第5回(2008年) 入賞者

佳作
林里美 (平米小 4年)
新ヤハヤー (野村小 5年)
吉田光輝 (東五位小 2年)
西川悟喜 (大島小 5年)
細川真実子 (神明小 6年)
川田若奈 (庄西中 2年)
畝亜由美 (中田中 3年)
尾上藍里 (大沢野中 3年)
紅井里緒菜 (高岡西部中 2年)
米田瀬里香 (出町中 2年)
中島梓 (高岡第一高 2年)
石坂麻里愛 (新川みどり野高 1年)
表英里奈 (ふるさと養護学校 3年)
池松康太 (志貴野高 3年)
五十嵐彩那 (富山高 1年)
奨励賞
竹村文恵 (富山大附小 5年)
菅野紗希 (平米小 6年)
羽岡隆平 (平米小 6年)
安念未来奈 (平米小 6年)
冨田凌平 (平米小 1年)
藤井翔太 (大門中 1年)
木下広大 (大沢野中 1年)
畑まりな (南星中 2年)
石田瑠美子 (庄西中 2年)
臼澤裕紀 (早月中 3年)
中野つくし (高岡第一高 1年)
大坪航 (高岡第一高 1年)
杉本麗奈 (高岡第一高 1年)
中村美母衣 (石動高 2年)
ねじめ正一氏選評
言葉から元気もらった
 今年もたくさんの応募ありがとうございました。みんなの言葉から私も元気をたっぷりもらいました。
 大賞は津田美礼さんの「割れ物注意の札が赤いのは何故か」です。タイトルは質問の形になっていますが、その答えはこの詩の中にはありません。いや、この詩全体が答えなのです。「ない」のに「ある」、その矛盾や不思議がそのまま言葉になって私たちの前に投げ出されています。ちょっと難しいですが、こういうことも詩にはできるのです。
 富山銀行賞は榎真之介君の「だいすき めだまやき」です。真之介君は目玉焼きが本当に好きなんだなあ、とぐいぐい伝わってくる詩です。「好き」と書いても好きだと伝わるとは限らないのです。じゃあ、どんな言葉を使えばほかの人に伝わるか、作者はその言葉を見つけました!
 小学生の部最優秀賞は伊藤幹君の「おばあちゃん」です。この詩の決め言葉は「ぐっとかまえて」です。おばあちゃんの元気さ、たくましさ、孫に対する愛情の強さが、この言葉の中に全部詰まっています。「考えられよ」という方言も美しいです。
 中学生の部の最優秀賞は砂原綾佳さんの「トンテンカランと 人形は」です。童謡のような、不思議な雰囲気のある詩です。言葉の繰り返しは安易に使うとだらけますが、この詩はリズムによって緊張感を作り出すことに成功しています。
 高校生の部の最優秀賞は島崎由紀乃さんの「明日の空トマト」です。家族がテーマの詩です。家族の分からなさ、じれったさ、愛情、それらの交じり合った感情を正確に、きちんとつかまえて表現しています。トマトの登場の仕方も素晴らしかったです。
 ほかの素晴らしかった詩も表彰式にたくさん紹介したいと思っています。
ポエム大賞
割れ物注意の札が赤いのは何故か

小杉高校2年 津田 美礼
破壊魔 破壊魔 あたし破壊魔
梅雨時 出来たて 水溜りを踏む
切れた電球 空き箱にガチャン
炊飯器の電源スイッチ 指にて押し切る
八個入りの安売り卵 角にぶつけて目玉焼く
トマト トマト ミニトマト 真っ赤なアイツ
去年から食べれるようになった
ドーナツの真ん中 穴の理由を自由研究
空き缶潰して 回収に出す
自転車 廻るは車輪 見惚れて電柱に頭突き
お陰様でベルの声が潰れた
池に夕陽 石を投げれば お化けが如し
鉢植えに種 水やり忘れて かけた赤茶と枯れた朝顔
二つの眼球 瞼に宇宙
じゃあこれ あたしの地球にしておく
視力が落ちて レンズに閉じ込める
窮屈 退屈 フィクションに脆い地球は
しょっちゅうしょっちゅう涙のバーゲン 大安売り 大特価
爪を切ったら 爪の屍
棺おけ ゴミ箱 埋葬 そのうち火葬
お菓子のカラがお供え物
破壊魔にしてはぜいたくな暮らしをしています

富山銀行賞
だいすき めだまやき

富山市新保小学校1年 榎 真之介
しんちゃん、めだまやきだあいすき
とろとろめだまやきだあいすき
わあい、きょうのあさごはん、めだまやき
しんちゃん、やさしくしてんの
めだまやきにやさしくしてんの
そおっとそおっと
きみとしろみをわけて
あっ、きみがやぶけちゃった
あーあ、しんちゃん、やさしくしたのにな
でもいいや、ぜえんぶいっしょにたべちゃおう
とろとろとろろ
んー、おいしい
やっぱりめだまやきはさいこうだ
しんちゃん、めだまやきになりたいな

最優秀賞
おばあちゃん

高岡市平米小学校6年 伊藤 幹
ぼくのおばあちゃんはすごい
カメラを持って
学校の行事で
写真をたくさん撮る

ぼくのおばあちゃんは強い
病気にも負けず
強い足腰で
ぐっとかまえて
写真を撮る

ぼくに写真をくれる
みんなにも写真をくれる
どんどん写真がたまっていく

思い出つまったアルバム
お母さんがとった写真
おばあちゃんがとった写真
おばあちゃんがとった写真の方が
少し多い気がするな

ぼくが帰って
「ただいま。」
すかさずおばあちゃんが、
「おかえり。」
大きな声で返してくれる

ぼくが悪いことすると
「考えられよ。」
とおこってくれる
ぼくが良いことすると
百円をくれて
ほめてくれる
ぼくが宿題していると
「学校に何しに行っとんがけ。」
と言いながらも教えてくれる
そんなおばあちゃんのことが
ぼくは大好きだ

トンテンカランと 人形は

滑川市早月中学校3年 砂原 綾佳
トンテンカランと 人形は
今日も夜に 目を覚ます
トンテンカランと 人形は
今日サザンカ ひきちぎり
トンテンカランと 人形は
今日も葉音と消えていく

トンテンカランと 人形は
今日こそだれかに 会いたくて
トンテンカランと 人形は
今日こそ笑顔を見せたくて
トンテンカランと 人形は
ついに夜から とびだした
トンテンカラン トンテンカランと人形は
はじめて 呼吸をしてみたが
トン……テン……カラン……と 人形は
太陽の熱に 燃やされ死んだ

トンテンカランと 人形は
今日も再び 目を覚ます
トンテンカランと 人形は
今日もどこかで 泣いている
トンテンカランと 人形は
今日もだれかを さがしている
トンテンカランと 人形は
今日もようやく 気づいてしまう
トンテンカランと 人形は
今日もようやく 見てしまう
長い 長い ながい 糸
複雑にからみあう
その先に見たものは……。

トンテンカランと 人形は
今日もかなしい 夢を見る
トンテンカラン と人形は
今日も私の顔を 知らない 

明日の空トマト

高岡南高校3年 島崎 由紀乃
いつの間にか、はぐれている
私の服、買いに来たんに…
「やっぱ、私なに(ん)着ても似合うわ(おわぁー)。」
母のファッションショー

「これも、うん、あれもいいんじゃない?」
友達同士みたいな隣の親子の会話
次から次へ ― 着せ換え人形みたいに
無造作に脱ぎ捨てられた服
片手に握りしめられた彼女の一部

いつの間にか、はぐれている
お母さんは…メンズコーナー
「お兄ちゃんに、これどうかな?」
また始まった、いつもの “アレ”
「お父さん、いーっつも同じ服でかわいそう。でもあの人に合う服ないし」
トマトがあったら、思いっきり 
その口に放り込んでやりたかった
結局、私の服は買えない
お母さんは自分の服を買わない
いつも家族のコトばっか…
自分の服は単独で買えないんだね

いつも家で留守番の父
今日も土と話をしている
何、話してんだろう?
「あっ、昨日のトマトなかなかやったよ。」
ばあちゃんの日課は、お散歩
ラクダみたいに、のたりくらり
お腹はタヌキで足はラクダ
たとえ遠くたって自分の足で我が道を歩んでく
日曜のAM5:00
ラジオ片手に、母はウォーキング
私は、いつも外へ出かける
なかなか、家にはいない
内にいる私は
この空の青さと太陽に
負けていた…
今は、もがきながら、考えながら
手を伸ばそうとしている
灰色の空で時々、立ち止まって
どしゃぶりの雨でリセットする

明日の私は、何を見ているんだろう
来年の私は何処にいて何を見ているんだろう
みんなは、どんな空、見ているんだろう。
そこには、トマトがあるんだろう?

優秀賞
風になる

高岡市平米小学校6年 藤島 陽平
ぼくは風になる
速い速い
風になる
ビュンビュンビュンビュン
風になる
他に負けない
風になる

ぼくは川になる
ゆったり走る
川になる
ぐたぐたになる
川になる
四二・一九五キロメートルの
川になる

ぼくは流れ星を投げる。
遠くへ行く
流れ星を投げる
三十一メートルの
流れ星を投げる
去年と同じ
流れ星を投げる

僕はありんこ

高岡市野村小学校5年 柿埜 百合子
僕はありんこ
ちっちゃいちっちゃい、
ごまつぶふたつくらいの、
ありんこ
土の中はとっても楽しい、楽しい、楽しい
えさ、えさ、えさ、いっぱい

でも、でも、でも
土の外は危険、危険、危険
人間、危険
エサをはこんでいると、頭の上に、
クツ、クツ、クツ

プン、プン、プン
人間、人間、人間
目が悪い、悪い、悪い

…ん?なんだ、なんだ、なんだこれは
人間のうで時計だ

えっと、今は、今は、今は、
一時十一分
数字にしてみると、『1』『1』『1』
『ありんこ』と『一』
小さいもんオンパレード!


僕はありんこ
とっても強いぞ


射水市大門中学校1年 原田 和明
扉を開けるとそこは
部屋だったり
家だったり
外だったり
友達の家だったり
庭だったり
店だったり
体育館だったり
外国だったり
別の世界だったり
天国だったり
地ごくだったり

扉は
戸とか
ドアとか
ゲートとか
いろいろ言われたり

この扉の向こうには
何があるのだろう

授業

射水市奈古中学校1年 磯部 光志
授業中なのに
みんなで
ギロッ
あっ 電車が通った

夏の夢がさめたあと

高岡第一高校1年 松本 安吏
いつおわるのやら
白い高楼を見下して
綺麗すぎる紙の城
黒い肌を笑ってる

あぶらぜみがひぐらしになり
ひまわりがひがんばなになり
私のTシャツ 笑ってる

いつおわるのやら
黒い楼閣を見下して
皮肉笑顔の義務の城
白い頭を笑ってる

夏の声が届かない
すすきと稲が
私のTシャツ 笑ってる

愛別離詩

富山いずみ高校3年 五十嵐 みき
藍(あい)の上(うえ)には御(お)月様
垣(かき)は矩形(くけ(い))で小(こ)差(さ)し(し)出づ
栖(す)中の世相(せそ(う))は立(たち)葵の伝(つて)言((ご)と)で
何(なに)に濡(ぬ)れてか子乃(ねの)日の衣
端(は)の緋(ひ)色は浮萍(ふへ(い))の誉(ほま)れ
見向(みむ)く目許(めも(と))は揶揄(やゆ)に宜(よら)し
理(り)の流例(るれ(い))を炉(ろ)に焼べ君は
我(わ(れ))と分かちて何処へを(を)往かん(ん)