音

おたがいのもらったもの

氷見市立西條中学校1年生 林 永人
あたしは持ってきた
ある男の子にある物を持たせるために
あたしは男の子に夢を持たせた
ダメでも出来るんだと
あたしは持ってきた
未来のものを
夢のようなものを
あたしは考えた
なんでこんなことをしているのかと
でもわからなかった
楽しませているのか
助けているのか
夢をもたせるとはどういうことなのかを
しかしそんなえらいことは言えない
あたしはその男の子にとってなんなのか
血もつながった家族でもない
いってみれば他人だった
でもなんでこんなにと考えるうちに
ふと思った
ゆいつ男の子としたしくなれるもの
それは友達だった
あたしはたくさんの男の子を助け夢を見させた
だが男の子にも希望という文字のものを
もらい続けていた
それにきずいたあたしは
その男の子に感謝の気持ちを初めて思った
ちょっと不安に思った
あたしだけが喜んでいるのではと
次の日その男の子をまた助けた
「ありがとう」と言ってくれた
その顔は笑顔だった
ぼくはその笑顔を忘れない
ぼくはその笑顔をわすれたくない

小びん

高岡市立志貴野中学校1年生 内島 葵羅
ここは、どこだろう。

ガラスの小びんの中。
ちいさなちいさなぼく。
ふたが閉まって出られない。

毒薬で いっぱい。
くるしい、くるしい、くるしい…。

ホルマリンづけの猫が にらんでくる。
こわい、こわい、こわい…。

小びんの外に お菓子がたくさん。
ほしい、ほしい、ほしい…。

右手に持ったハンマーで 小びんをたたく。
はやく、はやく、はやく…。   

ぱりん、と割れた小びんから
ぼくと毒薬が流れ出る。

お菓子は毒薬でべしゃべしゃ。
しかも小びんはマトリョーシカのように、
何度割っても次の小びん。

もう一人のぼくが言う。

「痛い」

「やめて」

そして

「本当はもう気づいているんでしょ。」


「この小びん全部君なのに」
声がひびいて頭が痛い。
ふとみると次で小びんはおわり。
けれどもそれはおおきなおおきな小びん。

かべにやっとたどりついた。

ハンマーでかべをたたく。

こわれたのは
ぼくのハンマー。

暗幕のすきま。

さしこむ光。



すぐに真っ暗。

あだ名をつけられて

黒部市立桜井小学校5年生 佐野 愛美
だれでも、1回ぐらい
あだ名をつけられる

朝、教室で
「まなちゃん、おはよっ」って

休み時間、ろう下で
「まっぴー、図書室行こっ」って

給食、ランチルームで
「佐野、これ、食べれるか?」って

そうじ、げた箱で
「さのっち、これ手伝ってくれる?」って

放課後、校門で
「まなみん、また明日ね!」って

1日ふり返ってみたら
ずーっとあだ名でよばれてる

西日本ごう雨

広島大学付属小学校3年生 北島 和真
平成三十年 七月六日
大雨が ぼくたちの生活を
ぐちゃぐちゃにしてしまった

鉄道は 止まりました
山も くずれました
家の前の道は 海のようでした
家の水は ドロ水でした

なにもかもが大雨で かわってしまった

こわくて こわくて
ひなんもできなかった
ねむれない夜

早く 早く 雨よ やんでくれ
いつになったら 止まるの?
ってねながら
おねがいしました

自ぜんは とっても近くにいるのに
とっても近くにいるのに
とっても こわいそんざいでした

雨さん おたがい仲良くやりましょうね!
奨励賞

世の中

群馬県玉村町立中央小学校5年生 栗原 幸花

あるかもしれない!?

おそらくすごい大発見
世界で一つしかないものが

五年前になくしてしまった…
妹の手袋が

なぜだろう
考えれば考えるほど

世の中

群馬県玉村町立中央小学校5年生 栗原 幸花
あるかもしれない!?

おそらくすごい大発見
世界で一つしかないものが

五年前になくしてしまった…
妹の手袋が

なぜだろう
考えれば考えるほど

わたしのおとうと

高岡市立福岡小学校校3年生 矢木 小雪
おとうとは女の子
かみの毛しばりたいという
おとうとは女の子
ピンク、オレンジがすき
おとうとは女の子
だけど、
男の子ぽいときもある
おとうとは女の子
でも青もすき
だから、
男か女か分からなくなってくる
まあ、でも名前は「けい」だから、
男の子か
わたしのまねをするのも、あと少しかな

あめちゃん

茅ヶ崎市立室田小学校5年生 水嶋 悠斗
しゅわしゅわ  もこもこ
あたまのなかから
そーだ
ひらめいた

ぱちぱち  ぷくぷく
ほっぺたふくらみ
こーら
おこられた

ひゃひゃ  すうすう
からだがぶるる
はっか
びっくりした

くしゃくしゃ  にこにこ
やさしいえがお
うめぇ
よろこんだ