第6回(2009年) 入賞者

佳作
羽岡奈菜子 (平米小 3年)
亀井主隆 (平米小 3年)
四津川奈旺 (平米小 6年)
京谷香澄 (平米小 6年)
中谷彩希 (平米小 6年)
宮﨑 立 (石動中 1年)
畔木彩葉 (五位中 3年)
大家 涼 (渋沢中 3年)
岡野優輔 (中田中 1年)
畑 まりな (南星中 3年)
杉守貴樹 (高岡第一高 2年)
林 佑美 (高岡第一高 2年)
砂原綾佳 (富山第一高 1年)
表 俊樹 (福岡高 3年)
島田 文 (高岡高 2年)
奨励賞
中村岳広 (富山大附小 5年)
佐々木温音 (成美小 5年)
吉村奈菜 (五福小 5年)
西岡優夏 (国吉小 5年)
数井 彪我 (朝日小 3年)
笠本知里 (五位中 3年)
松澤あかり (五位中 3年)
宮田陽菜 (中田中 1年)
岡本理瑚 (中田中 2年)
井川果歩 (中田中 2年)
髙田裕子 (高岡第一高 2年)
津田美礼 (小杉高 3年)
畑めぐみ (伏木高 3年)
広田萠香 (小杉高 3年)
吉田美寿季 (高岡高 3年)
ねじめ正一氏選評
作品レベル高い
 今回の応募作品はレベルが高かったです。特に高校生の作品は紙一重よりもさらにレベルの差がなく、カミソリ一枚の差といっても過言ではありません。
 大賞の薛沙耶伽さんの「ひと匙の夢」は「恍惚(こうこつ)」「欲望」「絶望」「擬態」「死」など、現代詩でおなじみの言葉を使っていますが、新鮮さがあります。それは本物の銀の匙が欲しいという思いの強さにあるからです。匙ですくえるものは腐りかけの宝石のようなものかもしれませんが、作者は匙ですくい取ることをあきらめていません。詩の言葉の技術のレベルも高いです。最後の4行に救いの取っかかりをやっと読み取ることができました。
 富山銀行賞の吉田光輝さんの「一人たい三人」は、家族の有りようをきちっと描いています。4人家族が一人対三人になる場面を書くという発想がいいです。一人対三人に絞って書いているうちにおかしさがあふれてきます。
 小学生の部の最優秀賞の高慶泉美さんの「もうすぐママになる先生へ」は、先生が赤ちゃんを産むことへの子どもながらの心配、期待などが混じった思いがストレートに出ていてかわいいです。「よ」「ね」の使い方がいいです。この詩を先生が読んだら涙を流して喜んでくれるはずです。
 中学生の部の最優秀賞の梅津奏子さんの「中学生」は授業の科目を引っ張り出してきて、肩の力は抜けていても気を抜かずに的確に書いています。焦ることなく言葉を一つ一つ丁寧に選び出しています。「だけれど豊かな老後のために/私は椅子から動けずにいる」のフレーズは思わず笑ってしまいました。どこかで自分を笑い飛ばす力を持っています。
 高校生の部の最優秀賞の本田しおんさんの「アンソロジー」は言葉の繰り返しの詩です。繰り返しの詩は後半になると、言葉があせてくるのですが、この詩は後半になってもあせていません。若い人のビートルズ論にもなっています。
ポエム大賞
ひと匙の夢
 福岡雙葉高校3年 薛 沙耶伽
きらりと煌(きら)めく銀メッキのスプーンで 
腐りかけの宝石のようなそれを掬(すく)う
真っ赤なぐにゃぐにゃはぺたぺた甘い
黄金色に溶けたバターの上で混ざりあい
恍惚(こうこつ)というにふさわしい色になる
しかしそれもつかの間
私は何度か咀嚼(そしゃく)し愕然(がくぜん)とする
誰もいない朝食の席
現実のなかに、まだ未練がましく夢が
ふわふわと低空飛行するのが見える
とたんにわけがわからなくなり
銀のスプーンでぐるぐる、
脳みそをかき混ぜられたようになる
いま、たったこのいま、生きている?


本物の銀の匙がほしいという欲望
欲望は果てしなく
満たされることを知らない
ノンストップの列車のように
いまなお鏡に向かう厚化粧の女のように
しかしファウンデーションの層は
表情をこわばらせる
陰気な虚無にさいなまれ
高笑いする絶望の踵(かかと)に踏みつけられ
そして死ぬということを考えすぎる
その考える作業は水をつかむようなこと
すべては彼らによる仕業
眠りは死の擬態とはよくいったものだ
死というのは夢の中で生活するのと同じ
夢を見るのは死の経験を積むため
絶望がこそこそと耳打ちする
欲望を満たす唯一の方法
きわめて単純でもっとも苦痛かもしれないが
この途方もなくふわふわとした自己の存在感を
ようやく確固たるものにできるのだ
それは願ってもみないこと


私は今日も明るい日のあたる席につき
静かにジャムを掬う
今日はマーマレード・ジャム
美しいオレンジ色が匙から溢(あふ)れ出しそうだ

富山銀行賞
一人たい三人
高岡市東五位小学校3年 吉田 光輝
一人たい三人
お父さん 一人
お母さんとぼくと弟の三人
それは、ねるへや
だって、お父さん かえってくるのおそいから

一人たい三人
ぼく一人
お父さんとお母さんと弟の三人
それはしゅくだい
弟が、
「いいかげんにしられ」
という
2才のくせにお母さんとそっくり

一人たい三人
お母さん 一人
お父さんとぼくと弟の三人
それはチョコレート
「この家にはバレンタインデーはあってもホワイトデーはないよね」
お母さんがいらないっていったのに

一人たい三人
弟 一人
お父さんとお母さんとぼくの三人
それはおしめ
でもね、ひろとくん、トイレでおしっこもうんちもできるようになったよ
だから、ぼくはもう紙おむつをとったり、
お母さんにおしりがうんちくさいのを教えたりしなくていいんだよ

やったー

最優秀賞
もうすぐママになる先生へ
魚津市住吉小学校3年 高慶 泉美
先生は、もうすぐ小さい赤ちゃんをうむね。
先生のうむ赤ちゃんは、先生とだんなさん、どっちのいでん子をうけついでいるのかな。
先生ににたら、鼻がたかぁくなるよ。
だんなさんににたら、顔が四角くなっちゃうね。
半分半分ににたら、まゆが太くて、目がアーモンドがたのかわいい赤ちゃんだろうね。

ねえ先生、さいきんとってもおなかが大きくなってきたね。
おようふくは、ボタンがない、おなかに合わせた物になったね。
ズボンもはかなくなったね。
先生の赤ちゃんは、女の子だと思うよ。
だって、先生のおなかが、下の方から大きくなっているもん。
ママもそう言っていたよ。

ねえ先生、とにかく、走ったり、ころんだりしないでね。
体じゅうは、10キロい上ふえちゃだめだよ。
食べ物は、赤、黄、みどりを、バランスよく食べてね。
くれぐれも、えん分のとりすぎには注意!
わたしたちの、つくえやいすみたいな、おもたい物はもたないようにしてね。
お酒やたばこはきんしだよ。

わたしの弟の夏きは、もう一才。
夏きは、いたずらが大すき。
いたずらしている時は、とってもしずか。
ティッシュをガーッととって食べちゃう。
ごみばこの中まであさっちゃうんだよ。
そういう夏きをおこる時に、「ちゃいちゃい。」と言うと、
夏きは、ぎゃくぎれして「あァー」と大声を出してさけぶんだよ。
あとね、夏きはおっぱいが大好き。
しかも、ママのおっぱいじゃないとだめ。
先生もそのうちに、赤ちゃんから、おっぱいじゃないといや!と言われると思うよ。
夏きのすきな食べ物はやわらかいごはんにふりかけをかけた物だよ。
「アーアーウーウウー。」
が夏きのもっとくれーの合図。
夏きったらくいしんぼうなんだから―。
 
ねえ先生、あと何カ月かでおわかれだね。
おわかれするのはいや。
でもね、先生もわたしも早く赤ちゃん見たいしね。
先生の赤ちゃんも、おなかから出るのを、たのしみにしているはずだよ。
わたしもおみまいにいくよ。
今度ママ先生にあうのをたのしみにしているよ。

中学生
秋田市飯島中学校2年 梅津 奏子
数学は駆け足で進んでく
記号と数字に埋もれて
窒息寸前のわたしのことを
時間の流れが置いていく

国語はゆっくり進んでく
忙しすぎると混乱するけど
中年先生の話のペースは
のんびりすぎて私は眠る

穏やかなワルツもいいけど
ヘビーメタルなロックが好き
べーとーべんはよく知らないけど
似た髪形の人はバンドによくいる

社会は横向きに進んでく
小さな地球儀がぐるりと回り
私の目もぐるりと回り
緯線と経線を歪ませる

理科は上へと昇ってく
大きなフラスコに薬品混ぜて
見えない蒸気が空気と混ざり
私は爆発するの待っている

中でのんびりするのもいいけど
外で思いっきり走りたいから
教室ごと吹っ飛ばせないかと
想像する最悪の未来

英語は逆立ちで進んでく
どこかいびつなアルファベットを
軋んだノートにぶちまける
わたしを時間が置いていく

ああ 授業は長くてかったるい
無音で過ぎる時間よりも
騒いで怒られるほうがまだマシだ
だけれど豊かな老後のために
私は椅子から動けずにいる

ああ 別に勉強は嫌いじゃないけど
それが何になるのかよくわからなくて
やる気は何処(どこ)か
そうきっと遠い何処かに
落としてきてしまったから

今日もわたしは
どうにもならない日常を生きる

アンソロジー(anthology)
東京・藤村女子高校3年 本田 しおん
Abbey Roadを 聴いていると
Come Togetherが、
耳の中で 暴れだす
いつもの私が〓(もが)く 常識の渦に
意識をしていないと、
見過ごしてしまいそうな
喜・怒・哀・楽を 代弁する
4人が奏でるメロディは、
私のハートを 雁字搦(がんじがら)めにして
等身大の私を 炙(あぶ)りだす
ジョンとポールが 平和を叫ぶと、
4人の中にchemistryが生まれ
ビートルズが ひとつになる
不思議だよ
Come Togetherを 4人と共有できると
なぜか、今日のちょっとを
発見できる気にさせてくれる

Please Please Meを 聴いていると
Twist And Shoutが、
腹の中で 踊りだす
私の常識が犇(ひしめ)く モラルの流れに
意識していないと、
見落してしまいそうな
喜・怒・哀・楽を 演奏する
4人が刻むリズムで、
私の心は 液状化現象を起こし
等身大の私が 姿を現わす
リンゴとジョージが 愛を語ると
4人の中から inspirationが溢(あふ)れ
ビートルズが 膨らみはじめる
不思議だね
Twist And Shoutが
4人と共有できると
なぜか、明日のなにかが
目の前に 浮かんでくる気がする

そして、
今日の喜・怒・哀・楽は、  
ビートルズが shoutすると
何気ない1日に 吸収される
そして、
何気ないいつもの1日は、
明日の喜・怒・哀・楽を
shoutしてくれるだろう

明日のために、
もう一度
anthologyを聴こう

優秀賞
たねをまいたら
小矢部市津沢小学校2年 濱崎 蒼生
たねをまいたら、本がでてきた。
そのつぎたねをまいたら、にじ色の花がでてきた。
おし花つくって本にはさんで、おし花の本のできあがり。
それをもって海に行った。
海のすなのうえにおいてひろげたら
たねがたくさんでてきて
また本ができた。
海の本やさんができた。

あり
高岡市平米小学校6年 利木 佑多
目がさめた。たくさんのありの仲間が仕事をしている。ぼくの住んでいる巣は、まだできていない。だからみんな砂を積み上げて家を作っている。だからぼくも砂を一個一個口で持っている。持って行くの繰り返して、何回もやってやっと完成した。でもお祝いをしているひまはない。すぐにえさを見つけに行かないと!仲間がだした液をたどっていくとそこには、イモ虫がぼくの仲間にひきずられながら抵こうをしている。ちょっと悲しいがあのイモ虫をつかまえなければ、ぼくたちはあのイモ虫みたいになってしまう。だからぼくも手伝わなきゃ。ワッショイ!ワッショイイモ虫をぶじ巣の中に入れて外へ出ようとしたら、何かまるい物体が巣の入口をふさいでいるみたい。みんながぱんぱんになってきた。みんなで相談して、そのまるい物体をおすことに決めた。いっちに!いっちに!前のアリの肩をおしてみんなでがんばった。やっと外へ出れた。大きな物体は、ころころころがって、やっと平らなところで止まった。みんなで行って見ると、大人のでっかいダンゴ虫だった。みんなでそんな大きなダンゴ虫は運べない。よく見るとお母さんだった。もっとつかまえられない。そのお母さんダンゴ虫はあきらめた。今日のごはんは、昼とったイモ虫、みんなうれしそうにごはんのイモ虫を食べている。ぼくも食べた。すごくおいしかった。今日はこれでぼくは、すいみんについた。明日も、かりにいかなくちゃーと言いながら、ぼくはねむりについた。

私の足
高岡市五位中学校3年 長森 由美子
私の足は日焼けで肌の色が三段階だ
まるでサンドイッチみたいな足だ
見た目はあまりおいしそうじゃない
まるでやきすぎてこげたみたいだ
ひざにはトマト色の
かさぶたの具がある
かゆくてかいたり
少し赤いドレッシングがでる
ドレッシングがこぼれないよう
バンソウこうのハムではさむ
ハムがとれないように
緑色のくつ下のキャベツで
しっかりおさえる
しあげに・・・
私の足を遠くから見たら
不思議なサンドイッチの
で・き・あ・が・り

チョコレート
高岡市五位中学校3年 高嶋 沙弥香
「ん、あまい。」
口の中いっぱいにひろがった
 ―ちょっとだけ。

ねぇ。
君の左のポケットに何が入っているの?
うん?あのね、優しさだよ。
優しさ?それ、おいしいの?
「ん、あまい。」
 ―ちょっとだけ。

ねぇ。
あなたの手の中のものなぁーに?
これは、友情さ。
友情ってどんな味?
「ん、あまい。」
 ―ちょっとだけ。

ねぇ。
お前のバックの中には何があるんだ?
バックの中には夢が入っているのよ。
へぇ、そんなにいいもの?
「ん、あまい。」
 ―ちょっとだけ。

ねぇ。
パパ、私の瞳の中に何がある?
そうだな、未来があるよ。
未来は苦いの?
「ん、あまい。」
 ―ちょっとだけ。

ねぇ。
ママ、思い出の中には何があった?
出逢いがあるのよ。
別れは苦いんだよね。じゃあ、出逢いは?
「ん、あまい。」
 ―ちょっとだけ。

ねぇ、ねぇ。
僕等の心の中には何があると思う?
そんなの決まってるじゃん。
愛があるんだよ。愛。
そっか。そうなんだね。
愛は甘いですか?
「ん、あまい。」
 ―チョコレートみたい…。

恋文
高岡第一高校2年 島 夏美
愛しちゃってるんです。
そりゃもう、どうしようもないくらいに。

なので。
静かに想ってみようと思います。
わたしの愛情はこの世のどの単位でも
はかり得ないほど重たいので。
きっと、それくらいがちょうどいいのです。

愛しちゃってるんです。
そりゃもう、泣いちゃいそうなくらいに。

だから。
激しく求めてみようと思います。
わたしの愛情表現はこの世の誰よりも
稚拙なものなので。
きっと、それくらいがちょうどいいのです。
愛しちゃってるんです。
そりゃもう、ため息つかれちゃうくらい。

ただ、ただ。
ちょっと傲慢(ごうまん)になってみようと思います。
わたしたちにこの世で六番目くらいに
丈夫な赤いのをください。
きっと、それくらいがちょうどいいのです。

好き、なんて言葉は
おなか空いたと同等になっちゃって。
うっとうしいから前髪を切ろうと思っても
今の前髪、好きだよなんて言われると
もう、どうでもいいやって思っちゃって。
今日もまた、やつの一言一言に
ふりまわされてます。
しかし、それすら幸せなので。
きっと、それくらいがちょうどいいのです。

愛しちゃってるんです。
そりゃもう、口にできないくらい。
愛しちゃってるんです。
これが、わたしの最初で最後の、

見えなくて
富山高校2年 五十嵐 彩那
黒で縁取られた箱の中
今、どれくらいの人が見ているだろう?
何を思って見つめているだろう?

点滅したラインに言葉がついて歩いている
「ありがとう」も「ごめんね」も
内緒の相談も 説明の難しい話も
ここでなら 言える
伝える前に考え直すことができる
でも どんなに箱を覗(のぞ)いても
あなたの顔が見られない
「大丈夫」
ってさ 今 ちゃんと笑えているの?

目には映らない波が
人の思いをくるみながら
箱から飛び出し 交差する
それは 何かと繋がっているのかな?
届かなくて 消えていきはしないのかな?
わからない
見えないから

わかっている つもり
知っている つもり
箱の表面に浮かんでいるものしか
手に取らないで
底に埋もれている大切なものに
気付いていないのかもしれないな
そう 大抵
大切なものは奥の方にしまわれている
だからこそ 忘れがちでもある

明日はあなたに会いに行こうか