第16回(2019年) 入賞者

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ねじめ正一氏選評
 たくさんの応募ありがとう。県外からの応募も増えて、益々ヤリガイがあった。
 今年は高校生部門に、世の中や大人と闘っている片鱗と、自分に対する厳しい姿勢の詩が多くあり、言葉に迫力があった。
 ポエム大賞の木倉里紗子さんの「シクスティーン・ヨンフタマル」は、世の中への強い違和感を書いている。その違和感を大仰になりがちな言葉を抑え、的確に書いているところが魅力だ。/ねぇ、何もわからないけど/君がすててしまった世界に/僕は息を吐き出せていますか?/この問いかけには深い意味があり、今の高校生の心の言葉が見えてくる。
 富山銀行賞の吉田智哉さんの「ぼくのギリギリ家族」は、ギリギリの言葉が、遅いという意味と精一杯生きているという両方の意味になっている。この家族の姿も同時に見えてきて、ほっとした気持ちになれた。
 小学生部門最優秀賞の山本嶺央さんの「ふ・し・ぎ」は、(そら)(ザラメ)(飛行機)(お母さん)などの自然、物、人に素直に思いを寄せて書いている。(ケド)の言葉が詩にリズムを作り、詩としての新鮮さも増している。
 中学生部門最優勝賞の磯岡知宙さんの「特別」は、つまらない繰り返しの日常の中で、(ああ、自分は特別だ)と思うことで、少し楽しくなったり、自分の存在を感じたりする自分を発見した詩である。これは、大きな発見である。
 高校生部門最優秀賞の鈴木深優さんの「ガラクタごっこ」は、四連をすべて変えて飽きさせない工夫をしている。リズムが良くて、歌にもなりそうだ。恐怖感と同時にユーモアもあって、この詩は一度覚えると、ずうっと体に残りそうだ。

ポエム大賞(北日本新聞社賞)
シクスティーン・ヨンフタマル
富山県立富山中部高等学校2年 木倉 里紗子
青少年保護法なんてほっといて
二十五時の路地裏
裸足で感じるコンクリートの騒(ざわ)めき

蛍光灯から逃げ出し
ペンケェスは夜の川に沈めて
手に馴染(なじ)んだ詩集だけを持っておこう

「忙しい。嗚呼、忙しい」って言っていれば
何も考えないで済むけど
それは結局只(ただ)の大人モドキで
動き出す勇気もない自分をスーツに包んで
満員電車に詰めこんで蒸して
世間様が食べ易いように調理しただけだ!

 なぁ、上手(うま)いことは言えないけど
 君がくれた称賛に値するヒトに
 僕は留(とど)まれていますか?

終電はもう無いからさ
線路を辿(たど)って青春のフリをしようか
怪談噺(ばなし)お断りするのが理(ことわり)(笑)

夢が大事だと宣(のたま)うセンセは
病名 ; 白昼夢展示会欠乏症
ざんねんなことに授業は完璧だけれど

Keep Calm
Stay Here
Listen to Me
煩(うるさ)いよ 反旗を縫う手を止めたくない
現実主義者の微笑を壊したい!

 ねぇ、何も分からないけど
 君が捨ててしまった世界に
 僕は息を吐き出せていますか?

お手紙を読まずに破ってしまった
黒山羊(やぎ)は僕だ
新しいお手紙を送るだけの切手も無いのに
君はどうして黙ったままなんだ
僕はひたすらに待ちながら
喪服に包まれた日々を暮らすよ

富山銀行賞
ぼくのギリギリ家族
南砺市立井口小学校6年 吉田 智哉
ぼくの家は いつもギリギリ
何をしてもギリギリだ

試合でみんなを送るとき いつも最後になってしまう

ぼくの家は いつもギリギリ
何をしてもギリギリだ

借りた本を返すのは一週間の最後の日

ぼくの家は いつもギリギリだ
何をしてもギリギリだ

兄が 電車に乗るときも電車が進む寸前だ

でもやっぱりぼくもギリギリ
遠いところへ行くときもぼくの準備がおくれてしまう

最後になってしまうのは
忘れ物がないか心配になるからだ
一週間の最後の日になってしまうのは
まだ読みたいという気持ちがあるからだ
電車が進む寸前になってしまうのは
毎日夜おそくまで部活をしているからだ
ぼくの家族はギリギリ家族
みんながんばって暮らしています

最優秀賞
ふ・し・ぎ
奈良市立青和小学校4年 山本 嶺央
 そら
下から見ると青いケド
上から見ると透明

 川
上から見たら緑色だケド
もぐってみると中は透明

 ザラメ
そのままだと固いケド
綿菓子の機械に入れたらふわふわ

 トンボ
つかまえたらうれしいケド
よく見ると目のつぶつぶが怖い
一つ一つが目で、百八十度見れるんだって

 ピーマン
育ててみたケド
あんまり好きじゃない
放っておいたら、知らないうちに赤くなった
おいしくなったのかな

 水
液体、固体、気体になるケド
冷たい地下水が好き
ふわふわ自由に動けて
雲に乗って空にも行ける

 飛行機
乗ってみたケド
怖くなかった
羽根が動いて空気で調節するのを見てたから

 兄弟
毎日ケンカするケド
いつの間にか、何でケンカしていたか忘れる
みんな泣きやんで、仲良く遊んでいる

 お母さん
毎日怒られるケド
へっちゃらだ
気にしなければ怒っているのは一瞬で終わる

 お父さん
時々怒られるケド
やっぱりお母さんと一緒

世の中はふしぎだらけだケド
ふしぎを探すのは楽しい

家族のふしぎは、解けるか分からないケド
仲良くしないといけないことは分かっている
言うこと聞かないとダメなことも分かってる

自分の心が一番ふ・し・ぎ

特別
明治大学付属明治中学校3年 磯岡 知宙
ノートの端の
小さな隅の
誰も書かないようなスペースに
少しばかりの文字を書き
ああ、自分は特別だ
そう思いながら授業を聞く

道路の端の
小さな道の
誰も通らないような裏道に
少しばかりの回り道
ああ、自分は特別だ
そう思いながら家に着く

布団の端の
小さな箱の
誰も気づかないようなその場所に
少しばかりの日記を置き

ああ、自分は特別だ
そう思いながら明日へ行く

ガラクタごっこ
渋谷教育学園渋谷高等学校1年 鈴木 深優
ガラクタごっこを 始めます
背中に大きな穴あけて
ぽっかり ぱっくり 空っぽの
人間 ずらりと並びます

ガラクタごっこの 鐘がなる
みんな笑顔を張りつけて
きんこん かんこん 途切れたら
人形のように 固くなる

ガラクタごっこに 興じてた
哀れな子どもが歌い出す
るんるん らんらん 愉しげに
壊れて 心はすでに無い

ガラクタごっこは 終わらない
だあれもここから抜け出せない
ぐるぐる ぐるぐる ぐーるぐる
お次は あなたの番ですよ

優秀賞
あさがお
高岡市立平米小学校1年 若野 祥子
かってぐちからでて
あさがおをみた
いちりんのあさがおが
さいた

そのあさがおに
あさつゆが
「ぽとん、ぽとん」
みみをすましたら
きこえた

そこに
「ひゅー」
かぜがとおった

「あっ!」
あさつゆが
かぜにつれていかれた

「あぁー」
いなくなっちゃった

でもね
みずいろのはなびらに
あったよ
まぁるい、まぁるい
もようが

みずたまもようも
すてき

いまも
あさがおが
さいている

あしたはどうかな

剣道
魚津市立清流小学校6年 八田 健太郎
 試合が始まる。
 ついに決勝戦だ。
 スーハースーハー。
 まずは深呼吸。
 緊張が僕の中から出ていった。
 面をつける。
 銀色に区切られた視界。
 目の前の世界が変わったように思える。
 いつもにぎっている竹刀がおびえて、
 「行くなっ」
 と叫んでいるようだった。
 審判に呼ばれ前に出る。
 いよいよ始まる。
 先生に背中をおされ試合場に入った。
 まるで大海原に立っているようだ。
 竹刀を構える。
 まんまるの目がするどい切っ先にかわる。
 周囲の音が遠ざかる。
 相手の目が僕の竹刀をこわがらせていた。
 僕は思いきり足を出した。
 相手に近くなる。
 何かに気付いたかのように、
 相手も足を出してくる。
 竹刀同士がにらみ合う。
 思い切りふりかぶると、
 僕の竹刀が相手をとらえた。
 パンッパン!
 審判の旗が、
 赤に勝利を告げた。
 僕は赤だ!
 ピー。
 終わりの笛が鳴る。
 僕は天井を見上げて微笑んだ。

戯れ言ばかりのモーニング
高岡市立高陵中学校1年 高松 明日美
 「ピピピピッ…」アラーム音がひびきわたりスッと止めると静まり返って孤独感が出てしまう。体が重い…まるで足におもりをつけているかのようにぞろぞろと階段を降りる。「クチャ…。」卵の殻をポトッと捨ててボーッとしている間にトーストができあがった。操り人形のように手を差し伸べ、口に運んでみる。「パリッ」その音が体内の目覚ましである。「ウナー」クリクリした丸い目で飼い猫があいさつを交わしてくる。私は飼い猫に生まれたら楽だろうかと思ってみる。飼い猫は不思議そうに首をかしげて見つめてきた。いや、きっとこんな面白みのある人生が味わえないなと思うと、人である自分がぜいたくだと感じてしまった。キュッとスカーフを結びつけて、水筒をサブバッグに入れる。くつをトントンとはいて、静寂な空間の中玄関前にぽつんと居座る飼い猫に手を降った。「いってきます。」カチャッとかぎを開けて一歩を踏み出す。まぶしい…家の中とは百八十度違う。まるで異世界だなと一人で微笑を浮かべる。そこから朝のスイッチがぽつんと入るので、自然と笑みを浮かべるのだ。歩いているとあいさつを交わす人々に会釈をして返しながら、客観的に考えて自分がどう映っているかを想像するのも面白く日常の楽しみ方だったりする。一人で笑うと他人から不思議がられるけど、自分だけの世界を持つのもふわふわとわた毛になった気分ですてきだと自分で思っている。

数字
浦安市立浦安中学校3年 森山 ひかる
自己紹介をするとき
父一人母一人と
いう人がいた
私はここで
思考が停止してしまった
頭の中で
いろいろな私が意見を言う
意地悪な私は
一人以外の数字があるもんかい
思いやりのある私は
一人しかいないから大切に
ちゃらんぽらんな私は
特に深い意味はなく
うっかり言っただけ
しかし
あわせて二人いる人は幸せだ
私のうちは
あわせて一人
もしかすると隣の人は
あわせてもゼロかもしれない
数字の奥に隠れた
深い深い人間模様
一人の中には
一つの命があって
数では数えられない楽しみ、喜び
悲しみ、苦しみ
数字のうしろにひっそりと
かげぼうしのようについてまわる
父一人母一人の人は
きっと幸せだ
そんな気がする

最終電車
福岡県立明善高等学校2年 牛島 伸陽
 人気の少ない夜の車両で
 座席を四つ程ひとりじめして
 反対向きの自分の影と
 寄り添い合って浅い眠りを

 頬杖ついて眺める街には
 かつての夢が埋もれているさ
 変わらず光を放つネオンが
 くすんで見えるのは気のせいか

 目の前のモノから顔を背けて
 見ないフリだけし続けたかな

 あの日に見た夢を取り戻して
 続きをもう一回見てみようよ
 こんな毎日もうたくさんだって
 きっととっくにわかってたんだ

 終電の中の問い
 蜘蛛の糸みたいに垂れた雨に
 泣いてるような窓から見えた
 きみのマンションの一室の
 常夜灯が眼の裏で点く


 隣で傾く小さな吐息と
 濡れた髪の膨らみを愛しみ
 外した眼鏡をそっとしまう
 そんな昨日はまた返らない

 いなくなったとしてもぜんぶ
 忘れる訳はないはずだから

 あの日指差した方角を向いて
 見慣れた街をもう一度奔ろう
 会えなくてもきみの言葉刻んで
 そろそろ未来に行かなくちゃ

 終電の中の想い

 格好良い自分を飾れなくても
 諦めることを覚えたとしても
 ぼくはぼくに
 きみはきみに
 生きたいように

 あの日みたいにもう逃げないよ
 ランナウェイは楽しくなかった
 眼の奥のひかりが蘇ったなら
 薄暗い明日を睨みつけろ

 終電の中の誓い

 終点でイヤフォンを外したら
 たぶんぼくは独りだろうから
 目の前で次のドアが開いたら
 夜明けに一歩踏み出してみせる

 背中に朝日が昇ったら
 そうしてみせる

終末を一瞬だけ思って 2秒後に夕ご飯のことを考えていた
新潟県立佐渡高等学校2年 佐々木 美月
希望的観測下で 今日もうずくまっていた
得意なのは要塞建設のみ 自分が一番好き

背筋しゃんと伸ばして 気分だけ誇り高く
真っ黒な歌を愛して 叩きつけた赤点

ふとした時には感謝してないんだ
生きていることに
満腹なことに
朝が美しいことに あなたがいることに

生まれてきた奇跡が実感できないんだ
つまりは確率論さ あなたでさえも
そんなこと思って
こぼれ落ちるのは息だけだ
風に溶けきってしまった
言いたいことも喉の奥に沈んでいったし

終末時計が何時を指しててもいいんだ
でもできれば明るい未来を 希望している
貴方の笑顔を望むあたり
自分は善人だから
神様は
人間に愛想尽かしたりしないでしょう

神なんていないけれど

朝も昼も夜も
ふとしたときに感謝していたいんだ
生きてること
満腹なこと
光の粒子 あなたの存在に

希望的観測下で 今日もうずくまっている
得意な要塞建設が 止められないの
自分を守りたいのは 嫌な人間かな

背筋しゃんと伸ばして 弱い部分を隠して
消耗品の歌を愛して 赤点ばかりの生活だ

麻痺するくらいの幸せ
スイーツみたいな関係
結局は全部失いたくないようだ
わがままですね

その傲慢が豊かさだというなら
誰も彼も皆 傲慢でいいや。

生きてられればそれでいいよね。

佳作
虫の集まり会
砺波市立砺波北部小学校5年 岩崎 空汰
 あいうえおおきい つよいぞクワガタ
 かきくけコーロギ キーキーなくぞ
 さしすせそらを とんだちょうちょは
 たちつてトンボ たかーくとぶよ
 なにぬねのろのろ けむしはきけん
 はひふへほんとに ヒアリはちゅうい
 まみむめもっと こんちゅうバトル
 やいゆえよるの ホタルはきれい
 らりるれろうかに ゴキブリきけん
 わいうえおわりに みんなであいさつ

ふしぎな夜の世界
砺波市立砺波北部小学校5年 澤田 実空
 あいうえおっと ここはどこ
 かきくけここは よるの世界
 さしすせそうっと 星がささやき
 たちつてとんで ながれていくよ
 なにぬねのんびり ながめていたら
 はひふへほぅっと ためいきもれた
 まみむめもうすぐ おきる時間だ
 やいゆえよると さようなら
 らりるれろけっと おりてきて
 わいうえおきたら ん、手に星が光ってた

ぼく だいすき
高岡市立西条小学校6年 神初 なつみ
ぼくは つくし
毎日 同じ所で みんなを見てる

ときどき思うんだ

かえるのようにかけっこしたいな
鳥のようにすいすい飛びたいな

でも ぼくは今の自分がだいすき
だって みんなより
すごい とくぎをもってるもん

それは 春をよんで
みんなを 喜ばせること

だから うごけなくても
それも ぼくの一部

おとうさんのサボテン
西宮市立南甲子園小学校2年 大恵 朱実
土よう日
おとうさんのあごがサボテンになった
さわるととってもいたい
チクチクのトゲ
だっこしてもらうと目のまえに
サボテンがあるから気をつけろ!
ないしょの話をするときは
わたしの耳にトゲがささらないようそっとね
日よう日
おとうさんのサボテンは
もっと大きくなって
トゲもながくなる
かた車をしてもらうけど
うっかりさわらないようちゅういする
よるねるときのキスはできない
月よう日
おとうさんのあごにサボテンはない
でもだいじょうぶ
土よう日になれば
サボテンにまたあえる

せい長つう
富山市立新庄小学校2年 黒畑 和季
 小六のおにいちゃんが
 さいきん
 「ひざがいたい」
という。
 おとうさんが
 「また、しん長がのびるのかな」
といった。
 せい長つうは、しん長がのびる時にほねがのびていたくなるらしい。
 おにいちゃんは、さいきんきゅうにしん長がのびて、四才上のおねえちゃんより大きくなってしまった。
 もうすぐおかあさんもぬかされそうだ。おにいちゃんは、おかあさんとせいくらべするたびになんだかうれしそうだ。
 ぼくは、まだ小さいけれど、小六になったらひざがいたくなるのかな。
 いたいのは少しいやだけど、おねえちゃんやおかあさんより大きくなりたいな。
 いや、おにいちゃんやおとうさんよりも大きくなりたいな。

1粒の
高岡市立高陵中学校1年 佐野 志帆
 うちのねこのひみつは
 夜にねこの集まりにでていることだ
 その集まりは飼い主について語り会う会だ
 耳をすましてみると
 「うちはごはんがぜんぜんもらえないの」
 「そう、うちも」
 「そうそう、分かる」
 私はバカバカしいと思って帰った
 次の日朝起きてごはんの容器に
 私は1粒だけ多く入れた

ジャンヌ・ダルク
川辺町立川辺中学校3年 吉川 暖
 君は恋のジャンヌ・ダルク
アイラブユー亜衣ラブユー
僕は君の迷える子羊
君のひとみはブリザード、僕は即死。
君は、僕の隣席そこでみるのは、君の太陽まぶしい笑顔だけど見れるのいつも半分
 たまに話すと見るよりうれしさ、十倍
 心の時計カチカチうるさいもっとしずまれこの時計
 そこで抑まる、ブリザード。
 君のひとみ、見ると固まる、だけど、笑顔を見ると一瞬で気体
 僕の心も蒸発してすべては君の虜になる。
 知らぬ間に追う君の太陽、一度見るとやみつきになる。
 もうどうすることもできないこの君への心
 お願い、染めてよ、君色に。

午前二時
富山市立芝園中学校3年 若木 美来
目が覚めたのは午前二時
世界は眠り、僕一人
秒針の音が響くのは
月がまぶしく見えたのは
地球が僕だけ残して回っているからか

つんと倒せば大きく広がる
ドミノみたいな孤独を僕は
今までどうして忘れていたのか
静寂はただ何も答えず
布団は僕を外へ追いやる
風に揺れる障子のような
もろく弱いこころの名前を
思い出すことはできないままで

くしゅん!
くしゃみが遮る僕の思考に
重ねてふたをするように
瞼を閉じればブラックホール
更なる孤独が僕をいざなう

雪、溶けて
南砺市立井口中学校2年 内澤 愛美
暖房を付け続けていたので
空気が乾燥しました
換気をしようと窓を開けると
どこからかふわふわと
牡丹雪が落ちてきました
窓を通り過ぎてゆき
落ちて見えなくなってしまいました

もう換気は良いよねと思い
窓の縁に手を掛けました
とても冷たかったので
びっくりして窓を見ました
すると沢山の牡丹雪達が
ふわふわふわふわ落ちて行き
小さくなって行き
暗闇の中に溶け込んでいきました

見ているうちに
風向きが変わって
窓の中に入っていきました
気付いたころには
窓の縁は真っ白になり
窓の周りは雪溶け水で
水浸しになっていました

慌てて窓を閉めました
しかし時既に遅し
救命処置で
新聞紙をしきました
新聞に載っていた人の顔は
濡れて歪んで見えました

呼吸(こきゅう)
富山市立杉原中学校2年 小西 彩羽
 水の中を歩いている
 体がうまく動かない
 ぐっと息を止めたまま
 水の底(そこ)を歩いている

 水面に波紋(はもん)となって地上の言葉は響く
 水の底にいれば嘘(うそ)も、暴力(ぼうりょく)も、罵声(ばせい)も
 聞こえない

 昔は泳いでいた 体は浮いていた

 だけど少しずつ時間は流れて
 そのまま段々(だんだん)沈んでいった
 今では、息を止めたまま歩いている

 深呼吸をしてみたい
 水を肺に全部飲み込んで
 届かぬどこかへ吐きだす
 きっと、その前に溺れてしまうから
 ずっと息を止めている

 いつか歩くことすらやめて
 水底(すいてい)から空を見上げる 闇(やみ)が永遠と続く
 光は届かずに水面で反射する
 私に手を伸ばさせるために

 息苦しさが酷くなる 耐えられなくなる

 とうとう我慢が出来なくなって
 思わず息を吸い込んだ
 肺に水は入ってこない
 何故だか体が軽くなって

 ここが水の中じゃないと知る

 顔を上げると自分の前にも後ろにも
 みんな歩いていた
 空を見上げると日の丸はみんなを照らし
 自分も照らしていた

 一歩、一歩、歩いていく
 新しい景色が見えてくる
 それが素敵なものかは分からない
 それでも足は止まらない

 たった一つ分かるのは自分の知らない景色
 息が上がっても肺が痛んでも助走をつける
 自分は世界を駆けていく

「オレ、ヒラノ ケイシン」
高田高等学校2年 平野 圭真
 オレ、ヒラノ ケイシン

 学校に筆箱を持ってきたつもりが
 テレビのリモコンだった
 どっちも黒だったから間違えてしまった
 ヤバイなと思った

 オレ、ヒラノ ケイシン

 親父とジェットコースターに乗った
 何度も話しかけたけど
 振り向いてくれなかった
 よく見たら
 知らないおじさんだった
 ジェットコースターが動く前に
 初めて絶叫した

 オレ、ヒラノ ケイシン

 トイレの個室に急いで入った
 しばらくしてから
 トイレの扉がガタンと開いた
 どうやらかぎをかけ忘れたみたいだ
 「あっ、すいません」と言われたとき
 胸が少し苦しくなった
 本当はオレが謝らなくてはいけない
 あのときは本当にすいませんでした

 オレ、ヒラノ ケイシン

 CDショップに行った
 友達の好きなCDを買うためだ
 でも曲名を忘れてしまった
 オレは店員さんに
 「サビがフフンフーンフーンフンフン
 みたいなやつの曲名何でしたっけ」
 と精一杯のハミングで伝えた
 そしたら
 「私、店員じゃありません」
 と苦笑いされた
 あのときのほんの数秒の沈黙は
 今でも忘れない

 こんなドジなところもあるけれど
 これがオレ
 これがオレなんだ

 ドジしたっていいじゃないか
 それは今を精いっぱい
 全力で生きている証なんだから

 人生は一度っきり
 ドジしても前を向こう
 後悔しないよう
 今を思いっきり楽しむのが
 オレ、ヒラノ ケイシン
 
チッタゴンにて ~船の墓場~
高岡第一高等学校2年 細川 依蕗
船は
幾たびかの長い航海を終え
遠い南国の砂の上で寿命を終える

何隻もの客船やタンカーが砂浜に乗り上げ
船内の液体は全て吸い付くされ
熱波に晒されたミイラとなる

救命ボートや発電機が剥ぎ取られ
計器類や窓が取り外されて
アセチレンバーナーの洗礼を待つ

ウインチとチェーンの軋む音
白煙と鋼鉄の灼ける匂い
舞うアスベストと流れ出す重金属

重油に濡れた海と砂浜
はだしで作業する陽気な子供たち
カーゴパンツで鉄板を担ぐ青年

先進国が出した巨大な廃棄物を
貧しい国が処理しスクラップにありつく
鳥葬された巨大な文明

吹き飛んだ鉄の塊の散乱
夢や希望が打ち砕かれ転がっている
陽炎揺れる黒い砂の彼方

船達は
深い欠乏の上に横たわり
鯨のようにその身を分け与える


停車場から
山口県立山口高等学校通信制3年 藤井 千春
悪魔にささやかれた
もしくは悪魔が私の体を乗っ取っていた
逃げたいという一心が
悪魔への生贄となり
人殺しとなってしまった
まさに私の頭の中は
罪悪感が支配していた

駅で大勢の人がいる中から
子どもを背負って出てきた女の人
一目瞭然
私が人生を大きく変えてしまった二人

母の背中で私のことを泣きながら睨む
坊ちゃん

悪魔より恐ろしい目
誰よりもきれいな目
小さいのは身体だけ
大きな恐さとやさしさに私は包まれた

小さく大きいものと
大きく小さいもの


あれから片時も離れない
あの涙の目
恐く美しい目に睨まれながら
ついにこの日を迎えた

田んぼ
富山県立雄峰高等学校1年 山﨑 芽衣
 田んぼを走りまわる風
 ザワワワ
 まえの田んぼを走る風
 ザワワワ
 うしろの田んぼを走る風
 ザワワワ

 赤く光るコンバイン
 いなほをガガッと刈りあげる

 あたり一面むなしいチクチク
 ひゅうう
    びゅううう
 ひゅうう
    びゅううう

 はやく春こい

うつろい
富山県立砺波高等学校3年 坂下 ひとみ
かたわれ時
昇る朝日は二人に影を与えた
二人は確かに存在するのだと
伝えるために

すべての時を共に…

桜の木の木漏れ日を
二人で分け合って生きてゆこう
額に落ちた花びらは押し花に
私たち二人だけの宝物

ひまわり畑の輝きを
二人で噛み締めて生きてゆこう
枯れてしまった時のことは
今は何も考えなくていいのだから

里山の紅葉の移ろいを
二人は感じられずにはいられない
お互いの気持ちのすれ違いに
今やっと気づけたから

冬山の新たな命の誕生を
二人は心から祝福した
自らも冬芽のようにたくましく
生きていきたいと
枝分かれの人生を歩むことに

二人は覚悟を決めた…

たそがれ時
沈む太陽は二人から影を奪った
もう一人で生きてゆきなさいと
伝えるために

奨励賞
言葉一日物語
砺波市立砺波北部小学校5年 山本 千代
 あいうえお母さん 八時だ!起きて
 かきくけコール そろそろ鳴るな
 さしすせそーっと 教室入る
 たちつて当番 イライラしてる
 なにぬね「のろのろ してたんだよう」
 はひふへ「ほんとに あの子ったら!」
      母さん家で ムカムカしてる
 まみむめもくもく 勉強はげむ
 やいゆえようやく 給食パクパク
 らりるれ六限 忘れ物…
 わいうえおっと よく見てみると…
           かばんの中に忘れ物
 あいうえお母さん どうもありがと
 あいうえお礼 思わずしたネ

おえういあじさい
魚津市立よつば小学校5年 宮島 蒼央
   おえういあじさい 春にさく
   こけくきかあちゃん バカおこり
   そせすしさかなが おえさを食べる
   とてつちたんぼだ 農家じゃの~
   のねぬにないたり わらったり
   ほへふひはらが ぐーぐーなった
   もめむみまきわり 力があるな
   ようゆいやきとり くしあぶない
   ろれるりらんどせる 一年生
   んえをいわたしは 五年生

しょうぎのこま
魚津市立よつば小学校5年 上里 優音
 さいしょのいって歩をうった。
 その次角をうごかした。
 銀をうごかし王守もり。
 飛車でどんどんせめていく。
 相手のじんちに飛車がはいった。
 飛車が龍王にかわったよ。
 相手の飛車がせめてきた。
 桂馬で相手の飛車をとる。
 もちごまの飛車をおいた。
 王のちかくで「王手!!」
 相手は王をまもったよ。
 金と銀でまもったよ。
 相手のじんちに角がはいった。
 角が龍馬にかわったよ。
 龍馬でどんどんせめてった。
 王を守る金、銀とって
 またまた「王手!!」とさけんだよ。
 王は右へうごいたよ。
 でも龍王で王をとり、勝負あり!
 はぁ~つかれたな。

おすし

 まぐろ
  サーモン
   かっぱまき
    こんぶまき
     なっとうまき
      にじる
       おおとろ
        いか
         しろえび
          いかえび
 すし もっとたべたい!

僕と学校
高岡市立戸出西部小学校2年 大島 孝介
僕と学校って正反対なんだ

僕は好きな勉強
学校は決まった勉強

僕は自分が決める
学校は先生が決める

だから、いつも不登校ってことなんだ

毎月のように
ふとうこうすけ新聞をつくっている
記事を書くことが
勉強よりむしろ難しいことなんだ

僕と学校って正反対なんだ

お盆
高岡市立戸出中学校1年 今城 知恵
 朝
 花と線香を持って墓参りに行く
 その足で
 近くのお地蔵さんにお参りをする
 家に帰ったら客が来る準備をする
 準備が終わったらお坊さんがやってきてお経を読む
 正座して数珠を持ってみんなで聞いている
 じっと聞いている
 聞いている間にお客さんがやってきてお経を聞く
 お客さんもじっと聞いている
 蝉の声とお坊さんの声だけが大広間に響く
 みんなでじっと聞いている
 終わったらみんなでごはんを食べる
 いろいろな話をする
 みんなで花火をする
 花火が燃える
 笑っている
 お客さんも私も
 花火が燃えている
 花火が終わったらみんな帰る
 月が見える
 虫の声も聞こえる

「ケサランパサラン」
富山市立呉羽中学校1年 南 来雅
 とつぜん僕の前に
 白くふわふわした物が現れた
 ふわふわふわふわころがってゆく
 ひっしでおいかけた
 その白くふわふわしたものが
 ぼくの手の中におさまった
 よくみてみると
 ケサランパサランかもしれない
 少しうれしくなった
 幸せになれるとゆう
 ケサランパサランだからだ
 わたげのようにもみえるし
 本当の正体はわからないけど……。
 僕は今の幸せが続くように
 この白くふわふわしたものを
 大切にしようと思う

笑顔
高岡市立芳野中学校1年 室﨑 莉子
 たんぽぽのわたげ みつけた
 大会で準優勝した
 よそ見していた犬 池に落ちた
 小さい時にかいた絵 もう一度見てみた
 友達が急に変顔して こっち見た
 愛犬とかくれんぼ あっちで私を
 さがしてる
 思いつくまま食材入れたら
 思いがけずに おいしくできた

 ほらねやっぱり 笑っちゃう

おばあちゃんとランドセル
箕面市立第三中学校1年 南野 杏奈
おばあちゃんが買ってくれた
お花が咲いたランドセル

一年生の頃は ランドセルから
手や足が「ニョキ」っと出ていた
でも 今はちがう
赤ちゃんをおぶっているような感覚だ

クラス替えで 不安だった時も
勉強が多くて 足どりが重かった時も
地震で こわい思いをした時も

いつも いつも
背中から見守ってくれた
ポカポカハートの持ち主だ

「あんちゃんなら大丈夫」
音にならない言葉が
やさしく やさしく
私を包み込んでくれる

お花が咲いたランドセル
まるで
おばあちゃんといっしょにいるみたい

神隠しだよ
横浜共立学園中学校3年 西角 胡夏
 夏休みに行った曾祖母の家
 もう二度とあの家に入ることは無い
 曾祖母は亡くなり、家も古くなりすぎて
 壊すことになったから

 門をくぐれば石の小道
 右を見れば広がる庭園
 そこはまるで童話の世界
 虫は踊り、草木は歌う

 木でできた家のドアを開けたら
 懐かしい香りが漂っている
 縁側から見るお庭の景色
 家中に咲き誇る思い出の華

 祖母の育てた野菜や花は
 お庭の世界を彩っていた
 眺めたら自然に笑顔になる、その庭を
 曾祖母は嬉しそうに眺めながら
 私と妹のために
 かわいいお手玉やステキな編み物を
 作ってくれていた
 私は毎日、その姿を思い出す


 この家が無くなってしまう現実と
 悲しみに沈む母や妹、祖母を前に
 私は気丈に振る舞う事しかできなかった
 家が無くなっても思い出は消えない
 前に進むしかないんだ、と。

 もしこの家が姿を消したら
 それは一時(いっとき)の神隠しだよ
 童話の世界も、漂う香も、
 私の心に隠れちゃったんだ…

 曾祖母の家を出る時、
 私は、ふり返ることができなかった
 台風の後の風が、私の頬を撫でる

僕の大嫌いなフーたんとスーたん
富山県立雄峰高等学校1年 那須 歩夢
学校に遅刻してきちゃったよ
スーたんが僕の元へせまってきた
スーたんは僕の髪型が気に入らなかったみたい
僕は怒られた
僕は言い返した
スーたんはフーたんを呼んだ
大の大人が子供相手に二人掛かり
フーたんは駄々をこねた僕に腹が立つと言った
大人二人で情けない
大人気のない大人は嫌いだ
僕はこんなフーたんとスーたんが大嫌いだ

輝ける繭
高田高等学校2年 福田 智沙子
 おや、繭がある 繭がある
 私たちの 頭の上に
 おてんとさまより 近いところに
 父さん母さん 友だちも
 口を開けて 見上げてる
 ふうわり浮かぶ あの繭を

 学者は言った ワカラヌ、ワカラヌ
 先生も言った フシギダ、フシギダ
 ちいとも動かず 繭はいすわる
 おっつきさまが 昇ってきても
 だまってキラキラ 光っているよ
 繭はどこにも 行きやしないよ

 とつぜん空に現れた
 だあれも知らない
 輝ける繭

ブルーハワイ
高田高等学校2年 山野 愛佳
ブルーハワイ色の透き通った天上。音が混ざり合った様な音楽。床にひかれた焦げ茶の絨毯。直視できないほどに眩しい電球が暗い箱内を照らす。そこで育った赤い丸を摘み取る。1つ、2つ、3つと淡々と摘み取ってく。手の中にあった赤い丸が1つぴょんっと飛び込んだように落下した。箱内を照らす電球がふっと消え、パーンと音が花火が咲く。育った証が弾け出る。それも何かの合図かのように他のも次々と飛び込む。手の中にあったものは消え、あたりに新鮮な花火が咲いた。なんとも言えない香りと喪失感。慣れた手つきで電球をつけ、再び電球が箱内を照らす。花火が咲いた絨毯を新しいものと取り替える。1つ、2つ、3つと淡々と摘み取ってく。


高岡
富山県立高岡西高等学校2年 飛田 莉那
 城端線に揺られガタンゴトン
 自転車に乗りチャリンチャリン
 坂を下って行くと高岡の町が
 石畳を走ると男の子の銅像が
 横を見ると千本格子の家が
 上を見ると青い空が
 耳を澄ませばミンミンゼミが
 耳を澄ますとチリンチリン
 銅器の音(ね)が響き
 「おはよう」が飛び交わり
 高岡の音が響き渡る

「dear」
明誠学院高等学校2年 中桐 詩保美
夢を語る君にサヨナラを伝えよう
淡い淡い温もりと
飛び散る飛び散るこの奇跡
夢を沈殿させて
瞳を閉じて
幸せな夢は君と共に
具現化は必要あるかしら
うふふって笑い声が聞こえた気がしたよ
狼に見えた子は
草花が似合う少女だよ
小さな家で女の子の帰りを待っている

夢は瞳で語るものよ
アイシテルを伝えたいの
吠えてみたらきっとバイバイをくれる
“親愛なる”を君に送る