社会の今を映す新聞はビジネスに不可欠の情報源。スマホやインターネットが急速に広がる中でも、県民の暮らしに密着した情報を提供する新聞の機能は揺るぎません。新聞を活用した社員教育、仕事の効率アップを図るNIBが県内企業の注目を集めています。さっと見出しを拾い読みし、気になる記事は後でじっくり。そんな新聞の読み方を朝の習慣にしませんか。
 ビジネスのアイデアやヒントを求めてー。

ビジネスに効く 新聞の読み方

◎記事は3回読む
 新聞記事には、内容を簡潔に要約した見出しがついています。見出しの大小や配置でニュースの価値を示します。
 記事は、内容の骨格を盛り込んだ前文(リード)と、細かく説明する本文で構成されます。読者は、見出し、前文、本文と3回読むことで、段階的に深くニュースに触れていくことになります。
 新聞社では、記事の配置を体に例えて呼びます。各面の一番大きなニュースが「頭(あたま)」で、原則として右上に置きます。2番目のニュースは左上で「肩(かた)」。真ん中あたりに目立つ扱いで置く記事は「へそ」です。

◎朝パラやってみよう
 見出しは一目で読み取れるように、一本の文字数の基本が9文字から10文字程度に収められています。「読む」よりも「見る」感覚で、見出しを目で追いながらページをめくってください。
 一日の始まりに、新聞をパラパラめくる「朝パラ」を始めませんか。見出しを拾い読みしながら、新聞全体にざっと目を通すのがポイントです。身近な地域の話題から経済、国際問題まで、数分足らずでひと通りのニュースに触れることができます。気になる記事は後でゆっくり読み直します。
 朝の貴重な時間だからこそ、有意義な情報収集に生かしましょう。幅広いジャンルに興味関心が広がり、ビジネスのアイデアやヒントも見つかるはずです。



ビジネス文書に生かせる 記事の書き方

◎逆三角形/大事なことから先に
 新聞記事は大事なこと、結論から書き出し、後で説明するスタイルになっています。起承転結で構成する一般的な文章とは異なり、頭が大きい逆三角形型の文章と言われます。
 結論から書くのは、端的に用件を伝える機能性を最重視しているからです。逆三角形の文章が新聞記事の最大の特徴です。
 新聞は新しいニュースが飛び込んでくるたび、締め切り時間に合わせて記事の入れ替えや、配置の変更を繰り返します。この作業を「版替え」と呼びます。逆三角形の文章スタイルなので、版替えの際、記事は単純に後ろから切って長さを調整することができます。逆三角形の文章には、こうした新聞制作上の要請もあるのです。

◎見出し付け/考えをまとめるために
 伝えることをあれもこれもと欲張らず、記事は思い切って内容を絞り込むことが大切です。とりあえず書き出すのではなく、よく頭の中で整理してから書き始めるのがよいでしょう。だれに何を伝えるのかをまとめるには、事前に最も言いたいこと、キーワードを見出しやタイトルにしてみるのが有効です。
 事実を伝える場合は、いつ(When)どこで(Where)だれが(Who)なにを(What)なぜ(Why)どのように(How)の5W1Hの要素が必要です。
 文章中にどれかが欠落すると、正しく伝えることができません。5W1Hを意識しながら文章を書くように心がけましょう。

社会性を身につける

株式会社 トナミデンタルラボラトリー 黒田社長

 トナミデンタルラボラトリーは歯科技工を専門に行う会社です。社員は技術職が中心で、黙々と仕事を進めることが多いのですが、お客さんとの打ち合わせなどにはコミュニケーションも大切。十分に意思疎通が図れ、お客さんから好かれる技工士であってほしいと考えています。
 最近の若者は「個」で遊ぶことが多かったためか、単語しか話さないという人も見受けられます。人にうまく伝えることができる国語力の強化も必要だと感じます。
 そこで、社員教育の一環として、北日本新聞の「新聞の読み方出前講座」を申し込みました。幅広く情報を仕入れながら、バランス良く判断して表現できる人材を育成したい、社員にもっと社会性を身に付けてもらいたいという思いからです。
 インターネットで情報を仕入れることは便利ですが、私自身、活字を読まないと不安になります。地域の身近なニュースを知っていると、取引先との会話も弾みます。新聞を活用して世の中を広く知ることで、社員一人一人が成長し、会社も成長していけたらと思います。

喜怒哀楽が地元紙の魅力

株式会社源 源社長

 新聞の定期購読を始めたのは札幌の高校に通っていたころからです。記事を読むというより形から入ったというか、大人の仲間入りという感覚でした。
 ただ昨春、社長に就任し、時間がなくなってしまって。朝の情報収集はスマホやインターネットが中心で、新聞を開くのは出社してからの午前中です。スマホは情報が早くダイレクトだけど、ニュースのさわりだけですよね。取材に基づいた背景や心情など深いところはやっぱり新聞じゃないと。記者の見方を通じ、自分の視野を広げていくのにすごく役立っています。
 ますずし製造販売の会社ですから、食に関するニュースは注目しています。必要な記事は切り抜いたり掲示板に貼ったりして社内で情報を共有しています。
 読んでいるのは地元紙だけです。北陸新幹線開業を控えたビジネス上の必要性もありますが、地域の住民の喜怒哀楽がストレートに伝わるのが大きな魅力ですよ。最近の紙面は、ファッションなど生活に密着した情報が多く、一層身近に感じています。幅広いジャンルの情報を吸収できるのがうれしいです。

 魚津市の若手職員を対象とした「新聞による教養講座」が、市役所で開かれた。北日本新聞社の木村読者局次長が講師を務め、情報力や文章力アップ術など、仕事に役立つ新聞活用法をテーマに講演した。
 政治や経済、他の市町村の動き、地域の話題などを知るための新聞の読み方を学び、公務員としての仕事に生かそうと開催。採用1、2年目の約20人が参加した。
 新聞の読み方として、ページをぱらぱらめくりながら見出しや写真をざっと見る「朝パラ」を提案。「新聞は料理でいうと『定食』で、さまざまなニュースがバランス良く載っている。朝の5分を利用して、一通り目を通してほしい」と話した。仕事上の文書にも応用できる書き方として、結論から先に書く新聞記事の「逆三角形」のスタイルも紹介した。
 新聞の構成や文章の種類について学んだ後、参加者は当日付の本紙コラム「天地人」の見出しを付ける体験をした。山岳スキーヤーの入山届の提出と発信機携帯義務化にまつわる文章を読み、「安全優先の登山を」「自己責任伴う春山スキー」など、各自が考えた見出しを発表。限られた字数で要点を表現する大切さを理解した。
 木村局次長は「新聞記事の中には考えるきっかけを与えてくれたり、仕事のヒントになるものがたくさんある。ぜひ続けて読んでほしい」と呼び掛けた。

参加者の声

◎女性(22歳)
 天地人を読んで大事なことを見出しにまとめるのが難しかった。文章を逆三角形で書く方法は読みやすく、書く方も簡潔に表現できるので参考にしたい。教えてもらった朝パラをやってみると、わずかな時間でも頭に入ったので、家でも実践したいと思った。
◎男性(23歳)
 これまで気になるニュースは主にインターネットでチェックしていた。研修に参加し、自分自身で考える力や人に思いを伝える力は新聞を読むことで培われると理解した。朝パラは取り組みやすいので、仕事関連を中心に始めてみたい。

 北日本新聞社は、企業や各種団体を対象に、新聞をビジネスに生かすノウハウを紹介するNIBの出前講座を行っています。新聞の読み方、効率的な情報収集の仕方を中心とした「情報力アップ術」、分かりやすく伝えるビジネス文書の書き方を指導、添削する「文章力アップ術」などで、社員教育や研修をお手伝いします。
 北日本新聞社の専門担当社員が講師を務め、講座は1回60分から90分。開催費用は無料です。
 申し込み・問い合わせは北日本新聞社読者局076(445)3566。

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