第20回(2023年) 入賞者

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ねじめ正一氏選評
 今年のポエム大賞は、高校生の部の加納奈央さんの「贈り物」。オシャレな菓子の味が口いっぱい溢れ、刺激的な言葉の連続だが、最後は贈り物の下心を見抜いて、自分らしさを取り戻していく。救われた気持ちになった。
 富山銀行賞は、小学生の部の新川奈未さんの「わたしの大事な友だち」。童話を読んでいるようでもあるが、細かいところにもこだわり、丁寧に描き切って楽しい作品である。
 小学生最優秀賞は、福島穂乃果さんの「石の糸魚川にて」。石へのこだわりと、石がどんどん好になって石と会話するところがいい。
 小学生優秀賞は若野祥子さんの「エナジー」。エナジーというタイトル通りにのびやかに目まぐるしく展開されている。
 小学生優秀賞は塩出蒼太さんの「お父さん、お母さん」。この幸せ感には皮肉がある。
 中学生最優秀賞は、高橋七乃香さんの「インストールされてた道」。IT社会に暮らす閉塞感や虚しさを、コンピューター用語を上手く使って表現している。
 中学生優秀賞は坂井十和子さんの「当たり前」。当たり前という言葉の罪。作者には当たり前は当たり前ではなくて闘う相手だ。
 中学生優秀賞は山本嶺央さんの「いとをかしーぼくの一年」。みやびな言葉の感性をきちっと使いこなし楽しんでいる。
 高校生最優秀賞は、宮本紗有さんの「愛を膿む傷」。言葉を得るための苦悩が伝わってくる。愛は苦しい。苦しい故に作者の意志の強さもびしびし伝わってくる。
 高校生優秀賞は、茶木大典さんの「貸します!」。ちょっとへろへろ感とユーモアがあって、最後まで楽しませてくれた。
 高校生優秀賞は、鈴木果恋さんの「ふわふわとにこにこ」。書いているうちに自分の存在の芯を見つけたようである。
 学校賞は高岡市立高陵小学校。応募たくさんありがとう。
ポエム大賞・北日本新聞社賞
贈り物

錦城高等学校2年 加納 奈央(かのう なお)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
私はいつも贈り物を食べる
綺麗な包装紙、きらびやかなラッピング
そして何よりあふれ出る
〈君を愛す〉のメッセージ
宛名に押された唇が、私への想い唄ってる
たくさんの箱に囲まれて
幸せと苦の紙一重
舌に解ける味を診る

孔雀の羽が飛び出した
綺麗な箱のホワイトボンボン
一粒舌で転がした
甘い、甘い、甘ったるい
浮つくような飾られた言葉、
〈体が欲しい〉の下劣な右手
求める味ではないみたい

白銀の糸で縛られた
キラキラ輝くミカンの甘露煮
シロップ漬けに期待して
ひと房じゅわりと噛みついた
苦くてピリピリ、毒の味
仲良くしようのおべっかは、
〈お前を堕とす〉の宣戦布告
求める刺激じゃないみたい

頭の上で星々が、間抜け間抜けと嘲笑う

今度は私に冠を、
花びらあしらうレースのお皿
ガレット・デ・ロワを手渡され、
主役は君だと絆される
一切れのフェーヴ期待して、
断面に見えるフランジパーヌ
しっとりサクサク、ガラスの固み
特別の意味は〈単純でちょろい〉、
裏切り者の悪魔の笑み
求める食感じゃないみたい

周りに散らばるラッピング、
びりびりに破った包装紙
私の舌を血で染めて
今日も彼らはほくそ笑む
誰もが持ってる郵便受けに、
なんとはなしの宅配便
そのきらびやかな見目に騙されて、
今日も雛、エサに手を伸ばす

夜の帳は目を消して、
ぬくもりひとつをただ残す
震えるように口にした、
あの日の味は忘れない
あの後ごみに捨てられた、
宛名にあるのは私の名
アイラブユーも何もなし、
だけれど味は最上級
あの日のあなたの素朴さが、
〈そのままでいい〉の一言が、

きっと求めた味だった
富山銀行賞
わたしの大事な友だち

高岡市立高陵小学校3年 新川 奈未(しんかわ なみ)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
わたしのゆめは、動物と楽しくくらす事です。わたしのいえは、おかにあります。朝、向こうのおかから日が上るのが見えます。近くには海があります。わたしの家には、はちが十ぴき、犬が二ひき、あひるが2羽、牛が二とう、りすが二ひき、にわとりが四羽、ひつじが六頭います。家のまわりには、春はすみれ、夏はひまわり、秋は金木せいがさき、あたりはとてもよいかおりです。ほかにもどんぐりの木やくだものがうえてあります。りすのでっぱは、どんぐりを食べたりもって来てくれます。
 一日のはじまりは、まずみんなで朝ごはんを食べます。朝ごはんは、とれたての牛にゅうとあまいバナナやりんごなどでジュースを作ります。そしてやきたてのパンをたべます。パンには牛のモーのとくせいバターをのせます。
 朝ごはんのかたづけをしたら、みんなで、テーブルやいすを作ります。10時になると出来上がったテーブルといすを使って外でクッキーとお茶で休けいします。休けい中は、しりとりをします。休けいの後も家具作りをします。そろそろお昼ごはんです。お昼のメニューは自家せいパンとはたけでとれたキャベツで作ったホットドッグです。自家せいケチャップをたっぷーりつけます。お昼ごはんの後は、いちごや、もも、バナナなどをつんだり、水やりなどのお世話をします。その後、みんなで運動会をします。きょうぎは、玉入れ、つな引き、弓矢大会、きばせんをします。かったチームは、さっきしゅうかくしたくだ物がもらえます。一位はりすとはちチームです。二位は犬のすみおと、にわとりのコッコー牛のモーです。三位はわたしと、なみでした。この運動会は2位でも3位でもくだ物の数はちょっと少ないけれどもらえます。運動会がおわると、ゆうごはんです。ゆうごはんは、じゃがいもとおまめのとろーりした温かいスープをのみます。夜、ねる前に、ろうそくに火をともし、今日あった楽しかったことをみんなで話します。そのあとは、星空をながめながら、ぐっすーりとねむります。
 動物たちと、こんな毎日をすごすことが、わたしのゆめです。
小学生の部・最優秀賞
石の糸魚川にて

小牧市立小牧原小学校5年 福島 穂乃果(ふくしま ほのか)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
ヤッホやった
行けると思っていなかった
石おばさんの言っていた
あの場所に行ける 行けるって
糸魚川に行けるって

去年は父と化石掘り
父とゆっくりと化石を掘った
 貝の化石は粉々に
それでも化石の粉がうれしくて
 宝物箱にいれてある
今年は父の休みが合わず
あきらめていたのだけれど
 見張りがいるから行けるって
新幹線に乗れるって
電車のお出かけひさしぶり

駅につく 糸魚川の駅に着く
駅中にも石の展示場
町全体が「石の街」 糸魚川は石の街
「石が好きだ」と言ってみる
「石の博士にあえるかも」
「石の質問が出来るかも」
ああ石を持ってきてよかった

博物館おもしろい
石・いし・イシ
どこを向いても
イシ・いし・石そして地球
想いのままに好きなものを
ユックリじゅっくり見ていたい
 母がにらむ
 自分で決めたでしょう
 自由研究するって決めたでしょう
 必要な所はちゃんとメモしなさい
  そうだ自分で決めたんだ
  自由研究すると私が決めた
石は黙って私を見てる
 あれあの子
 たしかあの子はあそこであった
へえこの子
 初めて会った不思議ちゃん
あれれこの子光によって色変える

なんだか石と話をしている
 石はいろんな顔をもつ
 私にちょっとと話してくれる
だから私も話してみる
 わあ、君はここにもいたんだね
 逢えてうれしい
 あの友達は元気だったよ
 次に会ったら
 君にあったと伝えておくよ
 石は黙って聞いている
 私の心を聴いている

石・いし・イシ
私は石が好きだ
中学生の部・最優秀賞
インストールされてた道

相模原市立谷口中学校1年 高橋 七乃香(たかはし なのか)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
 内側の空間から外側の空間へログインする
そこは何十回、何百回、目に保存されている
のにズームしてみると知らないところだった
だけど細かいところは保存出来なくて そん
な機能は元々無くてあってもさほどの物でも
なくて                  
表面上保存された地に入るとインストールさ
れた道を歩く 周りを精密に保存出来なくて
そもそも周りを見るということが命令されて
いなくて視界の隅っこ映る情報はすぐに削除
されてしまう。この一連の流れが十何年繰り
替えされてそれが仕事になっていた                     
だけどそんな性能はよくなくて ウイルスが
入ってきたらもともとがよくないからすぐに
ロックがかかってタグがひらけなくなっちゃう
 予測も出来ないからただインストールされ
た流れをおこなう これは日常というタグに
保存されている
この日常というタグで無意識に他のサーバー
と共有し合う              
だけど他のサーバーから認証されないと勝手
に変わりものというタグに入れられてしまう 
認証されるかどうかもタグ名もそもそも基準
がしっかり統一されていないし自我のインスト
ールによって違うから
視界の隅っこに映る情報をふと見てみると性
別となんとなくの年齢ぐらいしか読み取れな
い そもそもそれでさえ読み取れないことも
ある インストールされた道を歩くと知らな
い人、知らない車、知らないトラック それは
知る必要性がないと判断されてゴミ箱いき
 どんな事をしているかどんな道を歩んでき
たか サッカーとかも好きかもしれない 音
楽とパクチーが苦手かもしれない 裁縫と走
るのが苦手かもしれない 今とってもうれしい
かもしれない そうやって視界の隅っこ映る情
報をふと考えてみてもなんにもわからない
 もうあわないかもしれないけどやっぱり削
除されてしまう なんにも分からないけどた
くさんある一つ 
 遠い遠い地と時の中、数えきれないなかか
ら一つ 今までうまれてきた全てのサーバー
と、いる地の中の一つ これは壮大というタグ
に分類される そしてこれが日常というタグ
に保存されている。
高校生の部・最優秀賞
愛を膿む傷

京都つくば開成高等学校3年 宮本 紗有(みやもと さゆ)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
私はある人の胸を掻きむしって泣いていた

私はただ痛いだけで
どうやって今を消費しようと
変えることのできない未来に打ちひしがれて
柔らかな肌に爪を立てていた

どこまでも澄んだ目を睨んで
微動だにしない体に問うた

思いまで凍らすの?

その人の喉仏が好きだった
その喉仏から零れる宥めるような声が
好きだった

もう少し困らせておけばよかった
お利口にさせたのはその人だったのに
反省するのはいつも私だった

時間が走っていた
淀みなく走っていた

私が凍ればよかった
その人と凍ればよかった

血がその人に向かってほとばしって
私は一秒前の息遣いを狂おしく愛していて
その人を無意義に浪費しながら
贅沢に溺れる時間を泳いで
喪失の足音から耳を塞ぎ続けていた

せめて痛く刻まれることを望んでいた
一生疼いていたかった

優しさに無難に片付けられた
正しさに理不尽に終わらされた

狂気だけが真っ当な愛で
それ以外は紛い物だけど
私はそれを認められない

残された偏愛など
その人の微かな笑い声が
耳の奥に絡まってるだけだから

何度も自爆した
その人に叫びながら
外傷が欲しくて身を削っていた
これが私の愛だった

瘡蓋を剥がして
傷の鮮やかさに安心した

繰り返し繰り返し
傷口を抉った

一生傷を持った私は
もう生きることを厭わなかった
小学生の部・優秀賞
エナジー

高岡市立高陵小学校5年 若野 祥子(わかの しょうこ)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
ねぇー ここ ここ 見て!

窓から見上げた先に あなたがいた
屋根のだいぶ上に ふわふわの羽衣を
まとった あなたが もっともっと先を
目指して かけ上がっていた
じっと 見つめていると
ふわっと 息をはいた
たくさん たくさん はいた息たちが
ぎゅーっとみんなで手をつないで
にじ色の羽衣に チェンジした

昨日から ちくちく痛いところに
そよそよ そよそよと
その羽衣が まいおりてきてくれた
何もしゃべっていないのに
誰にも打ち明けていないのに
真っすぐな光が すーっと
痛みにふれて ささって 突き抜けた

いつもより ちょっと大きいあなたに
今 出会えて良かった
痛いところに 手当てをしてくれて
やさしい痛みになったよ

今日のあなたと出会えた
すべてのいきものたちを
やさしく 包んで いやして 見つめる
そして
羽衣を ひらひらさせながら
そのときを せいいっぱい いきつづける
手すりにつながりながら
今夜も 一歩ずつ かけ上がっていく

ねぇー 早く 早く 行こう!
お父さん、お母さん

坂井市立三国北小学校5年 塩出 蒼太(しおで そうた)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
強くてやさしいお父さんは
大じな一家の大黒柱
走って考えてまた走る
がんばるすがたは幸せのあかし
ロマンあふれるアイデンティティー
うつくしい色とりどりの
しゅみとそうぞう
キラキラかがやくお母さんは
ぼくたちの幸せのみちしるべ
よりそいあるくじん生に
うれしい楽しいやさしい花を
たくさんさかせてね
これからも2人なかよく
ぼくたちを見守ってね。
中学生の部・優秀賞
いとをかし~ぼくの1年

奈良市立一条高等学校附属中学校2年 山本 嶺央(やまもと れお)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
春はさえずり
やわらかな陽射しが戻り
ツバメやシジュウカラが鳴く頃
身はカチカチ
心は不安とワクワクで
新しい環境へ一歩踏み出す人々 うつくし

夏は叫び
日中は絶えず汗が流れる時
ことにつらし
何をしても熱がまとうと思うと力が出ない
日が沈む夜もまた蚊が悩ましい
日々はわろし

秋は艶めかしき声
波乱の半年が終わり
セミのキンキンした声から
コウロギなどのやさしい音になると
少し過ごしやすくなる
木々などが色づきて来た頃
夏にも負けぬ熱量で
体育大会に燃えるもをかし

冬は無言
強烈な寒波が体を襲う
1年で2度目の何もしたくない病が発動
嫌がりながら学校に行くも
手がかじかんで朝の勉強は話にならない
雪が降るもはしゃがない年ごろになり
電車が遅れるなど害悪と思いつつも
昔の頃を懐かしむことよろし
当たり前

 芝浦工業大学柏中学校3年 坂井 十和子(さかい とわこ) 
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
「こんなの当たり前。」
そんな些細な言葉で傷が増える。
 規則正しく回る秒針のように。
 4つの季節と出会う一年のように。
 人が来れば勝手に開く自動ドアのように。
 仕組まれた言葉を吐くAIのように。
  ”当たり前”を
  何事もなかったように出来ない私は
  おかしいのか。
  ”当たり前”という枠を
  はみ出してしまったのか。
  ”当たり前”は常識なのか。
  ”当たり前”は最低ラインなのか。
もし、そうだと言うのなら。
 いつ壊れてもおかしくないくらいに
 錆びて
 脆くなってしまった
 鉄のはしごを渡された私は
 どうしたらいいのだろう。
  仮に、
  初めて見る壁をそのはしごで登った
  としても
  目の前に広がっているのは深い谷で、
  そこには
  失望感と無力感
  しかないのだろう。
今、私は
 ”当たり前”に追われている。
明日、私は
 ”当たり前”に殺されるのかもしれない。
高校生の部・優秀賞
貸します!

富山県立高岡工芸高等学校3年 茶木 大典(ちゃき ひろのり)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
貸せる手は
どんなに頑張っても二つまで

千手さんとこの観音くんならアレやけど
僕にはちと厳しそう

だから手が足りないなら肩を貸そう
賃貸じゃないから安心してほしい
無償で いつでも お気軽に

日当たりは知らないけど
風当たりは強くさせない
だからなで肩は大目に見てほしい

貸せる耳は
どんなに頑張っても二つまで
聖徳さんとこの太子くんならアレやけど
僕にはちと厳しそう

だから耳が足りないなら顔を貸そう
賃貸じゃないから安心してほしい
無償で いつでも お気軽に

人当たりは知らないけど
何食わぬ顔で守るから
だからドヤ顔は大目に見てほしい

何がなんでも頼られたい
無償で いつでも お気軽に
ふわふわとにこにこ

常総学院高等学校1年 鈴木 果恋(すずき かれん)
poemImage
絵 北山 知絵子 さん 
庭の雑草処理を頼まれました
正直な所 少し悲しくなっていました
雑草と言われたものの中には やわらかな
むらさきのふわふわがあったからです
綺麗になった庭を見て  ーーーーー
とおもいました
そのことを自分でも不思議だな、と
思いました

それから5日ほど経ちました
ペンケースを新調したので
どのシャープペンシルを入れるか迷い、
0.3㎜の芯を入れて使う、中が透けている
透明なシャープペンシルを入れました
スッキリと収納されたペンケースに収まって
いるそれを見て これで良し

思いました

それから5日ほど経ちました
庭の雑草の処理を頼まれました
10日ほど前、処理の途中で日が落ちてきた
といって、途中でやめた残りでした
ゆっくりとやっていたからでしょう
随分と日が落ちるのをはやく感じました
なんとなく、ただなんとなく、ゆっくりと
かんがえながらざっそうをとりたかった
とか きまぐれかな
とか
まぁそんなところです
正直な所 少し悲しくなっていました
雑草と言われたものの中には しっとりした
ちいさなきいろのにこにこがあったからです
綺麗になった庭を見て  ーーーーー

おもいました
そのことを自分でも不思議だな、と
思いました
窓際の しっとりしたちいさなきいろの
にこにこをみて かわいいな

おもいました
それから、
もうーーーーーとはおもわないな

心に決めました
2階の部屋にこぼした土を早く掃除しよう
小学生の部・佳作
32475日

高岡市立高陵小学校5年 窪田 彩人(くぼた あやと)
僕が小学校を卒業するまで
564日
残りの小学生 いっぱい学んでいっぱい楽しみたいな
給食のラーメン、あと何回でるかなぁ

僕が大人になるまで
2525日
大人になったら、お父さんとお母さんにお寿司をごちそうしよう!
弟を車に乗せてサッカー日本代表の試合を観に行こう!
ちい、それまで元気でいてね

ちいが15さいになるまで
5145日
いっぱいいっぱい僕の手をなめてね
いっぱいいっぱい抱っこするよ

32475日後、僕は100さいになる
ああ 生まれてきてよかったな
生まれてきて最高だったよ
お花屋さん

高岡市立高陵小学校5年 辻󠄀井 来奈(つじい らなん)
 春お花屋さんはとどけます チューリップ、スイートピー、ラナンキュラス、フリージア ヒラヒラフワフワかわいいお花笑顔をみんなにとどけます
 夏お花屋さんはとどけます アジサイ、ヒマワリ、トルコキキョウ、ユリ、アンスリウム ひざしをあびたげんきなお花笑顔をみんなにとどけます
 秋お花屋さんはとどけます キク、ダリア、ケイトウ、コスモス、チョコレートコスモス ポカポカモコモコあたたかいお花笑顔をみんなにとどけます
 冬お花屋さんはとどけます ハボタン、シクラメン、ポインセチア、クリスマスローズ さむいのへっちゃらつよいお花笑顔をみんなにとどけます
 あっというまの1年が笑顔といっしょにすぎていく わたしのお家はお花屋さん
デジタルどけいのゾロ目

高岡市立高陵小学校3年 藤平 健豊(ふじひら けんと) 
 ゾロ目はおもしろい。
 同じ数字が三つや四つそろうのがおもしろい。4時43分になると、44分になるまでつい見てしまう。3時33分や5時55分、勉強中であってもつい見てしまう。とけいがうごくたびにチラチラとみてしまう。
 でも6時や7時は66分や77分という時間はないからつまらない。明日になればまたゾロ目が見れる。そしてまた見れなくなる。
 朝、目をさましたときに5時55分が見れると朝から気分がいい。ぎゃくに56分におきると少しくやしい。でも明日やあさってにも見られると思うとべつにくやしくはない。
そらのひみつ

坂井市立三国北小学校5年 福島 彩(ふくしま あや)
にじを見たことがある?
にじは雨のおわり
晴れのはじまりに
できるんだよ
にじのいろは七色
あか
おれんじ
きいろ
みどり
あお
あいいろ
むらさきの
七色
わたしのそうぞうは
あか
ぴんく
きいろ
みずいろ
みどり
むらさき
あいいろと
おもってた
そうぞうと
ぜんぜん
ちがったな
ぼくのおいっ子

坂井市立三国北小学校5年 玉本 杏介(たまもと きょうすけ)
ぼくには年が九才はなれたおいっ子がいる。
おいっ子は姉と兄よりも年が近い。
十八才上の姉、十五才上の姉、十才上の兄。
これだけ年がはなれている。
ぼくのお姉ちゃんが、ぼくが九才の時に赤ちゃんを産んで、九才で
おじさんになった。
すごくわかいおじさんだ。
ぼくはおいっ子のことが好きだ。
おいっ子もぼくを好きだと思う。
なぜなら会いに行って遊んで帰る時、必ず泣いてしまうからだ。
まだしゃべれないから早くしゃべれるようになってほしい。
これから成長が楽しみだ。
中学生の部・佳作
本当に読んでもいイカ?

      駒場東邦中学校3年 木股 鴻士朗(きまた こうしろう)
イカはイカが?
イカが好きなのはイカがなものか
イカなるイカも好いてはならぬ
イカれたイカ
イカついイカ
イカがわしいイカ
イカダに乗ったイカ
イカくするイカ
イカめしいイカ
イカしたイカ
イカり狂うイカ
イカさまにひっかかるイカ
イカものをつかまされるイカ
イカにもお困りのようなイカ
イカは楽しイカ?
イカは素晴らしイカ?
イカは言う、
ダジャレにされて大変イカんです。
日の丸になりきれなかったうめぼし

高岡市立高陵中学校1年 本保 萌衣(ほんぼ めい)
日本の国旗 日の丸は
赤い丸がまん中にあって
左右対称でとってもきれい!

そんな日本の国旗に見えるのが
日の丸弁当

白米とうめぼしを使ったお弁当で
おいしくないわけがない組み合わせ!

お昼に食べたお弁当は
少し違ったような気がする。
少しいびつな形のうめぼし
少し右にずれたうめぼし
なぜかいつもよりすっぱくて
 白米はかため。

日本の国旗とは少し違う
 けど、味はびっくりするほどおいしい。

やっぱり国旗みたいにつくるのは
 やっぱりちょっと難しい

毎日 毎日 少しずつ違う
 日の丸弁当
日の丸になりきれなかったうめぼし
 日の丸になりたかったうめぼし
そんなうめぼしはおもしろい。
私は笑顔で弁当を開ける。
 それはとてもニコニコと。
カトラリー

旭川市立緑が丘中学校2年 田渕 凪紗(たぶち なぎさ)
笑われながら切られて
食べられるのはもう苦しいです

コンクールやオーディションに
応募をしても
いつも一番にはなれずにいる
望んでない序列には
いつもひとりでいる

もう傷つきたくないから
もう気づいて欲しいから
期待をしないふりをして
自分に嘘をついて
応募する

今回もその痛みの繰り返しの途中

いつか叶えたい夢
僕を
僕だけを
誰にもなれない僕を
ここにしかいない僕を
掬って欲しい

本音は
掬われたいけど
それで救われるのは少し怖い

もう傷つかないように
もう気づかれないように
部屋の隅で泣けない
何者にも何物にもなれない

がいる

合わない一人称で
私を隠しているから
救われないのかな

僕は傷をもうつけたくないけど
未来を想像するけど
私に傷がもうつきすぎている

いずれ切創と刺した跡がありすぎて
普通の心に見えないよう

だれか
どうかだれかが
僕を
あなたが
どうかあなたが
私を

僕は
私は
スープの中にいる具材から
好きな具材を見つけて
喜んで頬張られるような
そんな存在になりたいです
ペルテスに負けない

     川崎市立中野島中学校2年 木村 守(きむら まもる)
8才、ぼくは自由を失った。
歩けない、走れない、踊れない
ぼくは、ペルテスだった。
車椅子に乗せられて、
どこにも行くことのできない毎日
足の骨が壊死してしまい
一人で立ち上がることを禁止された。
いったい、どうなってしまうのか
右足には重い装具
楽しめない毎日
自由のない毎日
何も出来ず、どこにも行けず
それでも、人生を諦めちゃいけない。
いつか、足は元に戻る
一人で歩き、一人で走り、
一人で踊り狂いたい。
ペルテスになんて負けてたまるか
ペルテスは治るんだ。
ドクターが教えてくれた。
人生を諦めるな
チャンスを逃すな
ペルテスはぼくを、三年も苦しめた。
11才、ペルテスに勝った。
ぼくは自由を勝ち取ったんだ。
一人でどこにだって行ける。
何にだってなれるんだ。
そう、忍者にだってなれるんだ。
走って、飛んで、手裏剣投げて
人生、まだまだ進化中
ペルテスなんて怖くない
みんな、病気に負けないで
ペルテスを乗り越えたぼくを見てほしい
中二病って言われたって気にしない
ただいま忍者の修行中。
蟻と脳

宇都宮大学共同教育学部附属中学校2年 岩佐 葵(いわさ あおい)
蟻にも脳がある
縦横無尽に超速足で歩きまわる彼らは
カナブンの片足を
干からびた蚯蚓を
最短距離で巣に運ぶ

私にも脳がある
ぬるま湯に浸るかのように
のろりそろりと歩き
お気に入りのチョコレートを
ダイエットに効くというゼリーを
ポケットにしのばせて
ベッドでごろりころり

私の脳よ
考えろ
考えるんだ
おまえは蟻の脳の何倍の容量があると思っているんだ

晴天の朝
薄曇りの朝
曇天の朝
土砂降りの朝
毎日朝は必ずやってくる
おまえも活動を開始するのだ

いつのまにか十八歳から成人だ
もう猶予は残されていない
自分の足で
自分の手で
自分の身体で
生きていくんだ
考えろ
考えるんだ

少し眠たい夜
虫の音がうるさい夜
何とかムーンと騒がしい夜
目がさえてしまった私は
考える
脳で、手で、足で、身体で
明日をどう生きていくのか
明後日はどう生きているのか

蟻は今日も超速足で目の前を横切った
あれは蝉の片足か
私は今日も考える
私はどう生きるのか
無限大の脳で考え続ける
そして蟻のように歩き出せ
そうだ
ベッドから飛び出せ
明日を迎えに行け
高校生の部・佳作
腐食の傷口

富山県立伏木高等学校3年 大垣 恭也(おおがき きょうや)
 なぜ俺とお前は出会ったのだろう?
お前を見ながら俺はそう思う
震えた指でひどく輝いた鏡の中の光に
密かに静かに憂いな想いを重ねながら
 お前が消えたあの日から
俺にとって四季は辛いものだった
 春には桜の樹の下に埋まっている屍体を探した
また、微睡のホットミルクを一緒に飲もう
そして一寸の閃光を貪ろう
二人が嗄れ傷つくまで
 夏は星だ。アンタレス。七夕。夏の大三角。
打上花火。星は死んでいる。
誰も知らずに死んでいる。
死ぬ寸前の魂の輝きを見せてくれている
燈と燈を紡ぐことで星座となり物語になる
もう少し、あの強い、届かない星空に手を伸ばして
あの時、お前にあと一歩踏み出せたなら
 秋の月見は格別だった。
あの嘘つきな月は自分では光ってはいない。
太陽の光の反射だ。
お前がそんなことを言っていたのを思い出す。
お前にとって俺のような存在は星の数程いたが
俺だってお前のような存在は月の数程いた。
そんな十五の夜に強く応える
 冬が好きじゃなかった
ただ、あの雪の堂夢のように
暢達な速度で落ちる雪に囲まれて
お前と入った冬の雪
冷たいのが嫌じゃない
気持ちのいい冷たさをそこで知った
火照った顔を冷やしてくれる
だから、冬が好きになった
 あの美しい四季がお前をナクシテから死期になった
薔薇の様に
春に消え、夏に死に、秋に枯れて、冬に散る
煙が出ているお前はどう思う?
 雪と墨のような俺達を
海と空のように互いに向き合いながら、決して交わることはないが互いに青い俺達を
蒼白い炎に包まれているお前はどう思う?
 赤い糸で繋がっていたものが
いつのまにか纏わりつくように重い鎖になった
 灰になって、小さくなったお前を見つめる俺は風で飛んで消えていかない様に
お前の無念を海の藻屑にはしないために
そっと遺灰を集めて飲み込んだ
 この灰を抱いて、いつかダイヤモンドになるように死んでもなお輝き続ける様に
そして、いつか内側から俺を殺してくれ
そして、また会おう。
光り輝く美しい場所で
 「俺達」の上には傷口のような新月だけが頭上に写しだされていた。
ぼくの大好きな詩集

神戸市立須磨翔風高等学校2年 大田黒 夏妃(おおたぐろ なつき)
まるで甘い唾液が歯茎に滲みて
歯列で燻って

まるで甘い涙が頬に筋を通して
べたべたと跡を残していく

恋は盲目とはよく言ったものだけれど
愛にはその目すら
持ち合わせずともいいのだと
思った

あまりの衝撃と追随と余韻

やがてその砂糖の味は
甘い辛い酸っぱい苦いしょっぱい
全てに様変わりして
僕の弱い脳を捏ねくり回した

崇拝? 溺愛? 畏怖? なんだろうこれは

誰に教えを乞うこともしない

僕だけの秘密
ああ あとは挟んだ栞だけが
冷めた目で僕を見ている

飲み込んだ砂糖は胃に落ちて胃酸と溶けて
いくつかの飴玉になるのでそれをどうぞお送
りします。
透き通った天色のグラス

富山県立富山中部高等学校2年 土地 爽太(どち そうた)
きっと何よりも綺麗に違いない
違いないのだ
だから
ずっとずっと眺めていた
ずっとずっと眺めていたい
やがて
やがて
そっとサイダーを注いでみる
ぱちぱちが軽やかに私を包み込んだ
きっと何よりも心地の良い音色
このグラスは音にも魔法をかけるのだ
そっとサイダーを口に含んでみる
しゅわしゅわが鮮やかに私を突き抜けた
きっと何よりも刺激的な一閃
このグラスにはクールなところもあるのだ
もう最高
私はこれで十分
きっとそうに違いない
違いないのだ

やがて

やがて
 
そっとグラスをのぞき込むと
サイダーは半分に減っていた
やがて

やがて
半分の半分に減っていた
やがて
やがて
半分の半分の半分に減っていた
やがて
ふっとサイダーは消えた
グラスは空っぽになってしまった
ふたたび天色のグラスだけが手のひらの中
少し物足りないけどまあいいや
このグラスこそが大事なのだから

すわ 
風が私を突いた
するり
グラスは手のひらを駈った
ぱりん
グラス片のひとひら
空は
あんなにも青かった
ナツトセイシュン

富山県立高岡高等学校2年 茶野 亜依(ちゃの あい)
テスト明けの午前放課後
2時間昼寝したあとは
夢から覚めてまだ夢を見ているよう
窓の外に陽炎が見える
ゆらゆら
一瞬太陽が眩しくて
ギュッと目を瞑る
テスト全然出来なかった
課題いつまでだっけ
みんなとカラオケ行きたいな
宿泊楽しかったな
ぐっと身近で
ギュッと胸が痛くなる
自分のことなのに、ね
青空に浮かぶ白い雲
熱気を抱えたタイヨウ
木陰にことりたちが逃げ込む
逃げるのもアリだなあ
毛繕いをしていた猫がこっちを見ている
そろそろ僕の出番?
猫を撫でている間は
時間が止まる
いや、止められているのか
炎天下、外は誰一人歩いていない
地面がゆらゆら揺れている
17歳は超楽しくて少し辛い
それを青春と言うらしい
そしてセイシュンはイッシュンらしい
今日も楽しく
切なく
あっという間に一日が終わる
目まぐるしくすぎる毎日に
なかなか追いつけない
今を大切にしたい気持ち
未来への憧れ
それらをひょいと持って
軽やかに駆け抜けたいのに
私はそれらを
預かり物のように抱えて
佇んでいる
思い切って窓を開けると
ぶわっとナツのにおいがした
胸が少し高鳴る
猫がヒョイと机にとびのる
始まったばかりだ、そう思えた
はんぺん布団で眠りに落ちて

フェリス女学院高等学校1年 水谷 友理子(みずたに ゆりこ)
はんぺんみたいな畳んだ敷布団の上で
大の字に寝転ぶ

ふわふわして気持ちいい
いい感じに 布団に焼き色までついてたら
ほんとのはんぺんみたいで
食べちゃうところなんだけど

ぼんやり寝転んでいると
そのうち天井の丸いライトが
大根にしか 見えなくなってくる
ベージュのカバーの枕なんて
餅巾着そのものじゃないか

いけないいけない
どれだけ疲れているんだろう
今日はもう眠ろう
私ははんぺん布団の上で目をつぶると
すぐに眠りに落ちていった

目が覚めると朝になっていた
起き上がりながら
何か違和感に気がついた
どこからともなく魚の匂いがする
肌は色白になっているし
でもところどころが茶色い
何より身体の内側がすかすかする

私はちくわになってしまったのだ

それでも学校には行かなければ
制服に着替えようとすると
紺のセーラー服が
どうしようもないくらい昆布だった
こうなってしまったならしかたない
大人しく着替えて外に出た

出てみて私は絶望した
この世界の住民全員が
ポトフの具だったのだ
横断歩道を渡る玉ねぎ
信号を待つじゃがいも
自転車に乗ったにんじん

黄色く澄んだ周りの空気も
明らかにコンソメの匂い
昆布を着たちくわは泣き出した
こんな世界で生きていけない

しばらく泣いていると
親切そうなソーセージが立ち止まり
大丈夫よと言いながら
私の頭に塩こしょうを振りかけてくれた
キャベツからバターをひとかたまりもらった

私はただはんぺんを食べたくなった
小学生の部・奨励賞
なんでも作れるおじいちゃん

    高岡市立高陵小学校5年 小倉 一晃(おぐら かずあき)
ぼくのおじいちゃん
なんでもつくれるおじいちゃん
刀を作ってといったら
刀を作ってくれて
つくえを作ってといったら
つくえを作ってくれて
本だなもつくってくれて
ティッシュばこも作ってくれて
木でたくさん作ってくれた
気づけばおじいちゃんの物に
かこまれていて
なんだかうれしい気持ちになってくる

    高岡市立高陵小学校5年 齊藤 愛(さいとう あい)
夏がきた
暑い夏
白の砂浜に青い海
海風がここちよくふいて気持ちいい
それにつられてウミネコも鳴いている
カラフルなパラソルが砂浜をうめつくす
日差しがだんだん強くなる
それにともなり人がだんだんにぎわう海
大きな波がやってきて
浜におしもどされる
これが楽しい
すこし休憩
海の家で涼しむ
お昼ごはんは海の家で
なににしよう
やきそば、かき氷その他いろいろ
食べ終わったら海に向かって走る
あと100メートル、50メートル
海に向かってジャンプ
大きな水しぶきがあがる
暑い体が一気に涼しくなる
これが気持ちいい
急に黒い雲が太陽をかくす
どしゃぶりの雨がふる
私は走ってにげる
かみなりがおちる
ドッカーンと
私はびっくりして目を覚ます
ゆめか
こわかったな
このことを何かにまとめたい
文にまとめる?
日記にまとめる?
とりあえずお母さんに知らせよう
知らせた
夏休みの宿題にすれば
お母さんが言う
どうしよう
夏休みの宿題にまとめる
何にまとめよう
ポエムにまとめよう
私はまとめる
できた
そのポエムの題名は
流れ星

高岡市立高陵小学校3年 宮永 維睦(みやなが いちか)
キャンプの日
夜中の一時
めざましの音でとびおきた
はやく見たいな流れ星
ドキドキしてねむ気がふっとんだ
テントの外に出てみると
夏なのにつめたい風
あたりはまっくら
空だけが一面星いっぱいでまぶしい
星座をさがしていたら
流れ星が
あっちでもシューン
こっちでもシューン
いくつ出たか数えたよ
一、二、三、四
全部で十以上
大きな流れ星
小さな流れ星
いっぱい出たから
空がもっと明るくなったよ
シャンデリアが
いっぱいふったみたい
あまりにきれいな星にみとれて
おねがい事するのをわすれたけれど
しあわせな気持ちを
いっぱいもらったよ
ずっとずっと
見ていたいな
春夏秋冬

奈良市立ならやま小学校3年 山本 直央(やまもと なお)

ぼくの妹がシロツメクサを集めて
何かを作り始めた
しばらくするとぼうしができた
春だな、と思った


ぼくの家族全員でプールに遊びに行った
スライダーを何回もすべった
水が冷たくて気持ちよかった
夏だな、と思った


こども園の前のイチョウが
きれいな黄色になった
コナラ クヌギ マテバシイ
いろんなどんぐりを拾うと楽しい
しかのおいしいえさにもなる
秋だな、と思った


お母さんは雪が大嫌いで
ぼくは雪が好きだ
遊ぶときはおばあちゃんの家の前にある
神社でいろいろなことをする
すべり台やかまくらを作ったり
雪の玉で野球をしたり
冬だな、と思った
さくらんぼ

奈良市立ならやま小学校3年 山本 愛奈(やまもと あんな)
わたしはさくらんぼ
服はピンク色で
双子や三つ子がいっぱいあって
きけんなときは鳥に食べられて死んでしまう
でもどのさくらんぼの中にも種があるから
鳥が種を落として芽を出して子葉が生え
木になってまたさくらんぼの実がなって
家族がふえる

だけど鳥に狙われやすいのはパパ
家族でいちばんでっかいパパ
次に狙われやすいのは大きいお兄ちゃん
2番目に背が高いから
次にママ、お姉ちゃん、兄ちゃん、わたし

おじいちゃん、おばあちゃんはねらわれない
しなしなでおいしそうではないから
さくらんぼはしなしなでもおいしい
小さくてすっぱいのもおいしい
さくらんぼ大好き
中学生の部・奨励賞
将来

          駒場東邦中学校3年 山本貴弘(やまもと たかひろ)
あなたの将来のためです。
数学の問題を解く
窓の外を見ながら
思い出す
2年前の2月1日
算数の問題を解く
拍動が鳴りながら
これで将来が決まる
と言われた

あなたの将来のためです
教室全体を見渡した
この教室に入るのは
最初で最後だった
試験を受ける半分の
小学6年生にとって

あなたの将来のためです
大手塾の広告が駅に表示された
夏期講習のシーンが映っていた
合格の感動とか夢とか希望とか
よく分からない言葉がのっていた

あなたの将来のためです
子供たちが塾に入っていた
新品のランドセルは教材でパンパンだった
もう日が暮れるのに
隣のビルを見ると
スーツを着た大人たちが疲れた顔をして
駅に向かっていった

あなたの将来のためです
じゃあ今は何なのだろう
あなたの将来のためです
良い中学に行く
良い高校に行く
良い大学に行く
良い会社に入る
そんな将来の為に
子供としての感動と夢と希望を捨て
1日にかける
それがいまの小学生

代々木のビルの4階の窓から
夜空を見上げながら考えてみた
うちのおばあちゃん

高岡市立高陵中学校3年 昇 果澄(のぼり かすみ)
4時に起きたよ おばあちゃん
草をむしるよ  おばあちゃん
朝はパン派の  おばあちゃん
ヒマラヤ登るよ おばあちゃん
洗濯するよ   おばあちゃん
ウーバー頼むよ おばあちゃん
屋根上で寝るよ おばあちゃん
3時のおやつ  おばあちゃん
疲れちゃったよ おばあちゃん
ご飯つくるよ  おばあちゃん
スマホいじるよ おばあちゃん
8時に寝るよ  おばあちゃん
深夜、起きたら空にばあちゃん
明日も元気に  おばあちゃん
あの夏を僕は青春と名付ける。

富山市立速星中学校3年 思田 愛美梨(おもいだ えみり)
あの夏は、異様に熱かった。
外も中も何もかも、熱かった。
だけど、それよりも熱かったのは
他の何でもない、僕の心だった。
最初で最後。もう二度とないこの夏は
何も知らない、誰も知らない、僕しか
知らない、ある大きな夢物語だった。

「県選突破」。僕の最初で最後の夢は
身近なもので、とても大きなものだった。
「声」と「センス」この二つの武器だけで
何十人という人の上位に座を置きに行か
なければならない。たった六人。その中の
一人。二分。秒にして百二十秒。決められた
制限の世界の中で、自分をぶつけ
成功を産み出さなければならない。尊敬する
あの人が僕に言った。
「たとえ一人でも心を動かすことができたら
それは成功だから」。
その成功がどこでも通じる訳がない。県選
四位通過で全国行きの県代表になった。
この時の僕ですら、分かっていた。個人で
全国を戦うのは、僕だけになっていて、
あんなに頑張っていた仲間たちからは、
「僕に全てをかける」と言って送り出して
もらった。

「名前がない」。全国なんてそう簡単な
訳がないだろう。選ばれし二百八十名を
越える実力者がぶつかるのだから。でも、
本当に「成功」がなかったのか。もしも、
あの日のあの人が言ったことが本当だと
するのならば、なかった訳じゃない。そう
信じていたい。僕のこの声とセンスで心を
動かしてくれた人が居るんだって、信じて
いたい。誰かの心に残ったんだって、忘れ
られない何かになったんだって思いたい。
「こんな時だから、ありがとう」って笑い
たいのに、そんな思いとは反対に
「本当に、ごめんね」と、正反対の言葉が
涙という名の悔しさと一緒にこぼれて、
どこかへ溶けていってしまった。行き先は
僕ですら、何も分からない。

少し短いようで、何よりも熱かった僕の
夏は終わってしまった。「青春」。この
二文字を何と表現するか。今まで、何が
青春なのか分からなかった僕でも分かる。
今なら、テストの解答用紙を埋められると思う。
「僕にとって青春とは、同じ目標で共に戦い、
共に笑い、共に泣く。そんな日々だと思う。
この事をふまえて、言えることがある。
それは、あの夏を僕は青春と名付ける。
ただ、それだけだ」。
給食賛歌

南砺市立平中学校2年 荒井 ゆり子(あらい ゆりこ)
夢に出てきた『冷凍ミカン』
いつかいつかと
待ってたら
ついにそのときが!

喉から手が出る『きな粉揚げパン』
いつもは普通のコッペパン
美味だから
いつまでも待つよ!

求めているのは『さっくりからあげ』
あなたはいつもいてくれる
だけどむなしく
だんだん間隔が空いていく!


私の愛しの『給食』たち
食べられるのも
たった、後一年半だから

その味を
忘れないように
舌の記憶に刻み付けて
心の引き出しにしまっておこう
証拠隠滅

富山市立堀川中学校2年 元田 愛子(もとだ あいこ)
好きなことがある
町が生きている中で こそっと 
小さく言葉を吐いてみるのだ
すると言葉は一瞬で溶けて消えて無くなる
そこにあったという痕跡も残さずに

言葉は届かないのだ
ざわざわと動いている中の
小さな 小さな音だから
そんなの聞いてる人いないから
だから何処にも残らない

もし世界の真実を言ってみたって
余命宣告放ってみたって
誰も聞かないし
町にぼんやりと溶けて消えていくだけなのだ

それが楽しくて、楽しくてたまらないのだ
今日も町に言葉を吐いてみる
その言葉を私だけで独占して
町に密告して消していく
今日の言葉も
電車の轟音にかき消されていった
高校生の部・奨励賞
常夏

高岡第一高等学校2年 谷口 仁美(たにぐち ひとみ)
 「また夏が来たんだね」。

 夏の代名詞はなきじゃくっていた。その短い命を
嘆いては胸を大きく膨らませ、嘆く。
仲間の声には耳を貸さず、満足したら似て非なる
住処へ移っていく。

 「みんな大きくなったかな」。

 砂で磨かれたショーケースは、何人も受け付け
ない重厚感を出そうとしている。しかし、まるで
閃光のような黄緑色が全て台無しにしている。
気がする。

 「今年は去年より暑いのかな」。

 早咲きとなった理由に、そのような意図は
なかった。ただ薄暗く狭いところより、この
だだっ広くまぶしいビニールハウスのほうが
マシだっただけだ。深紅の飾りの子は、そう
心の中で馬鹿にした。

 「・・・・・・」
 「暇すぎて生き返っちゃうよ」。

 セミはいつしか鳴きやみ
 放置された虫かごは存在感を消し
 大石の隙間から生えた花は花びらを落とす

  n回目の違うようで、同じ夏。

夕立ちが作った鏡の真上に立つと、一番星
が優しく彼女の身体をつらぬいて、己の姿に
見惚れていた。

 私の気も知らないで

 時が止まった墓石の前には
 いつかの時代の少女が独り
 気が付けばn+1回目の
 夏が来る

 「また夏が来たんだね」。

 夏の代名詞はなきじゃくっていた。
心の美学

浦和学院高等学校2年 廣江 優佳(ひろえ ゆうか)
自信は姿勢に現れる
努力は結果に現れる
決意は明日に現れる
気品は仕草に現れる
喜びは笑顔に現れる
怒りは本能に現れる
哀愁は背中に現れる
不安は焦りに現れる
我慢は恨みに現れる
生き様は表情に現れる
強さは温もりに現れる
本性は別れ際に現れる
寂しさは金遣いに現れる
育ちは言葉遣いに現れる
落ち着きは部屋に現れる
優しさは気遣いに現れる

美しさは何に現れる?

「鏡よ、鏡、
 この世で一番美しいのはだあれ?」
『世界で一番美しいのは
 森で小人たちと暮らしている白雪姫です』

あなたの心の前に鏡を掲げて
そこには何が映る
みじめ

大阪府立富田林高等学校2年 西村 夏波(にしむら かなみ)
夢なし
願望なし
今日の目的なしの
空っぽ娘
ふらふらふらふら歩いてら

目を閉じれば紫が
目を開ければ黄身がかり
半目で世界を見ているの

ほどけきらずのマカロニみたいに
今日もぐちゃぐちゃぐっちゃぐちゃ
パンクロックに生きてるの

キラキラ人間羨んで
羨望ビームを手で覆う
手の朱色のみを覚えるの

午前2時の窓際と
網戸の網目を数えあう
夜空は見てあげないの

音なし
希望なし
今日の居所なしの
空っぽ娘
ふらふらふらふら歩いてら

黄緑の草を蹴飛ばした
びくともしない黄緑
いいや
緑のそれを見て
「ああ がんばって」と私は言う
ああ 私は
ああ 私はー
起床転結

富山県立高岡高等学校2年 土屋 光壽(つちや みつひさ)
 床に就く。頭が揺れる。とんとんと鳴る心臓は
止む様子はなく、今日も眠りから、それもひどく
浅いそれから私を遠ざける。
 気づかぬうちに遠のいた意識が帰ってきて
朝が始まる。常に追われている意識。得体の
知れない「なにか」によって日々感じる息苦しさ。
まるでもう一枚マスクをしているような。
 特別に眠りが良かった。夢を見た。夢と気付かぬ
精巧なものであったが、違和感を覚えた。
「なにか」に追われていなかった。
 夢の中にはなにもなかった。成功も、失敗も。
肺が楽だった。息苦しい生活を生き抜くだけの
生活が馬鹿らしく思えた。覚めないままの夢を
望んだ。怒られない。後悔しない。だが味気ない。
その一点が唯一にして最大の欠点であった。
気が付けば夢から覚めていた。
 今日もまた朝が来る。今ならわかる。「向上心」
に追われる息苦しさは、高地トレーニングなのかも
しれない。
 そうして今日もひどく浅い眠りに身を委ねる。
学校であいうえお構文

北海道石狩翔陽高等学校2年 伊藤 皆人(いとう みなと)
あまくない勉強
いすがかたい
うちから近い
えんぴつ使う人ほとんどいない
おとことおんなの比率が激しい
かんけんなどの資格が取れる
きょうしに個性がある
くせつよいやつが一人はいる
けしごむ小さいやつ
こくご苦手
さがすごい
しけんがむずかしい
すごいにんきなやつ
せが高いやつ
そつぎょうできんやつ
たいこ正味五月蝿い
ちがくわけわからん
つくえ傷おおい
てすとだけ勉強するやつ
とけい読めんやつ
なくのがしごとみたいなやつ
にんたいりょくないやつ
ぬれぎぬおおい
ねぶそくおおい
のうてんきなやつ
はきないやつ
ひかんてきなやつ
ふざけるやつこれおおい
へりくつおおい
ほけんだけまじめなやつ
まんねん遅刻
みぶんがある
むりなんだいおおい
めがねおおい
もてるやつ
やかましいやつ
ゆめのないやつ
よけいなことしかいわんやつ
らくするやつ
りにかなってないやつ
るすなやつ
れんらくのない不登校
ろくでもない退学者
忘れられない思い出これ
をここに刻む
ん ?